「同年代の臨床検査技師はどれくらいもらっているのだろう？」

「手当や賞与って、職場によってそんなに違うの？」

そんな素朴な疑問を抱いたことはありませんか。どんな仕事でも、自分の給与や待遇は気になるもの。特に臨床検査技師は、専門領域が幅広く、勤務先病院の規模や特性もさまざまだからこそ、その処遇の実態はなかなか見えにくいものです。

そこでMTJ ONEでは今回、東京都市圏（1都3県）で働くフルタイムの臨床検査技師41名にご協力いただき、給与や待遇の実態を調査しました。平均年齢は38歳、20代から50代以上まで幅広い層が回答。勤務先は急性期病院が中心（32人）で、大学病院やクリニック、健診センター勤務者も含まれています。

自分の“市場価値”を把握することは、キャリアを考える第一歩。臨床検査技師の働き方を見つめ直すヒントをお届けします。

平均年収は556万円、でも差はかなり大きい

回答者の平均年収は約556万円、中央値は約512万円でした。全国平均の約504万円（厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」）より少し高めですが、個人差がかなりあります。最も多い層は400～500万円台で全体の6割ほどを占める一方、800万円以上の高収入の方もいれば、200万円台の人もいました（図1）。

内訳を見ると、基本給の平均は約28.5万円、月の総支給額は約35.3万円、賞与は平均118万円。つまり、手当やボーナスが年収の2割ほどを占めています。「夜勤や当直があるかどうか」で収入はかなり変わり、夜勤ありの方は年収580万円、夜勤なしの方は480万円と約100万円の差がありました。

経験が10年を超えると収入がグッと上がる

やはり経験年数が増えるほど年収も上がる傾向があります（図2）。

1～5年の層では中央値400万円、10年を超えると550万円、16～20年では800万円と大幅に上昇します。これは、昇給や役職昇進のタイミングが10年を超えた頃に訪れることを示しています。

年齢別では、20代が約400万円、30代で465万円、40代で550万円、50代以上で580万円。40代以降では管理職の割合が増えるため、全体の底上げにつながっています。ただし、経験年数21年以上の個別明細を見ると、残業や夜勤手当の影響もあり、実務を担うベテランの一般職の方が管理職よりも収入が高い傾向がみられ、“一般職の方が稼げる”という逆転現象が起きている可能性もあります。

男女差・役職・勤務先の違いも大きな要因

男女別では男性の中央値が約600万円、女性は約405万円と、およそ200万円の開きがありました（図3）。

男性の方が夜勤やオンコールを担当する割合が高く、経験年数もやや長いことが背景にあります。また、育児や時短勤務でキャリアが一時中断する女性もいるなど、働き方の違いが影響しています。

役職別ではさらに明確で、管理職の年収中央値は約630万円、一般職は約480万円。部長・科長クラスになると800～900万円台も珍しくありません。一方で「役職に就くと残業代が出なくなり、結果的に年収が下がる」という声もあり、給与体系への不満も聞かれました。

勤務先の規模や法人形態も収入に関係します。400床以上の大規模病院勤務者の中央値は565万円、小規模クリニックや健診センターでは400万円程度と、夜勤や手当の有無が大きな差を生み出しています。地域差については、東京都と埼玉県が比較的高め（約550万円）で、神奈川・千葉はやや低めという傾向でしたが、職場の条件の方が影響は大きいようです。

半数以上が給与に「満足していない」

給与に対する満足度を尋ねると、「満足している」と答えたのは約4人に1人ほど。一方で、「不満」「非常に不満」と答えた人が同じくらいの割合を占め、半数以上が何らかの不満を持っているという結果でした。

満足している人の平均年収は約651万円、不満の人は約569万円。つまり、年収が高いほど満足度も高い傾向があります。

不満の理由として多かったのは、

「仕事量・責任に対して給与が見合っていない」

「昇給が少ない、頭打ち」

「資格や努力が給与に反映されない」

「基本給が低く、手当で補っているだけ」

といった声でした。一方で、満足している人は、

「他の病院より高い給与」

「当直手当や賞与がしっかりしている」

「残業が少なく、家庭と両立できる」

など、収入面または働きやすさのどちらかに納得感を持っているケースが多いようです。