PICK UP
サムネイル
業界ニュース2026.09.30 06:00ロックアイコン

今、何が読まれている? MTJ ONE # 開設1周年アクセスランキング

診療報酬改定が上位3位を独占、働き方や実務にも関心

MTJ ONEは、開設から1周年を迎えました。日頃からご利用いただいている皆さまに、改めて御礼申し上げます。 今回は、開設から1年を迎え、2025年10月から2026年9月までの1年間に多くのアクセスを集めたコンテンツTOP10をご紹介します。 上位3位を占めたのは、いずれも2026年度診療報酬改定に関するコンテンツでした。その一方で、臨床検査技師の役割や待遇、業界の動向、輸血医療の安全性、検体検査や採血の基本など、幅広いテーマがランクインしました。 ランキングから浮かび上がったのは、「制度がどう変わるのか」「自分たちの仕事はどう評価されるのか」「日々の業務をより安全に行うにはどうすればよいか」という、臨床検査の現場に直結する関心です。 アクセスランキング TOP10 第1位 検査室の視点から読み解く 診療報酬改定2026の概要 年間ランキング1位は、2026年度診療報酬改定をテーマにしたオンデマンドセミナーでした。 検体検査管理体制、クリティカルバリュー(パニック値)への対応、微生物検査を含む感染症対策、遺伝子・先進的検査、医療DXなど、検査室に関係する改定項目を公式資料に基づいて整理。制度の変更点だけでなく、検査室運営や実務への影響まで解説する内容が注目を集めました。 診療報酬改定は情報量が多く、告示や通知を読んだだけでは現場への影響を捉えにくいテーマです。専門家の解説を通して全体像をまとめて理解したいというニーズの強さが、1位という結果に表れたといえそうです。 ※本セミナーの配信は終了しています。 第2位 検査技師含めた病棟「多職種協働加算」、277点と255点の2種類 2位には、2026年度診療報酬改定の答申を伝えた記事が入りました。 看護職や臨床検査技師などが病棟で協働する体制を評価する「看護・多職種協働加算」の点数に加え、検体検査管理加算におけるクリティカルバリュー対応、院内の微生物検査体制を評価する新たな加算について報じています。 なかでも、臨床検査技師の病棟業務が診療報酬上の評価に組み込まれたことは、今後の人員配置や業務分担にも関わる動きです。単なる点数の変更ではなく、 臨床検査技師の役割がどこまで広がるのか という関心が、多くのアクセスにつながったと考えられます。 第3位 [診療報酬改定2026]現場への影響は? 臨床検査の主要8論点を読み解く 3位も診療報酬改定に関する記事でした。 改定内容が決まる前の段階で、中医協における議論から、病棟配置、クリティカルバリューへの対応、微生物検査室の評価、迅速フィブリノゲン測定、在宅での睡眠ポリグラフ検査など、臨床検査に関係する主要な論点を整理しました。 3位の記事で「何が論点となっているのか」を示し、2位の速報で「どのような結論になったのか」を伝え、1位のセミナーで「現場ではどう受け止めるべきか」を掘り下げる——。今回の上位3コンテンツは、 診療報酬改定を論点整理、速報、実務解説の三段階で追った形 となりました。 複雑で変化の速いテーマほど、一度の記事で完結させるのではなく、検討段階から決定後まで継続的に伝えることの重要性を示す結果ともいえます。 第4位 救急救命士、12誘導心電図の測定可能に 救急救命士が救急搬送中などに12誘導心電図を測定・伝送できるようにする動きを伝えた記事が4位となりました。 臨床検査技師の業務範囲に関連する、他職種の業務や検査の実施体制がどう変わるのかにも高い関心が寄せられています。病院内だけでなく、救急搬送から医療機関での診断・治療までをつなぐ検査の役割が注目された記事でした。 第5位 【速報】日臨技次期会長が事実上決定 日本臨床衛生検査技師会の会長候補者選挙の結果を伝えた速報が5位に入りました。選挙は603票差という僅差となり、臨床検査技師を代表する職能団体の今後に、多くの読者が関心を寄せたことがうかがえます。 制度や検査技術だけでなく、業界を取り巻く人や組織の動きを迅速に伝えることも専門メディアに求められる役割の一つです。 —{アクセスランキング第6位は?}— 第6位 細菌検査済み血小板製剤から黄色ブドウ球菌検出 細菌スクリーニング検査で陰性とされた血小板製剤から、黄色ブドウ球菌が検出された事例を伝えた記事です。 細菌スクリーニングを実施しても混入リスクを完全には排除できず、使用前の外観確認などが引き続き重要であることを報じました。 「検査で陰性であれば安全」と単純に捉えることのできない事例であり、検査法の限界を理解したうえで、日常の確認を積み重ねる重要性を示しています。患者安全に直結する注意喚起情報への関心の高さが表れた結果です。 第7位 経験・職場・働き方でどう変わる? 臨床検査技師のリアルな給与と満足度 臨床検査技師の給与や待遇を取り上げた独自調査記事が7位に入りました。 東京都市圏で働くフルタイムの臨床検査技師41人の回答を基に、年収や基本給、賞与、夜勤の有無、経験年数などによる違いを紹介。回答者の平均年収は約556万円、中央値は約512万円で、夜勤の有無によって年収に約100万円の差がみられました。 制度改正や専門的な検査情報だけでなく、 自分の働き方やキャリアを考えるための情報 にも強い需要があることがわかります。給与額そのものに加え、「仕事量や責任に見合った評価を受けているか」という問題意識に多くの読者が自身を重ねたのではないでしょうか。 第8位 検体検査 検体の受け入れから患者情報の確認、凝固や溶血、採血量、採取容器、個人防護具の着用まで、検体検査の基本をイラストとともに紹介したコンテンツが8位となりました。 さらに、基準値の捉え方、精度管理、感染対策など、日常業務の土台となる内容を幅広く扱っています。 新人にとっての学習資料としてはもちろん、経験を積んだ臨床検査技師にとっても、基本手順や安全確認を見直す機会となる内容です。速報記事とは異なり、繰り返し参照できる実務コンテンツが年間ランキングに入った点も注目されます。 第9位 医療職の標準職務表、臨床工学技士ら「4職種」明記を 国家公務員の医療職俸給表の級別標準職務表に、臨床工学技士など4職種を明記するよう厚生労働省が人事院に要望した動きを伝えた記事です。臨床検査技師はすでに同職務表に掲載されており、医療職の処遇や職務上の位置づけに関するテーマとして読まれました。 7位の給与調査と同様、専門職としての評価や待遇に関する情報は臨床検査技師にとって関心の高いテーマです。他職種の動向を知ることが、自らの職種の位置づけを考えるきっかけにもなっています。 第10位 採血 10位には、採血の物品準備や採血管の順番、安全な手技をイラストで紹介したコンテンツが入りました。患者の採血部位や状態にあった器具を選び、採血後の分注まで見通して準備することの大切さを解説しています。 採血技術だけでなく、難しい場合にベテランへ交代する判断、緊張している患者への声かけ、服薬状況や体調変化の確認、患者との信頼関係なども取り上げました。 採血は多くの臨床検査技師が関わる身近な業務です。だからこそ、手技の巧拙だけではなく、患者安全や接遇を含めて基本を確認できるコンテンツが支持されたと考えられます。 —{ランキングから見えた、読者の3つの関心}— ランキングから見えた、読者の3つの関心 今回のランキングからは、大きく3つの傾向が見えてきます。 第一は、 制度の変化を迅速に、わかりやすく知りたい というニーズです。診療報酬改定関連が上位3位を占めたことからも、複雑な行政資料をMTJ ONEならではの臨床検査の視点で整理し、現場への影響まで伝える情報が求められていることがわかります。 第二は、 臨床検査技師自身、また臨床検査技師の業務範囲に関わる他職種の役割や評価への関心 です。病棟業務、他職種の業務範囲、職能団体の動向、給与や俸給表など、自分たちの仕事が医療の中でどう位置づけられ、どのように評価されるのかに関する記事が多く入りました。 第三は、 明日の業務に生かせる実務情報への根強い需要 です。輸血医療の安全性、検体検査、採血といったテーマは、日常業務に直結します。新人教育だけでなく、経験者が基本に立ち返るための情報としても利用されたと考えられます。 また、上位には、速報記事だけでなく、オンデマンドセミナー、独自アンケート、イラストを用いた教育コンテンツが入りました。テーマに応じて文章、動画、図表、調査データを使い分けることも、情報をよりわかりやすく届けるうえで重要であることがうかがえます。 MTJ ONEでは2年目も、変化をいち早く伝える速報、背景を整理する解説、現場で実践できる実務情報を組み合わせ、臨床検査に携わる皆さまの判断や学びにつながるコンテンツを届けてまいります。 今後ともMTJ ONEをよろしくお願いいたします。 ※ランキングは2025年10月から2026年9月までのアクセスを基に集計しています。 ※記事タイトル、肩書き、制度等の記載は、各コンテンツの公開時点のものです。

サムネイル
キャリア・学び2026.09.28 06:00ロックアイコン

AI×循環器検査 AI 解析の臨床応用とマネジメント #4

AIは心エコー検査室をどう変えるか——運用設計と新人教育への活用

はじめに——心エコー検査室を取り巻く課題とAIへの期待 心エコー検査は、循環器診療における中心的な画像診断法として、心不全、弁膜症、虚血性心疾患、先天性心疾患など幅広い病態の診断と経過観察に欠かせない検査です。非侵襲的で繰り返し施行できることから検査需要は増加を続け、多くの施設で検査件数も年々増加しています。 その一方で、心エコー検査は検査者の技術や経験への依存度が高く、標準断面の描出、病態に応じた観察、定量評価、さらに臨床情報を踏まえた総合的な判断など、多様な知識と技能が求められます。近年は検査内容の高度化や専門化に伴い、経験豊富な技師への業務集中や教育担当者の負担増加、人材育成などが検査室共通の課題となっています。 このような背景のもと、自動計測や画像認識技術を中心としたAIの実用化が進んでいます。AI技術は診断を代替するものではなく、検査品質の向上と検査室運営を支える新たな基盤として期待されています。 AIが変える心エコーの運用設計 1.自動計測がもたらす標準化と効率化 AI導入による大きな利点の一つは、検査品質の標準化と業務効率化です。近年の超音波診断装置にはAIによる自動解析機能が搭載され、左室駆出率、左室・左房容積、ストレイン解析などの自動計測が可能となっています。これにより検査者間のばらつき低減や再現性向上が期待され、解析時間も短縮されることで、検査者は病態評価や追加観察など、より付加価値の高い業務へ時間を配分できるようになります。 Shiokawaらは、AI自動計測が主要計測項目において熟練検査者と高い一致率を示し、検査者間のばらつきを減らしながら高い再現性を確保できることを報告しています 1) 。これは施設全体で均質な検査品質を維持するだけでなく、経時的評価や多施設間でのデータの信頼性向上にも寄与する重要な成果といえます。 さらにOlaisenらは、ディープラーニングを用いたリアルタイム解析により左室容積および左室駆出率解析時間を大幅に短縮できることを報告しています 2) 。撮像中に解析結果を確認できるため、その場で画像品質を評価し、必要に応じて再撮像できることは、再解析や再検査の減少につながり、検査室全体のワークフロー改善にも寄与します。 実際に筆者が同じ画像を用いて左室駆出率を計測したところ、手動計測では85秒を要したのに対し、自動解析では7秒で解析が完了し、解析時間は約90%短縮されました( 動画 )。 2.AIの限界を踏まえた品質保証 一方で、AI解析には限界も存在します。画質不良例や複雑な病態では解析精度が低下する場合があり、最終的な妥当性の確認は検査者が担う必要があります。AI解析は診断を代替するものではなく、品質保証(Quality Assurance:QA)を支援するツールとして活用することが重要です。 新人教育におけるAI活用 AIは新人教育のあり方にも大きな変化をもたらしています。従来はOJT(On-the-Job Training)を中心とした教育が行われてきましたが、検査件数の増加や人員不足により、十分な教育時間を確保することが難しくなっています。 AIを活用することで、検査者による手動計測結果をAI解析結果と比較し、課題を客観的に把握できます。指導者の経験や感覚だけに依存することなく、データに基づいた指導が可能となるため、教育内容の標準化にもつながります。例えば、経験の浅い検査者では、左室内膜トレース時に肉柱を心筋として認識し、左室内腔から除外してしまうことで、左室容積を過小評価することがあります( 図1 )。 図1 手動による左室内膜トレース〔筆者作成〕 一方、リアルタイムAI解析では撮像中に画像品質やトレースを確認でき、その場で修正しながら学習を進められることから、技能習得の効率化も期待できます( 図2 )。 しかし、AIは「教える存在」ではなく、「客観的な教材」として機能するものです。患者背景や病態生理を理解し、「なぜこの断面が必要なのか」「何を追加で観察すべきか」を考える臨床的判断は、人が担うべき役割です。AIにも解析困難例や誤認識は存在するため、その結果を適切に評価する能力は、今後ますます重要になります。教育現場では、まず標準断面の描出技術と手動計測を十分に習得し、そのうえでAIを活用する教育が望ましいと考えます。 図2 AIによる左室内膜自動トレース〔筆者作成〕 おわりに——AIを使いこなせる技師を育てる これからの心エコー検査室に求められるのは、AIを導入することではなく、AIを適切に活用できる運用体制と教育体制を構築することです。AIは反復的な計測や画像解析を担い、検査者は病態理解や臨床判断、患者対応など、より高度な業務に注力する。その役割分担が実現することで、検査の質と教育の質、さらには検査室全体の生産性向上につながります。 近年の報告が示すように、AIは心エコー検査の標準化や教育支援において有用性を示しつつあります。しかし、その価値を最大限に引き出す鍵は、AIそのものではなく、それを適切に活用できる検査者の存在です。AIが進歩する時代だからこそ求められるのは、AIに依存する技師ではなく、AIの利点と限界を理解し、臨床判断に結び付けられる技師です。こうした人材育成こそが、これからの心エコー検査室の質を高める基盤になると考えます。 引用文献 1)Shiokawa N, et al : Accuracy and efficacy of artificial intelligence-derived automatic measurements of transthoracic echocardiography in routine clinical practice. J Clin Med, 13 : 1861, 2024 2)Olaisen S, et al : Automatic measurements of left ventricular volumes and ejection fraction by artificial intelligence:clinical validation in real time and large databases. Eur Heart J Cardiovasc Imaging, 25 : 383-395, 2024

サムネイル
キャリア・学び2026.09.25 06:00ロックアイコン

Voice of Lab. file 11 鈴木 崇真(奈良県総合医療センター臨床検査部)

臨床検査技師であり続けること——ルーチンの積み重ねの先に見えたもの

学生時代を振り返ると、私は臨床検査技師という職業を、ひたすら検査を行う仕事なのだろうと漠然と捉えていました。けれど臨床検査技師として働き始めて11年目になった今、職業名に含まれる“臨床”と“技師”という言葉の意味が、以前とは少し違って見えています。私は臨床検査技師として働きながら、社会人大学院生として人文学研究科にも在学しています。臨床検査と人文学。その間を行き来するなかで、私が考えるようになったのは、「臨床検査技師」であることとは何か、という問いでした。 ここでは、私自身の経験とともに、その問いを振り返ってみたいと思います。 私、こんなことしてます! 1.“臨床”検査技師を問う 入職1年目の頃、臨床検査技師も研究に携わることができるのだと知りました。以来、学術活動などにもそれなりに取り組んできたつもりです。しかし、同時に“臨床”検査技師が行う学術活動とは一体何なのだろうか、という疑問も、どこかで抱き続けてきました。 現時点での私なりの答えを述べるなら、 それは日常業務、いわゆるルーチンの延長にあるものだと思います 。最終的に患者へ還元されるものでなければ、たとえ形になったとしても自己満足に近いものになってしまうのではないか。その成果の着地点は、常に患者に向けられている必要があるのではないか。そう考えています。 2.臨床検査“技師”を問う 昨今、ISOをはじめとして、検査の標準化が重要視されていることは周知のことと思います。では、そのような時代において、臨床検査を行う“技師”とは何なのでしょうか。 技師とは、当然ながら技術を担う者のことです。しかし、標準化が進めば、原則として技能に差は生じないはずではないか。けれど現実にはどうでしょう。私が担当する微生物検査で考えてみても、初心者と熟練者とでは、同じ検体・同じ培地を前にしていても、検出菌を拾えるかどうかに差が生じる場面があります。 これは標準化を否定するものではありません。むしろ逆だと思います。プロトコルが標準化されているからこそ、その上に積み重なる観察力、判断力、経験値が見えてくるのではないか。この検体が自分の手元に届いたからこそ、自分がこの患者に関わったからこそ、診断や治療が少しだけスムーズに進んだ。そうした場面が日常業務の中には確かに存在するのだと思います。そう考えると、 標準化された日常業務にこそ、臨床検査“技師”としての自負心が生まれてくる のではないでしょうか。 3.臨床検査技師である“私”を問う では、“私”は臨床検査技師としてどのように歩んできたのか。そう問われれば、やはり私は、日々のルーチンを堅実に積み重ねてきた技師なのだと思います。それは一見すると、特別なことではないように感じられるかもしれません。けれど、臨床検査技師としての歩みを振り返ると、さまざまな機会はいつも日常業務の延長線上にありました。 人文学領域の大学院への進学を決めた理由を聞かれることがあります。しかし、正直なところ、その理由はうまく説明できません。本が好きだったことは事実ですが、単にそれだけで進学を決めた、というのは我ながら違うよな、と思います。 少なくとも転機となったのは、上司から「大学院に行ってみないか」と声をかけていただいたことでした。そのとき私が真っ先に思ったのは、「なら文学部に行こう」でした。 では、なぜそう思ったのか。臨床検査技師の仕事は、検体と向き合う仕事です。私も微生物検査に携わりながら、毎日同じように検体を受け取り、培養し、結果を報告してきました。しかし、その繰り返しのなかである種の疑問を抱くようになり、次第に検体の向こう側へ目を向けるようになりました。 「この結果は、どのように患者さんの治療につながるのだろうか」 「この報告を待っている主治医は、何を考えているのだろうか」 検査室の中だけでは見えないものに関心を持つようになり、行き着いた先は「 検体の向こう側を見なくては、他の誰でもなく、“私”である自分が検査をやる意味がない 」というものでした。 検査結果を正確に返すことは臨床検査技師として最も重要な役割ですが、その一方で均質化と受け取られがちな標準化への抗いと、検査結果の先にある医療、さらには人間と社会に関心を向けなくてはならない——そう思いました。その思いが、結果として人文学研究科への進学にもつながったのだと思います。 また、今振り返ると、大学院進学の話そのものも日常業務の延長線上にあったように感じています。上司から声をかけていただいたのは、私に特別な才能があったからではなく、日々の業務を積み重ねてきたからに違いありません。技師会や企業のセミナーでお話しする機会、こうして文章を書く機会をいただいたことも同様です。 奈良県臨床検査技師会シンポジウム(左)、SDC近畿感染症セミナー(右)で講演したときの様子 ルーチンという言葉には、単調な繰り返しという印象があるかもしれません。しかし私自身の経験を振り返ると、その積み重ねが思いもよらない縁や機会を運んできてくれました。もちろん華やかな経歴や大きな挑戦だけが、臨床検査技師としての価値を示すわけではないでしょう。むしろ、そのような活動を支えている土台である日々の検査、日々の報告、日々の判断の一つひとつに“臨床検査技師”としての価値があるはずです。その意味での“私”とは、特別な場所にあらかじめ存在するものではなく、ルーチンの中で少しずつ見つけ出していくものなのかもしれません。 —{明日のリーダーが今、考えていること}— 明日のリーダーが今、考えていること いろいろと述べてきましたが、私がこの文章を書きながら思い浮かべていたのは、日々の業務を少しずつ覚えつつあり、この先どう進んでいくべきか悩んでいる若手技師の姿でした。 そんな方々に伝えたいことがあるとすれば、それは、日々の業務を覚えた先で、その検査が患者さんの診断や治療にどうつながるのかまで考えてみてもよいのではないか、ということです。もちろん、焦りは禁物です。けれど、何かしらのアクションを起こすことも大切と思います。どこかにたどり着けると信じて、まずは手元の検査を丁寧に果たす。日常業務の中で問いを探し、声がかかったときには、思い切って「はい」と返事をしてみる。そうして積み重ねた1年後には、今とは少し違う景色が開けているかもしれません。 ルーチンは、どこかに行くための確かな足場なのだと、私は信じています 。

plan & series

企画・連載コンテンツ

product & company