
知りたい!取りたい! 資格・認定 [第12回]
日本糖尿病療養指導士(CDEJ)
日本糖尿病療養指導士認定機構は、糖尿病療養指導に関する豊富な知識と経験を持ち、療養指導チームの一員として質を保証された療養指導ができるメディカルスタッフを「日本糖尿病療養指導士(CDEJ)」として認定している。対象は、看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士。2001年に第1回認定試験を実施し、2026年度は第27回となる。 受験には、対象となる医療職の資格のほか、一定の条件を満たす医療施設に勤務し、過去10年以内に通算2年以上かつ1000時間以上、糖尿病患者の療養指導業務に従事していることなどが必要。受験者自身が療養指導した症例が10例以上あること、同機構が実施する受験者用講習(eラーニング)の修了なども求められる。 試験は、客観試験(CBT方式)と「糖尿病療養指導自験例の記録(10例)」の総合評価。資格の更新は5年ごと。 表:日本糖尿病療養指導士認定試験 受験者数と合格率 ■ 日程(2026年度、第27回) 受験者用講習(eラーニング)の申込期間は2026年6月1日~9月30日、受講期間は同年10月1日~11月25日。CBT試験は2027年1月28日~2月28日の期間中、任意の1日と会場を選択して受験する。結果は2027年4月中旬までに受験者全員に郵送で通知する。 ■ 費用 受験者用講習受講料3万3000円、受験料2万2000円。 教えて! 日本糖尿病療養指導士(CDEJ) (回答) 日本糖尿病療養指導士認定機構広報委員(東京都済生会中央病院臨床検査科) 近藤 裕子氏 ―認定制度の特徴を教えてください。 糖尿病療養指導は、患者さんに対して多職種のチームで取り組むものです。そのため、臨床検査だけではなく、糖尿病全般について幅広く学ぶ必要があります。医師の指示に基づき看護師や管理栄養士など他の職種と連携し、患者さん一人ひとりに対応しますので、実務では知識だけでなく、コミュニケーション力なども重要です。 CDEJは臨床検査技師だけでなく、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士が取得できる資格です。同じ資格を持つ他職種との横のつながりが生まれる点も特徴だと思います。 ―資格取得者には、どのような活躍が期待されていますか。 臨床検査技師は、日々たくさんの検査データを扱っており、データ解析は他の職種より得意としています。糖尿病に関連する検査値の変化を時系列で捉え、それを根拠として患者さんに説明できることが強みです。臨床検査と糖尿病療養指導の両方の知識や経験を備えることで、患者さんへの療養支援や多職種との連携など、さまざまな場面で力を発揮できると思います。 近年は持続グルコースモニタリング(CGM)も普及しており、タスクシフト/シェア推進の一環で、臨床検査技師が装置の装着やデータ解析などの役割を担うようになっています。このほか、施設内で開催する糖尿病教室などで、検査について説明する機会もあります。 糖尿病は、病院やクリニックに通院しながら療養を続けている患者さんが多くいます。採血や生理検査などで患者さんと接する中で、食事や治療について質問されたり、悩みを打ち明けられたりすることもあります。CDEJであれば、そうした質問や相談を受け止めて対応し、内容によっては他の専門職につなげることもできると思います。 ―CDEJに関心がある学生や若手にメッセージをお願いします。 まずは臨床検査技師として、検査全般の基礎をしっかり身に付けてほしいと思います。それが将来、どの専門分野に進むとしても下地になります。 臨床検査技師の働き方も変化しており、検査室の中だけではなく、多職種と連携しながら患者さんに直接関わる機会が増えています。今後は在宅医療のニーズも増えることが予想されています。糖尿病を持つ患者さんの生活の場を知ることで療養指導に生かせることが多くあると思います。 「患者さんと直接話すのが楽しい」「患者さんのために何かできるようになりたい」と感じる人には、ぜひ、CDEJを選択肢の一つとして考えてほしいです。 日本糖尿病療養指導士(CDEJ)の詳細はこちら

インフルエンザ増加、過去5年同時期上回る
週刊 感染症サーベイランスレポート #2026年第36週(2026.8.31 - 9.6)
2026年第36週の全国的なトレンド 2026年第36週(8月31日~9月6日)の急性呼吸器感染症(ARI)の定点当たり報告数は48.41(報告数17万9995例)で、前週から増加しました。前週を上回った都道府県は44都道府県でした。 疾患別では、 インフルエンザの定点当たり報告数は3.29で、第26週以降、増加が続いています 。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2.08 で、 3週連続で増加 しています。入院サーベイランスでは、インフルエンザの新規入院患者数は284例で前週から71例増加、COVID-19は286例で15例増加しました。 小児科定点では、RSウイルス感染症は1.02で2週連続、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は1.38で3週連続、感染性胃腸炎は3.86で3週連続の増加となりました。咽頭結膜熱は0.26、水痘は0.21で、いずれも前週から増加しています。ヘルパンギーナは0.96で2週連続の増加となりました。 一方、手足口病は1.73で第30週以降減少が続いています。基幹定点から報告されるマイコプラズマ肺炎は0.40で3週連続の減少となりました。 都道府県別の発生動向 インフルエンザの定点当たり報告数は、 沖縄県(10.34)、新潟県(6.13)、神奈川県(5.87)で多くなっています 。COVID-19は、 栃木県(5.64)、新潟県(5.27)、長野県(4.40)で多く報告されました。 小児科定点では、RSウイルス感染症は島根県(3.09)、福井県(3.00)、和歌山県(2.37)、感染性胃腸炎は岐阜県(6.56)、大分県(6.53)、群馬県(6.40)の順です。水痘は大分県(1.06)が最も高く、島根県(0.82)、山形県(0.65)と続きます。 注意すべき海外感染症——エボラ出血熱 厚生労働省は9月16日、エボラ出血熱に関する検疫対応を改正し、 コンゴ民主共和国の南ウバンギ州を流行地域に追加 しました。コンゴ民主共和国からの入国者については、到着前21日以内の滞在歴や患者の体液との接触歴などを確認し、必要に応じて隔離、停留、健康監視などを行います。 表 第36週における主要感染症の定点当たり報告数(全国) 主要感染症 定点当たり報告数 前週からの増減 インフルエンザ 3.29 ↑ COVID-19 2.08 ↑ 感染性胃腸炎 3.86 ↑ A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 1.38 ↑ RSウイルス感染症 1.02 ↑ 咽頭結膜熱 0.26 ↑ 水痘 0.21 ↑ 手足口病 1.73 ↓ ヘルパンギーナ 0.96 ↑ マイコプラズマ肺炎 0.40 ↓ 〔IDWR感染症週報 第36号/急性呼吸器感染症サーベイランス週報 第36週を参考に作成〕

新人臨床検査技師の歩き方 [第19回]
地域との関わりを持つということ
78 「地域を支える」という視点 自分が担当した検査結果が、その後どのように活用されているか考えたことはありますか。検査結果は、診断や治療だけでなく、患者さんが安心して生活を続けるための情報にもなります。患者さんの生活の場は病院だけではありません。自宅や介護施設など地域での生活を支えるために、多くの職種が協力しながら患者さんを支えています。臨床検査技師も、正確な検査データを通して患者さんを支える一員です。まずは自分の担当している検査が、患者さんの生活のどこで役立っているのかを意識してみましょう。その視点が、地域で暮らす患者さんを支える臨床検査技師としての第一歩になります。 —{79 地域イベント・健康相談で活躍する検査技師}— 79 地域イベント・健康相談で活躍する検査技師 地域の健康イベントや健康相談会では、住民の皆さんから検査や健康について質問を受けることがあります。「この検査は何を調べているのですか?」といった質問を受けることもあり、普段の業務とは違ったやりがいを感じる場面です。専門的な内容を分かりやすく伝えることで、「よく分かりました」「ありがとう」と声をかけていただくこともあります。地域の方々と直接お話しする中で、自分たちの仕事が地域の健康づくりにつながっていることを実感できます。このように、病院や検査室の中だけでは気づかなかった発見があります。 —{80 地元の他施設とのゆるやかな連携}— 80 地元の他施設とのゆるやかな連携 技師会活動や勉強会などでは、他の施設で働く臨床検査技師と出会う機会があります。先輩たちが他施設の技師と楽しそうに話している様子を見て、「知り合いなのかな」と思うことがあるかもしれません。また、地域の検査技術向上のために活動している先輩技師の姿に触れ、刺激を受ける場面もあると思います。普段は違う施設で働いていても、検査のことを相談したり、情報交換をしたりする中で自然とつながりが生まれていきます。研修会などで何度も顔を合わせるうちに、挨拶を交わしたり、気軽に話ができる関係へ発展することも少なくありません。そんなつながりが少しずつ広がっていくのも、この仕事の魅力の一つです。 —{81 “顔が見える関係”がもたらす安心感とやりがい}— 81 “顔が見える関係”がもたらす安心感とやりがい 顔が見える関係は、臨床検査技師同士だけではありません。医師や看護師、薬剤師など他職種の方と関わる機会も少しずつ増えていきます。普段は関わる機会の少ない他職種の方とも顔見知りになることで、仕事が進めやすくなる場面も少なくありません。日頃から顔を合わせていることで、相談や情報共有がしやすくなり、お互いの立場や考え方への理解も深まっていきます。気がつけば、地域の中に自分を知っている人がいて、自分も誰かを知っている。そんな関係が、日々の仕事を少し温かくしてくれるはずです。そして、自分も地域医療を支える一員なのだと感じられることが、地域との関わりの中で得られる大きな喜びの一つです。 —{本日までの歩み}— 本日までの歩み 一般社団法人 臨床検査×わくわくプロジェクト 臨床検査業界を“わくわく”する場にすることを目的に、有志が集まって立ち上げた活動です。まずは自分たちがわくわくすることを探し、そして周囲を巻き込み一緒にわくわくし、最後には業界を巻き込みわくわくした場を広げていく、そんな流れをつくっていこうと活動をしています。詳しい活動の内容は こちら をご覧ください。

編集部 Pick Up ニュース[9月18日号]
忙しい臨床検査技師のための注目ニュースまとめ
臨床検査技師が押さえておきたい今週注目の5本 「外部評価受けた検査室」も施設要件に 厚労省部会が、臨床研究中核病院の承認要件の見直し案を了承。施設要件の一つに、診療科や病床数と共に「技術能力について外部評価を受けた臨床検査室」も。 カンジダ・アウリス、確定診断で解説レター 健康危機管理研究機構のAMR臨床リファレンスセンターが、26年7月改訂の「カンジダ・アウリス診療の手引き」第2.1版で解説レター。カンジダ・アウリスの確定診断には質量分析法か遺伝子検査の実施を要請。 パネル検査、治療初期から保険適用を 自民党「医療情報政策・ゲノム医療推進特命委員会」の丸川珠代委員長が取材に応じ、がん治療の初期段階からの遺伝子パネル検査を保険診療でカバーすべきと提言。27年中の実現に向けた議論に意欲。 乳幼児健診の在り方検討開始 こども家庭庁が、乳幼児健診の今後の在り方についての議論をスタート。全国どこでも必要な健診や検査が受けられる体制の整備、他の子育て支援策との連携、母子保健DXを踏まえた情報利活用が論点に。 日本ケミファ アレルギー検査装置と新試薬を発売 日本ケミファが、アレルギー検査の移動式免疫発光測定装置「ドロップスクリーン A-2」と新試薬を発売。指先からの採血で、総IgEと吸入系アレルゲン19項目の計20項目が15分で測定可能に。

きらり臨床検査技師 [第33回]黒川 真悟さん(岡山市立市民病院臨床検査技術科)
心不全診療に臨床検査技師の力を——療養指導士として地域へ活動広げる
岡山市立市民病院臨床検査技術科の臨床検査技師、黒川真悟さんは、心不全患者の療養を多職種で支える「心不全療養指導士」の資格を取得し、院内外で活動の幅を広げている。心不全療養指導士は2021年に日本循環器学会が創設した資格で、看護師や薬剤師、理学療法士など幅広い医療職が参加する一方、臨床検査技師の取得者は非常に少ないのが実情だ。そうした中で黒川さんは、心エコーなどで培った専門性を生かしながら、心不全に関する多職種連携や地域の勉強会に積極的に参加。療養指導への直接参画を見据え、臨床検査技師の新たな可能性を模索している。 資格をきっかけに多職種の輪へ ―心不全療養指導士の資格を取得されたきっかけは何ですか。 主に生理検査を担当し、心エコーなど循環器領域の検査に携わる中で、心不全治療の重要性は臨床検査技師としても感じていました。当院には心不全センターがあり、病院を挙げて心不全療養指導士の資格取得を推進しています。私自身も臨床検査技師として院内の心不全の「早期発見チーム」に参加していますが、日常診療や勉強会で多職種との連携を深める中で、臨床検査技師が積極的に関わっていく上でも、資格取得が一つのきっかけになると考えました。 院内の心不全早期発見チーム会議(中央が黒川氏) ―資格創設の背景には、心不全患者の急増で医療費の増大など「心不全パンデミック」が懸念されていることもあるようですね。 心不全は慢性疾患です。適切な管理が行われないと入院を繰り返すことが多く、患者さんのQOL低下や医療経済への負担増大を招く危険があります。 心不全療養指導士は、看護師や理学療法士など、さまざまな職種が同じ資格を持って活動できるところに大きな意味があると思っています。「臨床検査技師は臨床検査技師、看護師は看護師」というのではなく、心不全療養指導士という一つのコミュニティーの中で、多職種が一緒になって患者さんを支えていくことができます。 そういう場所に臨床検査技師も積極的に出ていかなければ、職域は広がりません。臨床検査技師の受験には循環器学会専門医の推薦が必要なので、相談できる環境があったことも大きいのですが、専門医の推薦をいただいて受験し、2025年に資格を取得しました。 勉強会で専門性を発揮 ―実際、どのような活動をされているのですか。 療養指導の実践はまだこれからですが、院内活動と院外での勉強会を継続して行っています。院内の勉強会では心不全療養指導士が中心的な役割を担っています。 院内の心不全勉強会は職員を対象に定期的に実施しているもので、心不全療養指導士が中心となって講師を務め、心不全療養のレベルアップを図っています。また、心不全療養指導士取得を目指す職員向けに、試験対策講座も実施しています。 看護師やリハビリ職は意外と検査を学ぶ機会が少なく、検査データの解釈や心電図判読などを苦手とする人が多いので、検査の講義は好評です。講師としても臨床検査技師としての専門性を生かせていると感じています。 多職種連携が可能性を広げる ―院外では地域で活動されていますね。 2024年10月に発足した「 みんなでつくるみんなのための心疾患勉強会 」に企画段階から参画し、運営と講師の両面で携わっています。岡山県内の医療従事者が中心となって立ち上げた多職種の勉強会で、月1回、オンラインで勉強会を開催しています。 内容は専門医の講義の後、他の医療職も講師となって心疾患について勉強します。累計参加者は4000人を超え、私を含めた臨床検査技師も講師として、心電図や超音波検査(心臓・血管)などについて講義しています。 参加者は看護師やリハビリ職が多く、臨床検査技師の専門知識を他職種に直接還元できる場になっています。一方、臨床検査技師の参加も一定程度あり、技師自身の学習意欲の高まりも感じます。 他職種と学び合うことで、検査室にいるだけでは気付かなかった視点を得ることができます。臨床検査技師の仕事や専門性を知ってもらえる一方、私たちも他職種について理解を深められます。同じテーマでも演者が異なれば違った視点がありますし、そうした学びの繰り返しと蓄積が大切だと感じています。 誰でも無料で参加できますので、興味を持たれた方はぜひ一度参加してみてください。 第90回日本循環器学会学術集会(岡山県内の循環器内科医と心不全療養指導士で記念撮影) ―国も心不全管理の重要性を認め、2026年度の診療報酬改定では、心不全の療養指導に関して「心不全再入院予防継続管理料」が新設されました。これから心不全の療養指導に力を入れる施設が増えそうですね。 算定要件を見ると、心不全療養指導士の資格は直接必要ありませんが、多職種による心不全の再入院予防の取り組みを行った場合の評価ですので、心不全療養指導士としての活躍の場も広がると思います。 せっかく資格ができたのですから、臨床検査技師も動かないと取り残されます。心不全療養指導士の認定者は9000人を超えていますが、そのうち臨床検査技師はわずか三十数人です。 心不全の包括的ケアにチーム医療は必須の時代です。心不全療養指導士の取得はチーム医療に加わるきっかけになると思いますので、一人でも多くの臨床検査技師が資格を取得して将来、療養指導に加われるようになることを願っています。 ―心不全領域でも臨床検査技師の活躍が期待されますね。今後の展望を教えてください。 院内外の活動を継続し、多職種との信頼関係をさらに深化させていきたいと考えています。その上で、そうした信頼関係を基盤に、心不全の療養指導にも直接参画することを目指しています。 臨床検査技師の専門性を患者さんに直接還元できることは、きっとあるはずです。なにより、心不全診療では再入院を防ぐことが重要です。そのためには、病院の中だけでなく、退院後も含めて地域全体で患者さんを支える必要があります。 これからも院内活動と地域の両面で、多職種連携の輪を広げていきたいと思います。 「がむしゃらさ」が未来を開く ―ご自身の経験を踏まえ、次代を担う若手技師にメッセージをお願いします。 私自身も若い頃、なかなか技術が身に付かず、歯がゆく感じた時期がありました。しかし、学びつづけることで技術を習得し、自分の手に残るものが増えていきました。だからこそ今があると感じています。 もちろんそれは先輩や周りのスタッフの支えがあってこそですが、なにより、自分自身に負荷をかけ、挑戦する強い意志が必要です。 いまの若手はスマートになんでもできる人が多いように感じますが、現状に満足せず、がむしゃらに、いろいろなことにチャレンジしてほしいですね。 そうでないと、もったいない。医療も変化し、臨床検査技師は検査だけという時代ではなくなっていますし、これからは一人の患者さんにさまざまな職種が関わる機会が増えていくでしょう。 そういう意味からも、失敗を恐れず、いろんなことに自分から飛び込んでいってほしい。きっと自分の手に残るものがあるはずです。 —{取材後記}— 心不全診療への思いも、これまでの努力も、淡々と語る黒川さん。その姿からは気負いよりも、自分のできることを一つずつ積み重ねてきた実直さを感じた。「がむしゃらに」と若手に呼びかける言葉も、自ら試行錯誤を重ねてきた経験があるからこそなのだろう。静かな語り口の中に、仕事への芯の強さが垣間見えた。 そんな黒川さんも家に帰れば、2人の娘の父親。子どもと一緒に遊ぶ時間が「何よりの楽しみ」と話す表情には、人を包み込むような柔らかさがあった。技術だけではない、そんな人としての温かさも、黒川さんの大きな魅力なのだと感じた。(中)

藤田医科大学病院
Accuraseed SG720 検査業務の省力化に貢献
関連4病院で装置統一、精度管理にメリット 藤田医科大学病院(愛知県豊明市、1376床)の臨床検査部は2025年5月に検査室を再構築し、免疫機器として 自動化学発光酵素免疫分析装置Accuraseed SG720 (以下、Accuraseed SG720)4台を導入した。前機種で実現した免疫検査でのTAT(検査結果報告時間)短縮に加え、試薬・消耗品の搭載量が拡充されたことで利便性が向上した。臨床検査技師の業務負担軽減と、繁忙時間帯や夜間での安定運用に貢献し、同院が掲げるスマートホスピタル構想を支える検査装置としての存在感を高めている。 高度急性期医療を担う同院は、国内最大規模の1376床を有し、県内外からの外来患者数は1日約2700人、救急外来患者数は年間約3万人を受け入れる。病院運営では、医療DXを軸にした「スマートホスピタル構想」を掲げ、臨床検査部門も含めた病院インフラ全体の再構築に取り組んでいる。 先駆的な取り組みを進める同院の検査部門は、検体、生理、病理、輸血部門などに分かれ、臨床検査技師は177人が所属。検査部門の国際標準規格ISO 15189を取得し、多くの臨床検査技師が専門分野の認定資格を持つ。 検体検査部門のうち、生化学・免疫検査部門の1日平均検体数は約1500検体。数年前までは複数の免疫検査装置を運用していたが、業務効率化とTAT短縮に向けて装置集約化と、最新装置への更新が必要と判断。免疫検査部門では2020年5月に、富士フイルム和光純薬株式会社の 自動化学発光酵素免疫分析装置Accuraseed (以下、Accuraseed)を3台導入し、3機種6台体制とした。さらに2025年5月にはAccuraseed(3台)を、最新モデルAccuraseed SG720(4台)に更新。同時に、免疫検査装置をそれまでの3機種6台から、2機種5台体制に変更し、さらなる装置の集約化を進めた。臨床検査部技師長の星雅人氏は「以前は、免疫装置が7、8種類もあり、消耗品や保守費用がかさみ、管理面での負担も大きかった」と説明。一方で、免疫検査装置の更新は検査データの変更が懸念されるが、免疫検査を担当する臨床検査部課長の齊藤翠氏は、「思ったよりも互換性は良好であった」と述べる。 免疫検査を支える「Accuraseed SG720」 約10分測定で診療を支援 Accuraseed SG720は、免疫検査42項目に対応し、全項目約10分で測定できるのが最大の強みだ。齊藤氏は、「一昔前は30分が当たり前だったが、免疫検査が10分で結果が出せるとは思わなかった。採血から報告まで、以前は1時間以上かかっていたが、それが40分程度になった。患者様を待たせる時間が短くなった」と導入効果を語る。臨床側からのスピード向上への評価も高い。甲状腺ホルモンや前立腺特異抗原(PSA)など、診察前に結果が必要な免疫検査では、迅速な結果報告により、検査結果を確認しながら治療方針を判断できるようになっているという。また、術中インタクトPTH測定や副腎静脈サンプリング等、迅速な結果報告により手術の成功可否判断にも役立っている。Accuraseed SG720(4台)は現在、メイン機を担っている。2台を1組としたミラー構成で、1台はホルモン系検査、もう1台は腫瘍マーカーを中心に測定項目をバランスよく稼働させている。 図:検査結果平均報告時間 安定した検査運用の実現 Accuraseed SG720は、測定時間がいずれの項目も約10分という基本性能を継承し、さらに試薬・消耗品搭載数が拡充されたのが大きな特徴だ。同時測定項目数が24項目から36項目に増え、試薬搭載数も480テスト(24カセット、1カセット:20カートリッジ)から720テストに、搭載チップ数も約3倍に増強された( 表 )。より多くの試薬や消耗品を搭載可能となったため、ウォークアウェイ時間が従来の約1.6時間から約4時間と約2.5倍に延長された。これにより、繁忙時間帯や夜間でも安定した連続運転を実現させている。 表:「Accuraseed SG720」と「Accuraseed」のスペック差 星氏は、Accuraseed SG720導入前後について、「忙しい時間帯の午前9時から午後1時まで試薬・消耗品の追加不要で連続稼働ができる。現場としては非常に大きい」と話す。加えて、齊藤氏は「画面構成がシンプルで、メンテナンスの手間がかからない点も貢献している」と評価は高い。 関連4病院でも順次導入 藤田医科大学病院を運営する藤田学園では昨年から、グループ病院である同大学ばんたね病院(名古屋市、370床)、同大学岡崎医療センター(岡崎市、400床)、三重県の同大学七栗記念病院(津市、218床)の免疫検査部門にもAccuraseedシリーズを順次導入している。ばんたね病院と岡崎医療センターはAccuraseed SG720、七栗記念病院はAccuraseedが稼働中だ。 関連4病院で同じ免疫検査装置を運用することで、検査データの互換性を確保できるメリットは大きい。齊藤氏は、「免疫検査では試薬のロット変更時に、精度管理データが変化することがあるが、4病院で同じ装置、試薬を用いることで変化を確認し合える」と説明。関連病院で装置と試薬を統一したことで、グループ全体で精度管理を行う体制も整った。臨床検査技師の教育、装置運用上の課題も共有しやすくなった。 齊藤氏は「関連病院同士で定期的なミーティングも行っており、装置運用で気になる点を共有したり、毎月施設間差を確認したりしている」と説明する。 Accuraseedシリーズのモノテスト試薬への評価が高いという。齊藤氏は、本院と比べて規模の小さい関連病院から「検体数がそこまで多くないこともあり、ボトルタイプの試薬に比べ、項目ごとに独立したカートリッジ方式の試薬は使い勝手がいい。モノテスト試薬は日常的なメンテナンスの負担も少なく、安定性を含めて管理しやすい」と意見があったと語る。本院に関しても「検体数の少ない項目でも院内導入がしやすい」と話す。 検査業務の省力化で人的資源を有効活用 藤田医科大学病院ではAccuraseed SG720を含め、検体検査部門での装置・システム更新で、検査業務の効率化、省力化が進む。臨床検査部長の伊藤弘康氏は、こうした取り組みを通じ、「以前は約65人体制だった検体検査部門で7人分の省力化が可能になった。その分、救急や治験、病棟などに出向させるなど、臨床検査技師の活躍の場を広げることにも貢献できている」と手応えを感じている。同院では今後もスマートホスピタル構想の下、医療DXやAI、ロボティクスを組み入れた検査部門再構築を進める方針だ。Accuraseed SG720は、免疫検査の効率化だけでなく、臨床検査技師の役割の拡大を支える基盤の一つにもなっている。 臨床検査部の皆さん、右端が伊藤検査部長、左から3人目(奥)が星技師長、左から2人目(奥)が齊藤課長 自動化学発光酵素免疫分析装置Accuraseed SG720(医療機器届出番号:14B1X10022000134) 自動化学発光酵素免疫分析装置Accuraseed(医療機器届出番号:27B3X00024000015)
























































