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キャリア・学び2026.09.09 06:45ロックアイコン

Up to Date! 臨床検査エキスパートレビュー # 輸血03

緊急輸血をどう最適化するか——検査モニタリングに基づく目標指向型管理

外傷性大量出血管理の基本戦略 本ガイドは、欧州の麻酔科、集中治療、救急、外傷外科など6学会からなるTask Force for Advanced Bleeding Care in Trauma(ABC-T)によって作成された 1) 。本ガイドの特徴は、外傷患者の管理を受傷直後から退院後の血栓予防まで、時系列に沿った一連のプロセスとして捉えている点にある。 基本理念は、受傷から止血までの時間を最小限に短縮し、迅速な止血(damage control resuscitation)と凝固障害の早期診断・補正を行うことにある。初期評価ではFAST(focused assessment with sonography in trauma)/POCUS(point-of-care ultrasonography)や造影全身CTを用いた出血源の検索を推奨するとともに、Hb、乳酸、base deficit(base excessのマイナス方向)、PT/INR、フィブリノゲン、血小板数などを繰り返し評価することを求めている。循環管理では、頭部外傷を伴わない患者に対し、過剰輸液を避けた許容的低血圧(収縮期血圧80〜90mmHg)を基本戦略とし、赤血球輸血はHb 70〜90g/L(7.0g/dL〜9.0g/dL)を目標とした制限的輸血戦略を採る。凝固管理では、ROTEM(rotational thromboelastometry)やトロンボエラストグラフィ(TEG)などの粘弾性検査やフィブリノゲン値を用いた目標指向型凝固管理(goal-directed coagulation therapy)を重視し、フィブリノゲン低下に対する早期補充を推奨するほか、トラネキサム酸の受傷3時間以内投与を求めている。 これらの推奨に共通するのは、あらかじめ定めた固定比率での輸血〔例:赤血球液(pRBC):新鮮凍結血漿(FFP):血小板(PC)=1:1:1〕に頼るのではなく、患者ごとの凝固異常を検査値に基づいて評価し、必要な血液製剤・凝固因子製剤を個別に選択する治療への転換である。この点は、現在の欧州における外傷性大量出血管理の標準的な考え方を示すものといえる。 輸血検査のエキスパートレビュー 1.出血の"見えにくさ"を検査値で補う——Hb/Hctと乳酸/base deficit 従来、急性出血初期ではHb/Hctは、患者が全血を失うことや、体液シフト(transcapillary refill)および輸液による血液希釈がまだ十分起こっていないため、出血評価には有用性が低いと考えられてきた。 しかし、最近では病院前のPOC-Hbも限定的ながら有意出血の予測に寄与し、病院到着後の検査室Hbはさらに高い予測能を示すことが報告されている 2) 。本ガイドでは、単回値ではなく経時的な変化を追うことの重要性が強調されている。 乳酸値は出血性ショックの重症度を反映する感度の高い指標であり、測定できない場合はbase deficitが代替となる。ただし、飲酒歴がある患者では乳酸の信頼性が低下する点も注意が必要である。 2.凝固モニタリングの選択肢——従来検査、POC、粘弾性検査 PT/INR、フィブリノゲン、血小板数といった従来検査に加え、POC-PT/INRやROTEM/TEGなどの粘弾性検査(VEM)を組み合わせたモニタリングが推奨されている。 VEMは、凝固時間、血栓強度、線溶を含めた凝固状態をリアルタイムに評価でき、従来型凝固検査では捉えられない凝固障害を検出でき、特に線溶の評価が可能である 3) 。一方で、VEMには複数の解析プラットフォームが存在するため、機器間の測定値の一致性や標準化について検証が進められている 4) 。 血小板機能検査(POC platelet function test:POC-PFT)については、ルーチンでの使用は推奨されない。抗血小板薬服用の検出には一定の有用性が報告されているものの、外傷後の転帰予測や治療方針決定への活用は、現時点でエビデンスが十分に確立していない。 3.見落とされがちな検査項目——イオン化カルシウム 大量輸血時ではクエン酸によるキレート作用で低カルシウム血症を来すことがあり、イオン化カルシウムを個別に評価する必要がある。 来院時のイオン化カルシウム低値は、死亡率ならびに24時間以内の複数回輸血および大量輸血の増加と関連し、多変量解析では赤血球5単位以上の輸血を必要とすることの独立予測因子とされた 5) 。 4.抗血栓薬服用患者への対応——DOAC/VKAの検査室での評価 PT、抗Xa活性、トロンビン時間の3種の検査で、ビタミンK拮抗薬(VKA)、Xa阻害薬、トロンビン阻害薬のいずれの薬剤による抗凝固かを鑑別できる。 Xa阻害薬の拮抗薬(中和薬)であるアンデキサネットアルファ投与後は、希釈の影響で通常の抗Xaアッセイが過大評価となるため、希釈を抑えた専用アッセイが必要である 6) 。 目標指向型管理を支える検査体制 本ガイドが一貫して示しているのは、あらかじめ定めた固定比率(例:pRBC:FFP:PC=1:1:1)で機械的に輸血を進める管理から、検査値に基づいて患者ごとの凝固異常を評価し、必要な血液製剤・凝固因子製剤を都度選択する目標指向型の管理への転換である。固定比率輸血は、初期の判断が遅れがちな超急性期を乗り切るための一時的な戦略として位置づけられており、それ自体を最終目標とすべきではない。検査部門に求められているのは、この目標指向型システムを臨床側とともに機能させるための土台づくりである。 1.検査結果が出るまでの時間を、システムの一部として管理する 目標指向型管理は、検査値が迅速かつ継続的に提供されて初めて成立する。本ガイドが示す質の管理指標( 表 ) 1) には「病院到着から、血算、PT、フィブリノゲン、カルシウム、粘弾性検査(可能な施設)一式が揃うまでの時間」が明記されており、これは単なる検査室内部の効率指標ではなく、目標指向型管理そのものが機能しているかを測る診療の質指標として位置づけられている。自施設の緊急検査の所要時間(turnaround time:TAT)を定期的に把握し、遅延が生じている場合はどの工程がボトルネックになっているかを臨床側と共有する視点が求められる。 表 外傷患者に提供されるケアの質を評価するための基準 出血性外傷患者に提供されるケアの質を評価するために、以下の基準で評価しうる 初期蘇生に反応しない低血圧患者において、出血制御のための介入(手術または塞栓術)開始までの、受傷からの時間 病院到着から、血液検査一式[全血算、プロトロンビン時間、フィブリノゲン、カルシウム、粘弾性検査(可能な場合)]が揃うまでの時間 血液検査結果に応じた適切な治療を受けた患者の割合 受傷後3時間以内にトラネキサム酸の投与を受けた患者の割合 Damage control surgeryの適応基準に沿ってdamage control手術手技の実施状況 血栓予防に沿った血栓予防の開始 〔Rossaint R, et al : Crit Care, 27 : 80, 2023より一部改変/© The Author(s)2023, CC BY 4.0.〕 2.「固定比率」から「トリガー値」への意識転換を、院内プロトコルに落とし込む 初期の凝固支持療法としては、フィブリノゲン濃縮製剤またはクリオプレシピテートとpRBCを組み合わせる戦略、あるいはFFPをpRBCに対し少なくとも1:2の比率(pRBC 2単位につきFFP 1単位以上)で投与する戦略のいずれかが示されている。さらに、大量出血にフィブリノゲン値150mg/dL以下の低フィブリノゲン血症(または粘弾性検査での機能的フィブリノゲン欠乏所見)を伴う場合には、フィブリノゲン濃縮製剤またはクリオプレシピテートによる補充が推奨されている。 検査部門としては、この「固定比率から個別化へ」の切り替えポイントとなる迅速検査、POCの導入について検討していく必要がある。漫然とした固定比率輸血の継続は、不要な血液製剤の消費や個々の患者の凝固異常を見逃すリスクにつながりかねないことも輸血管理部門としては認識しておきたい。 3.「見えない出血」「見えない凝固障害」を検査項目として意識的に拾い上げる Hb/Hct値が正常範囲であっても早期の出血をマスクしうる点、通常の凝固検査ではイオン化カルシウムの低下が反映されない点は、いずれも「検査値が正常=問題なし」という誤った安心につながりやすい落とし穴である。大量輸血が想定される症例では、血液ガス分析にイオン化カルシウムをあらかじめ組み込むなど、目標指向型管理の網から漏れやすい項目を意識的に運用に組み込む工夫が有効である。 引用文献 1) Rossaint R, et al : The European guideline on management of major bleeding and coagulopathy following trauma: sixth edition. Crit Care, 27 : 80, 2023 2)Figueiredo S, et al ; Traumabase group : How useful are haemoglobin concentration and its variations to predict significant haemorrhage in the early phase of trauma? A multicentric cohort study. Ann Intensive Care, 8 : 76, 2018 3)Gratz J, et al : Protocolised thromboelastometric-guided haemostatic management in patients with traumatic brain injury: a pilot study. Anaesthesia, 74 : 883-890, 2019 4)Neal MD, et al : A comparison between the TEG 6s and TEG 5000 analyzers to assess coagulation in trauma patients. J Trauma Acute Care Surg, 88 : 279-285, 2020 5)Magnotti LJ, et al : Admission ionized calcium levels predict the need for multiple transfusions: a prospective study of 591 critically ill trauma patients. J Trauma, 70 : 391-397, 2011 6)Bourdin M, et al : Measuring residual anti-Xa activity of direct factor Xa inhibitors after reversal with andexanet alfa. Int J Lab Hematol, 43 : 795-801, 2021

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業界ニュース2026.09.09 06:00ロックアイコン

サクッと解説! 検査技師必見トピックス #22

睡眠検査技師の育成、なぜ今課題に?

睡眠医療の需要拡大と検査技師の役割の広がり を背景に、PSGの実施・解析だけでなく、CPAP導入支援や患者対応まで担える人材の育成が求められている。 現状の卒後教育は 施設ごとのOJTに依存し、施設間・地域間で教育機会に差 があるため、技量を段階的に高められる共通の教育体制づくりが課題となっている。 日本睡眠学会では 「指導検査技師」による地域横断的な育成支援 が検討されており、卒前教育から専門資格取得後まで継続して学べる仕組みの整備が重要になっている。 睡眠医療を担う臨床検査技師をどう育てるか―。7月に開かれた日本睡眠学会などの合同大会で、検査技師の教育と質の確保が話題になった。背景には、睡眠医療へのニーズが高まり、検査が多様化する一方、専門的な技術を身に付ける卒後教育が施設ごとのOJTに依存しているという事情がある。卒前教育から専門資格取得後まで、教育を「仕組み」として整える必要性が高まっている。 睡眠医療への関心が高まる中、技師教育も大きなテーマとなった学会の合同大会 睡眠検査の代表格である睡眠ポリグラフ検査(PSG)は、脳波や眼球運動、筋電図、心電図、呼吸、血中酸素飽和度などを同時に記録する。正確な検査・解析には幅広い知識と技術が必要で、患者対応やCPAP療法への支援など、検査以外の能力を求められる場面も多い。 タスクシフト・シェアの推進により、CPAP導入時の陽圧調整は、医師の指示の下で検査技師が担える業務として明確に位置付けられた。睡眠医療の現場で検査技師に求められる役割は、検査の実施・解析にとどまらず広がっている。 OJT依存、施設・地域で教育格差 ところが、検査技師が経験できる症例や教育環境は勤務先によって異なる。睡眠専門施設、大学病院、中規模病院などではPSGの実施状況や検査技師の関わり方に差がある。このため、個人の経験に依存せず、技量を初級、中級、上級などと段階的にレベルアップしていく仕組みや、特殊症例の解析や患者指導、後輩の指導までできる中堅層を増やすことが重要になっている。 背景には、CPAP市場が拡大し、その対応が急務になっていることがある。近年は簡便な携帯型睡眠検査装置の使用も拡大。睡眠障害が標榜科に追加されたこともあり、睡眠医療に取り組む施設は今後さらに増えるとみられる。 しかも睡眠障害は多様な疾患だ。非専門施設による睡眠医療への参入が広がる中、睡眠時無呼吸症候群以外の睡眠障害を十分に考慮しないまま、検査やCPAP管理が行われることを懸念する声もある。 日本睡眠学会には、睡眠検査の専門的な知識・技能を評価する「専門検査技師」の認定制度がある。しかし、専門検査技師を目指す技師の教育は、学会のセミナーや各施設でのOJTに頼る部分が大きいという。指導者や経験できる症例の偏りから、施設間、地域間で教育機会に差が生じている。 「指導検査技師」で地域の育成支援へ こうした中、浮上しているのが経験豊富な専門検査技師を教育者として活用する「指導検査技師」構想だ。同学会では、認定後10年以上の専門検査技師を指導検査技師として位置付ける方向で制度設計が進む見通しだ。自施設の後進育成だけでなく、地域の施設への教育支援や症例共有、ウェブを使った指導などを担ってもらい、所属施設を超えて技師を育てる仕組みを目指す。 教育を巡る変化は卒後だけではない。臨床検査技師の養成課程では、2021年のカリキュラム改正で「睡眠時無呼吸症候群検査」が教育項目として明記された。今年7月の合同大会では、現場の認定技師が養成校の講義や実習に関わるなど、教育機関と臨床現場をつなぐ必要性を指摘する声も上がった。 睡眠検査の質を一定に保つには、個々の検査技師の経験だけに頼らず、卒前から卒後、専門資格取得後まで学び続けられる環境が欠かせない。睡眠医療の広がりとともに、「検査を担える人をどう育てるか」が次の課題になっている( 表 )。(中) 表 睡眠検査技師の教育を巡る主な課題と方向性 今起きていること 課題 今後の方向性 睡眠検査が多様化 PSGやCPAPなど幅広い知識・技術が必要 検査レベルに応じた教育を整備 教育はOJT中心 施設・地域で指導者や症例に差 学会や地域を含めた教育体制へ 専門検査技師制度がある 新規受験や更新、後進育成が課題 「指導検査技師」構想で教育を支援 卒前教育も変化 学校で学べる内容・実習には限界 養成校と現場の認定技師が連携 精度管理の充実が必要 PSG判定などの標準化は難しい 標準手順書やサーベイなどを検討 〔編集部作成〕

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検査室2026.09.07 06:00ロックアイコン

変わり続ける検査の現場 #33 長崎大学病院

検査値の表示統一へ基盤を整備 生化・血液など66項目、JLACに名寄せ

長崎大学病院(長崎市、776床)の検査部が、地域医療情報連携ネットワーク(地連NW)の「あじさいネット」で検査結果の表示の統一化に取り組んでいる。地域の検査センターと組み、別の医療機関であっても医師が時系列で検査値を追えるよう、生化学や血液など66項目の表示統一の基盤を数年かけて整備した。国による電子カルテ情報の共有化サービスの本格運用が近づく中、医療機関を横断した検査情報の共有という先駆的な取り組みとなっている。 あじさいネットは、患者のカルテ情報を拠点病院やクリニック、薬局の間で共有する地域のネットワークシステム。患者同意の下、情報提供病院で受けた治療内容や検査結果などの医療情報を参加施設の間で閲覧できる。地連NWの先駆けとして2004年11月に運用が始まり、20年以上の長い運用実績を持つ。参加施設は長崎県内外に広がり、現在、情報提供病院は31、情報閲覧施設は317にまでになった。長崎大学病院は基幹の情報提供病院の一つで、同病院医療情報部の松本武浩部長(あじさいネット理事)が立ち上げ時から中心的な役割を担ってきた。 あじさいネットの機能の一つが、5つの検査センターや一部の情報提供病院が参加する「検査データ共有サービス」。クリニックの外注検査や情報提供病院の検査の結果などを会員施設が閲覧・共有(他施設情報の閲覧・共有には患者の同意が必要)でき、あじさいネット上で稼動する地域連携パスなどに検査データを自動で取り込むこともできる。 「時系列で見られないか」 「時系列で検査結果が見られるようにJLAC10を使えないだろうか」。当時の標準規格であるJLAC10コードを用い、各施設の検査結果を時系列に並べて医師が患者の経過を追えるようにする―。そんな松本氏からの提案を受け、同病院検査部の主任臨床検査技師・臼井哲也氏は、2016年ごろから、ルーティンの検査業務の合間に基盤作りを進めてきた。 検査データは多くの場合、施設によって基準値やシステム上の名称、単位設定が異なる。例えば白血球は、システム上の表記を「WBC」としていたり、結果単位を「10 3 /μL」や「10 4 /μL」、あるいは「10 9 /L」としていたりと検査室によって異なる。また、施設で用いる検査コードが電子カルテと臨床検査システム(LIS)で違うこともある。そもそも検査値が標準化されていない項目も少なくない。それをどうしたら時系列で表示できるのか。 臼井氏がまず取り組んだのは、JLAC10コードと施設コードとのひも付け(名寄せ)の作業だ。基準値や結果単位が異なることをひとまず横に置き、参加各施設から使用する検査コードを聞き取り、検査項目ごとにJLAC10コードとひも付けた。それぞれの基準値や結果単位を記載し、表計算ソフトに整理した。 ひも付けは、日本臨床検査標準協議会(JCCLS)の共用基準範囲が設定されている40項目から順次始め、設定がない項目は長崎大学病院が使う基準範囲を用いた。一方、血算は単位を変換して共用基準範囲に統一した。その後、地域連携パスで必要な検査項目を追加し、現在、ひも付けした項目は66項目にまで広がった。この表計算ファイルが、検査データの時系列表示や単位統一の基盤となった。 臼井氏 作業担当者は臼井氏1人。ルーティン業務の合間に、各参加施設から届いた施設コードを手作業でJLAC10コードとひも付けていく作業を続けた。問い合わせをしても先方の検査室に担当者がいなかったり、JLAC10コードを知らなかったりして作業はスムーズに進まない。電子カルテの検査コードとLISのコードが違うことに気付かず、コードをひも付けても検査データがつながらない事態も発生した。臼井氏は、さまざまな苦労があったと振り返る。 苦労の末に作り上げた情報基盤をエスアールエル(H.U.グループ)の担当者が発展させ、より診療に使えるような画面にしたのが、検査データ共有サービスの検査結果参照画面だという。 同サービスでは、生化学や血算、免疫の一部項目について各医療機関の検査結果を時系列で表示した( 図1 )。「見慣れたデータを見たい」という医師の要望に応えるため、それぞれの検査結果にアスタリスク(*)マークを付け、クリックすると自施設の元データがポップアップで表示されるように工夫した( 図2 )。免疫項目など基準値が異なる場合は無理に統一せず、それぞれの検査データの背景に基準値の上下限の範囲を帯状に表示することで分かるようにしている。 図1 各項目の検査結果が時系列で並ぶ 〔14回チェリーブロッサムシンポジウムポスターver3より〕 図2 ポップアップ表示のイメージ 〔14回チェリーブロッサムシンポジウムポスターver3より〕 現在、JLAC10と検査コードがひも付いているのは10病院、検査会社5社の計15施設。コロナ禍以降は運用が落ち着き、参加施設や対象項目の拡大は進んでいないという。 電カル共有へ対応必要に 厚生労働省は2026年冬ごろから電子カルテ情報共有サービスの全国運用を開始する方針で、臨床検査43項目、感染症5項目の情報共有を開始する計画だ。計48項目でも測定法や結果単位が異なるが、厚労省は4月の関連のワーキンググループで「検査値を患者さん側に見せるマイナポータルでの表示については、単位を統一できるように進めていく」と述べた。その後、厚生労働科学研究班が単位表示の統一が可能かどうか項目ごとの調査を開始している。 電子カルテ情報共有サービスの制度設計は着実に進み、医療機関を横断した診療情報の共有は、「あるかないか」ではなく「どう実装するか」の段階に入っている。その際に工程として必要になるのが、検査項目の名称やコード、単位の違いを埋める作業だ。別の医療機関の検査値を時系列で読み、診療に使える形にそろえるには、データをつなぎ合わせるための「ひも付け」が要る。長崎大学病院が地連NW「あじさいネット」で積み上げてきた作業は、その工程を先回りして経験した例と言える。 あじさいネットでの経験を振り返り、臼井氏は「情報システムに一定の理解のある検査技師が各病院に1人は必要。そうでなければ取り組みは進まないのではないか」と話す。電子カルテ情報共有サービス開始前夜の今、全国の検査室に今後の情報共有にどう対応していくかが問われている。 ※『THE MEDICAL & TEST JOURNAL』2026年8月1日号に掲載された記事の再掲です。

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