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業界ニュース2026.10.14 06:00ロックアイコン

サクッと解説! 検査技師必見トピックス #24

長沢体制が本格始動、その方向性を読み解く

長沢氏が掲げる学術活動の強化 を、臨床検査技師の職能評価や会員が実感できるメリットにどうつなげるかが焦点となる。 日臨技・日技連のトップ兼任と業界の「オールジャパン」の連携で政策実現 を目指す中、日技連の組織基盤強化や組織内候補の擁立が課題となる。 改革を進めながら会員の理解をどう広げ 、学術・職能・政策を具体的な成果に結び付けられるかが長沢新体制に問われる。 日本臨床衛生検査技師会(日臨技)で6月、長沢光章氏を会長とする新体制が発足しました。副会長3人が全員交代し、理事も約半数が新任となるなど、幹部の顔ぶれも大きく変わりました。就任直後の熊本地震への対応に加え、9月の世界医学検査学会(IFBLS)と日本医学検査学会の合同学会が終わり、長沢氏が目指す事業展開のギアを上げる段階に入ります。これまでの講演などでは、「学術」「職能」「政策」を一体的に進める考えを打ち出しています。 6月27日、長沢体制が発足 「学術」を職能の評価へ 学術強化と次世代育成を掲げる長沢会長 中でも長沢氏が主張しているのが「学術活動」の強化です。「学術、技術がなければ国民の信頼は得られない」との考えから、日臨技支部や都道府県技師会、専門学会などとの連携を強化しながら、学術部門・活動の再編を進めます。臨床検査の精度管理・品質保証でも、関連学会や団体と連携し、より大きな枠組みでの体制構築を目指す構えです。 ただ、日臨技は学術活動を柱に据えてきた一方で、約7万人の臨床検査技師を抱える職能団体です。各検査領域には専門学会があり、「日臨技が学術活動をどこまで担うのか」という議論はあるでしょう。職域拡大や処遇改善など、より直接的なメリットを職能団体に期待する会員も少なくはありません。 その意味で、長沢体制を読み解くポイントとなるのが、「学術」を学術だけで終わらせず、臨床検査技師の「職能」の評価にどうつなげるかです。医療現場でさらに存在感を高めるには、検査データを読み解き、それを臨床にしっかりと伝える力が求められます。検査医だけでなく、幅広い診療科の医師や他職種と検査データを軸に対話し、診療に必要な情報を提供できる検査技師の育成も重要になります。こうした検査技師の存在価値を社会に示しながら、その成果を会員が実感できるメリットにつなげていけるかが焦点になります。 政策実現へ、日臨技・日技連トップ兼任 三つ目の柱となるのが「政策」です。診療報酬や検査制度など、臨床検査技師を取り巻く制度は日臨技だけでは変えられません。長沢氏は関係団体、学会、企業などが連携する検査業界の「オールジャパン」を掲げています。自身は7月、日臨技の政治連盟「日本臨床検査技師連盟」(日技連)の代表に就任しました。日臨技と日技連のトップを兼ね、政策実現に向けて、より機動的に動けるかも注目です。 長沢氏は、臨床検査技師の資格を持つ国会議員の必要性を訴えていますが、日臨技会長で参院議員だった宮島喜文氏が政界を退いて以降、それを担う具体的な組織内候補は見いだせていません。日技連の加入者数も8月時点で約1500人にとどまっており、組織基盤の強化という大きな課題も横たわっています。検査業界の現場の声や政策課題を国政に届け、制度に反映させる道筋を、業界全体で探ることが求められるでしょう。 「反発なくして改革なし」 昨年末の会長候補者選挙は、長沢氏が1万7127票、対立候補が1万6524票と、わずか603票差の接戦でした。今後の会務運営にあたり「反発なくして改革なし」と語る長沢氏。改革を進めるには、その狙いを幅広い会員に丁寧に伝え、理解を得ながら組織をまとめていくことも求められます。 組織のトップが変われば、人事や予算配分も変わり、そこには長沢体制が何を重視するのかが表れてきます。「学術、職能、政策」の三つをどう結び付け、具体的な成果として示せるでしょうか。長沢体制の真価が問われるのは、これからです。 (清水康功)

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検査室2026.10.14 05:30ロックアイコン

地域特性から考える「明日の検査室」 #20 山形県

山形県の環境変化と最上医療圏 臨床検査技師からの提言

医療機関の臨床検査室の運営では、それぞれのエリアでの人口推移や医療ニーズの変化、医療従事者数の変動といった、地域特性を踏まえた戦略が重要になります。 地域特性から考える「明日の検査室」は、日本臨床衛生検査技師会の医療技術部門管理資格認定・医療管理者資格認定を取得した演者が、所属する施設の地域特性をデータで示しながら、今後の検査室運営に必要な視点や備えを解説する企画です。 企画は、各地域の実情や課題に関するスライドを見ながら、音声で聞いて学べる動画シリーズとしました。目で見て、耳で聞いて、皆さんが将来の検査室運営、戦略を考える際の参考になればと思っております。(MTJ編集部) 日本臨床衛生検査技師会「医療技術部門管理資格認定、医療管理者資格認定」 日本臨床衛生検査技師会が、病院の医療技術部門の責任者やリーダーとしての資質を備えた人材を認定する「医療技術部門管理資格認定」と、その上位資格として、病院や施設の副院長や事務長などを担える人材を認定する「医療管理資格認定」制度を設けている。詳細は こちら 。

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キャリア・学び2026.10.12 06:00ロックアイコン

Up to Date! 臨床検査エキスパートレビュー # 輸血04

血小板輸血不応例にどう対応するか——原因の層別化から製剤選択まで

血小板輸血不応の診断から製剤選択まで 血小板輸血不応(platelet refractoriness:PR)とは、輸血後に期待される血小板数の増加が得られない状態である。Nahirniakらは、これを検査室で捉えられる現象「laboratory phenomenon」と位置づけている。一方、血小板数の増加不良が出血などの臨床転帰と直接結びつくとは限らない。 PRの原因は免疫学的機序と非免疫学的機序に大別されるが、臨床的には後者が多数を占め、免疫学的機序が明確に示される例は一部に留まる。有病率は報告によって4.8〜49.6%と幅があり、施設や疾患背景によって大きく異なる。 本論文は、Blood誌の"How I treat"シリーズの1編であり、3症例を通じてPRの診断から製剤選択までの実践的な対応を示している 1) 。輸血サービスと臨床チームの連携の必要性と、ヒト白血球抗原(HLA)適合血小板による血小板数の増加と臨床転帰の改善は必ずしも同義ではなく、その臨床的有効性には不確実性が残ることも論じている。また、補正血小板増加数(corrected count increment : CCI)を含む従来のPR評価指標の意義と限界を整理しており、検査部門がPR診断にどう関わるかを考えるうえで、具体的な手がかりを与える論文である。 輸血検査のエキスパートレビュー 1.血小板輸血不応の評価——PI・CCIの使い分け PRには複数の評価指標がある( 表 )。最もシンプルなのが血小板増加数(platelet increment:PI)で、輸血後血小板数から輸血前血小板数を引いた値である。 表 血小板輸血不応の評価指標と算出方法 指標 計算式 不応の判定閾値 PI (血小板増加数) 輸血後血小板数 − 輸血前血小板数 ≤5,000〜10,000/μL(1時間値)を目安 CCI (補正血小板増加数) 血小板増加数(/μL)×体表面積(m²)÷輸血血小板数(×10¹¹) <5,000(1時間値)×2回連続(TRAP定義) 〔Nahirniak S, et al : Blood, 145 : 2293-2302, 2025/Trial to Reduce Alloimmunization to Platelets Study Group : N Engl J Med, 337 : 1861-1869, 1997を基に筆者作成〕 血小板製剤の白血球除去などが抗HLA抗体の産生と免疫学的PRを予防できるかを検証したTRAP試験では、1時間値のCCIが2回連続で5×10⁹/L未満となった場合をPRと定義した 2) 。 Nahirniakらは「20〜24時間後に血小板数がほとんど変化していない」ことで反応不十分と判断する方法も実用的だと述べており、臨床現場では簡便なPIが用いられることも多い。CCIは、患者の体格と輸血血小板数を補正して輸血効果を評価できる点で有用である一方、低CCIのみから免疫学的PRと診断することはできない。輸血後早期のCCI低値は免疫学的機序を疑う手がかりとなるものの、非免疫学的要因を評価するとともに、HLA・ヒト血小板抗原(HPA)抗体検査などと組み合わせて判断する必要がある。 2.非免疫学的原因と免疫学的原因の鑑別 PRの原因として臨床的に多いのは非免疫学的機序である。発熱・感染症、脾腫、播種性血管内凝固(DIC)、活動性出血、薬剤などが代表的であり、これらが単独または複合的に作用する。 まず、非免疫学的原因の有無を確認することが診断の第一歩となる。また、製剤側ではABO適合性なども輸血後血小板増加に影響しうる。 免疫学的PRの原因として最も重要なのはHLA同種免疫であり 3) 、免疫学的PRの80〜90%を占める。HPAやABH抗原に対する抗体、薬剤依存性抗血小板抗体、GPIV(CD36)などの血小板糖タンパクに対する自己抗体も免疫学的原因となりうる。PRが持続し、明らかな非免疫学的原因を認めない場合には、HLA抗体をはじめとする免疫学的原因の検索を行う。 3.HLA抗体検査 HLA抗体の検出は、歴史的にはリンパ球傷害試験(LCT)が用いられてきたが、現在はLuminexビーズ法(固相法)が主流である。スクリーニングビーズによるパネル反応性抗体(PRA)の測定と、単一抗原ビーズ(SAB)による特異性同定を組み合わせることで、どのHLA抗原に対する抗体があるかを特定できる。 平均蛍光強度(MFI)の閾値については施設間で見解が分かれており、1,000、3,000、5,000、10,000など複数の基準が報告されている。どの閾値が臨床的な輸血不応と最もよく相関するかはいまだ確立されていないため、数値だけで判断せず、輸血不応の臨床的な背景と合わせて解釈する必要がある。 4.製剤選択 PRが疑われた場合には、まずABO同型血小板による反応を確認し、それでも増加不良が持続する場合に非免疫学的原因と、HLA・HPA抗体などの免疫学的原因を評価する( 図 )。 図 血小板輸血不応(PR)対応フロー 〔Nahirniak S, et al : Blood, 145 : 2293-2302, 2025を基に筆者作成〕 HLA適合血小板は現在の標準的対応として位置づけられているが、Nahirniakらはその臨床的有効性に関するエビデンスを「限定的」としている 1) 。HLAエピトープ適合(HEM)血小板と標準的なHLA抗原適合(HSM)血小板を比較した無作為化非劣性試験では、HEMはHSMに対して非劣性であり、1時間後のPIに有意差を認めなかった。また、出血や輸血必要量などの副次評価項目にも有意差は認められなかった 4) 。 ドナープールを拡大するための方策としては、2つのアプローチが論じられている。一つは、HLA-B8、HLA-B12、HLA-B35のlow-expressorドナー由来血小板を用いる方法である。このアプローチでは、対応するHLA抗体が存在しても、抗体介在性の血小板消費を受けにくい可能性がある 1) 。もう一つは、適切なHLA適合血小板を確保できない場合、患者のドナー特異的抗体(donor-specific antibody:DSA)のMFI累積値(各DSAのMFIの和)が低くなるドナーを選択するlow DSA-MFI戦略であり、ランダム血小板に代わる選択肢となりうる。 なお、Nahirniakらは、HLA適合血小板輸血を開始した後、適切な製剤を2回連続輸血しても増加不良を認める場合には抗体検査を再評価し、増加が良好または評価できない場合でも6カ月〜1年ごとの再検査を推奨している。 輸血効果の評価を原因検索と製剤選択につなげる 本論文の実践的アプローチを日常業務に取り込むうえで、3点を整理する。 Step 1 PIとCCIを輸血効果の評価指標として定着させる 繰り返し血小板輸血を受けている患者に対して、輸血後20〜24時間での血小板数確認を習慣化することがPRの早期発見につながる。 最も手軽なのはPIの確認である。CCIの算出には輸血血小板数と体表面積が必要なため、輸血管理システムや電子カルテとの連携による自動算出を検討したい。1時間後PIが≤5〜10×10⁹/Lと低値を示した場合には、ABO同型血小板での反応を確認するとともに、非免疫学的原因と免疫学的原因の評価を進める。 Step 2 非免疫学的要因を先に除外し、MFI値の解釈は慎重に PRが疑われたら、まず非免疫学的要因(発熱・感染、脾腫、DIC、薬剤)の有無を確認し、1時間PIが著明に低下している場合はHLA抗体検査を早期に実施できる体制を整えておく。 HLA抗体が検出されたとしても、MFI値とPRの関係は複雑であり、「抗体陽性=輸血不応」と即断してはならない。施設のMFI測定系・カットオフ値と文献情報をもとにコメントを付記することで、検査室、輸血部から臨床への情報提供が具体的になる。 Step 3 HLA適合製剤の確保体制を整え、移行後も再評価を続ける HLA適合血小板の確保には、日本赤十字社への依頼手順、提供可能な日時、対応経路を事前に把握しておく必要がある。HLA型やHLA抗体情報があらかじめ得られている患者では、PR発生時の免疫学的原因の評価や適合血小板の選択を迅速に進めることができる。 HLA適合製剤へ移行した後も定期的な再評価が推奨されており、HLA抗体プロファイルに変化がないかを確認しながらドナープールと製剤選択を見直していく。 PRが疑われた場合、輸血後血小板数を確認し、PIやCCIを用いて輸血効果を客観的に評価することが重要である。持続する増加不良では、非免疫学的要因を確認し、さらにHLA・HPA抗体などの免疫学的原因を適切に検索する。 検査結果を製剤選択につなげるために、臨床医、検査室、輸血部が迅速に情報共有できる体制を整えておくことが重要である。 —{コラム「血小板輸血不応患者の出血に対するトラネキサム酸の位置づけ」}— コラム「血小板輸血不応患者の出血に対するトラネキサム酸の位置づけ」 大規模無作為化比較試験であるTREATT試験では、造血器悪性腫瘍の強力治療を受ける患者にトラネキサム酸を補助投与しても、30日以内の死亡またはWHOグレード2以上の出血を減少させなかった 5) 。 しかし、Nahirniakらは、トラネキサム酸のルーチン使用を支持するエビデンスは乏しいものの、口腔内出血などの症状を認める場合は補助療法として使用を考慮しうるとしている 1) 。 引用文献 1)Nahirniak S, et al : How I treat patients who are refractory to platelet transfusions. Blood, 145 : 2293-2302, 2025 2)Trial to Reduce Alloimmunization to Platelets Study Group : Leukocyte reduction and ultraviolet B irradiation of platelets to prevent alloimmunization and refractoriness to platelet transfusions. N Engl J Med, 337 : 1861-1869, 1997 3)Saris A, et al : Human leukocyte antigen alloimmunization and alloimmune platelet refractoriness. Transfus Med Rev, 34 : 250-257, 2020 4)Marsh JC, et al : An epitope-based approach of HLA-matched platelets for transfusion: a noninferiority crossover randomised trial. Blood, 137 : 310-322, 2021 5)Estcourt LJ, et al : Tranexamic acid versus placebo to prevent bleeding in patients with haematological malignancies and severe thrombocytopenia(TREATT): a randomised, double-blind, parallel, phase 3 superiority trial. Lancet Haematol, 12 : e14-e22, 2025

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業界ニュース2026.10.12 06:10ロックアイコン

インフルエンザは減少も、過去5年同時期よりやや多い

週刊 感染症サーベイランスレポート #2026年第38・39週(2026.9.14 -9.27)

2026年第38週の全国的なトレンド 2026年第38週(9月14~20日)の急性呼吸器感染症(ARI)の定点当たり報告数は66.37(報告数24万5111例)で、前週から増加しました。前週を上回った都道府県は46都道府県でした。 疾患別では、 インフルエンザの定点当たり報告数は8.48(3万1428例)で、第26週以降増加が続いています 。過去5年間の同時期の平均と比較して、かなり多い水準です。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2.65(9826例)で、5週連続で増加しました。 入院サーベイランスでは、インフルエンザの新規入院患者数は752例で、前週から274例増加しました。年齢群別では80歳以上が222例と最も多く、次いで1~9歳が185例、70代が135例でした。COVID-19の新規入院患者数は319例で、前週から46例増加しました。 小児科定点では、 RSウイルス感染症は1.24で、第35週以降増加 が続いています。 ヘルパンギーナは1.30で、第35週以降増加しており、過去5年間の同時期の平均と比較してかなり多い水準 です。 一方、感染性胃腸炎は3.70で2週連続の減少、手足口病は1.36で第30週以降減少が続いています。 都道府県別の発生動向 インフルエンザの定点当たり報告数は、沖縄県(26.27)が最も多く、東京都(15.21)、愛知県(15.12)と続いています 。10.00を上回る都道府県は9都道府県です。 COVID-19は、埼玉県(5.87)、長野県(5.55)、栃木県(4.72)が上位となっています。 RSウイルス感染症は和歌山県(3.41)、宮崎県(2.53)、群馬県(2.48)。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は愛媛県(6.33)、鳥取県(4.11)、茨城県(3.92)となっています。 ヘルパンギーナは群馬県(6.24)、静岡県(3.12)、神奈川県(2.93)、感染性胃腸炎は大分県(7.72)、石川県(7.18)、福井県(6.64)の順です。水痘は大分県(1.17)、福島県(0.61)、神奈川県(0.46)が上位となっています。 表1 第38週における主要感染症の定点当たり報告数(全国) 主要感染症 定点当たり報告数 前週からの増減 インフルエンザ 8.48 ↑ COVID-19 2.65 ↑ 感染性胃腸炎 3.70 ↓ A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 1.48 ↑ RSウイルス感染症 1.24 ↑ 咽頭結膜熱 0.25 ↑ 水痘 0.22 ↑ 手足口病 1.36 ↓ ヘルパンギーナ 1.30 ↑ マイコプラズマ肺炎 0.55 ↑ 〔IDWR感染症週報 第38・39合併号/急性呼吸器感染症サーベイランス週報 第38週を参考に作成〕 2026年第39週の全国的なトレンド 2026年第39週(9月21~27日)の急性呼吸器感染症(ARI)の定点当たり報告数は41.84(報告数15万5282例)で、前週の66.37から減少しました。 疾患別では、 インフルエンザの定点当たり報告数は7.17(2万6678例)で、前週の8.48から減少しました。 第26週以降続いていた増加が止まりましたが、 過去5年間の同時期の平均と比べてやや多い 水準です。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は1.25(4671例)で、前週の2.65から減少しました。 入院サーベイランスでは、インフルエンザの新規入院患者数は859例で、前週から107例増加しました。一方、COVID-19は257例で、62例減少しました。 RSウイルス感染症は0.84、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は0.72、咽頭結膜熱は0.15で、いずれも前週から減少しました。ヘルパンギーナは0.59で、前週の1.30から減少したものの、過去5年間の同時期の平均と比べて多い水準です。マイコプラズマ肺炎は0.52となっています。 都道府県別の発生動向 インフルエンザの定点当たり報告数は、沖縄県(42.50)で最も多く、埼玉県(14.17)、茨城県(12.50)、愛知県(12.33)、岐阜県(10.18) と続きます。10.00を上回るのは5県です。 COVID-19は埼玉県(2.87)、長野県(2.24)、岐阜県(2.22)、RSウイルス感染症は宮崎県(2.73)、福井県(2.52)、和歌山県(2.04)で多くなっています。 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は茨城県(1.79)、鳥取県(1.58)、山口県(1.45)、感染性胃腸炎は沖縄県(4.08)、福井県(4.04)、大分県(3.92)で多く報告されています。 表2 第39週における主要感染症の定点当たり報告数(全国) 主要感染症 定点当たり報告数 前週からの増減 インフルエンザ 7.17 ↓ COVID-19 1.25 ↓ 感染性胃腸炎 2.22 ↓ A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 0.72 ↓ RSウイルス感染症 0.84 ↓ 咽頭結膜熱 0.15 ↓ 水痘 0.16 ↓ 手足口病 0.75 ↓ ヘルパンギーナ 0.59 ↓ マイコプラズマ肺炎 0.52 ↓ 〔IDWR感染症週報 第38・39合併号/急性呼吸器感染症サーベイランス週報 第39週を参考に作成〕

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キャリア・学び2026.10.09 06:00ロックアイコン

Up to Date! 臨床検査エキスパートレビュー # 微生物05

IDSA AMR Guidance 2026から考える薬剤耐性菌検査——菌名とS/I/Rの先に何を返すか

2026年版が示す「S/I/Rだけでは足りない」理由 2026年に改訂された米国感染症学会(IDSA)の抗菌薬耐性(AMR)グラム陰性菌感染症治療ガイダンスは、基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生腸内細菌目細菌(ESBL-E)、AmpC βラクタマーゼ産生腸内細菌目細菌(AmpC-E)、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)、治療困難耐性 Pseudomonas aeruginosa (DTR P. aeruginosa )、カルバペネム耐性 Acinetobacter baumannii complex(CRAB)、 Stenotrophomonas maltophilia を対象としている。 本ガイダンスは米国の治療指針であり、日本の診療にそのまま当てはめるものではない。また、治療選択を示す文書であり、薬剤感受性判定基準そのものを定めるものではない。薬剤感受性カテゴリーであるS(感性)、I(中間)、R(耐性)の判定や検査法についてはClinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)などの基準を参照し、本ガイダンスの治療提案とは区別して理解する必要がある。一方、検査室にとっては、耐性菌を検出したときに「どの情報を追加で確認すべきか」「どの結果を診療側に伝えるべきか」を考えるうえで有用である。 こうした位置づけを踏まえ、2026年版の主な変更点と、検査室が注目したいポイントを整理する。 2026年版の重要なメッセージは、耐性菌感染症を菌名とS/I/Rだけで判断しないという点である。本ガイダンスでは、原因菌の同定と薬剤感受性試験(AST)の結果を前提に、治療選択が整理されている。また、経験的治療では、過去12カ月の微生物検査結果、過去3カ月の抗菌薬曝露歴、地域や施設の累積感受性データを考慮することが示されている。 1.ESBL-EとAmpC-E——菌種ごとのリスクを捉える 検査室で特に意識したいのが、ESBL-EとAmpC-Eである。 ESBL-Eについて、2026年版では、 Escherichia coli 、 Klebsiella pneumoniae 、 Klebsiella oxytoca のセフトリアキソン耐性、すなわち最小発育阻止濃度(MIC)4µg/mL以上がESBL産生の代替指標として扱われている。なお、2024年版で対象に含まれていた Proteus mirabilis は2026年版ではこの記載から外れている。 AmpC-Eでは、従来の語呂合わせではなく、菌種ごとのリスクを理解することが重要である。特に Enterobacter cloacae complex、 Klebsiella aerogenes 、 Citrobacter freundii は、臨床的に問題となる誘導型AmpC産生のリスクが比較的高い菌種である。 Hafnia alvei も臨床経験は限られるものの、 in vitro データから同様のリスクカテゴリーとして整理されている。 2.CRE——S/I/Rに加えて確認したい耐性機序 CREでは、単に「カルバペネム耐性」と報告するだけでは不十分な場面がある。カルバペネマーゼには、KPC、OXA-48-likeのほか、メタロβラクタマーゼ(MBL)に分類されるNDM、VIM、IMPなどがある。カルバペネマーゼのクラスや遺伝子型によって有効な抗菌薬が異なるため、2026年版でもカルバペネマーゼタイプの同定は治療判断を最適化するために重要とされている。 微生物検査のエキスパートレビュー IDSA AMR Guidanceは治療ガイダンスであるが、検査室にとっても多くの有意義な情報がある。なぜなら、耐性菌治療の前提となるのは、正確な菌種同定、AST、耐性機序の把握だからである。 1.「S」の判定だけでは捉えきれないAmpC-E 例えばAmpC-Eでは、初回ASTでセフトリアキソンなどの第3世代セファロスポリン系薬が「S」に判定されることがある。しかし、 E. cloacae complex、 K. aerogenes 、 C. freundii では、治療中にAmpCが強く発現し、耐性化する可能性がある。 H. alvei についても、臨床データは限られるものの、同様の誘導型AmpC産生リスクを考慮する菌種として位置づけられている。つまり、これらの菌種では「S」と判定されていても、そのまま安心してよいとは限らない。検査室は、菌種名とAST結果を組み合わせて解釈する必要がある。 一方で、 Serratia marcescens 、 Morganella morganii 、 Providencia spp.などは、従来AmpC産生菌として一括りにされることがあった。しかし、2026年版では、これらの菌種で臨床的に問題となるAmpC過剰産生が生じる頻度は比較的低いと整理されている。したがって、昔から使われてきた「SPACE」「SPICE」といった語呂合わせだけで判断するのではなく、菌種ごとのリスクを理解することが重要である。 2.CREではカルバペネマーゼの型別までみる CREでは、さらに一歩踏み込んだ対応が求められる。CREには、カルバペネマーゼを産生するものと、ESBLやAmpC産生に、外膜ポーリンの減少・欠損による外膜透過性低下などが加わってカルバペネム耐性を示すものがある。特にカルバペネマーゼ産生CREでは、KPC、NDM、IMP、VIM、OXA-48-likeなどの型別が治療薬選択に関わる。日本ではIMP型MBLの存在が特に重要であり、CREを検出した場合には、カルバペネマーゼ産生の有無と型別をどこまで確認できるかが実務上のポイントとなる。 ただし、耐性遺伝子の検出はASTを代替するものではない。特に P. aeruginosa では複数の耐性機序が関与するため、カルバペネマーゼ遺伝子の結果のみから新規βラクタム系薬の感受性を推測せず、実測したAST結果とあわせて判断する必要がある。 3.感染か定着か、検出結果の意味を読む すべての対象病原体について、感染と定着を区別することが重要であり、特にCRABや S. maltophilia では、その判断がしばしば難しい。 S. maltophilia は、呼吸器検体から検出されても定着の場合があり、治療対象とするかどうかは患者背景と臨床像をあわせて判断する必要がある。一方で、血液培養陽性例、特に血液悪性腫瘍患者における菌血症や出血性肺炎などでは真の病原体となりうる。 2026年版では、侵襲性 S. maltophilia 感染症に対してセフィデロコル単剤がpreferred therapyとされた。しかし、その根拠となる比較臨床データは依然限られており、ASTの測定法の再現性やMICと臨床転帰の関連にも課題が残る。 したがって、検査室の役割は、単に菌名とS/I/Rを返すことではない。耐性菌を検出したときに、その結果が治療選択や感染対策にどのような意味を持つのかを、臨床側に伝わる形で整理することである。主なポイントを 表 に示す。 表 IDSA AMR Guidance 2026の主要ポイントと検査室での実務 対象 2026年版の要点 検査室で押さえるポイント ESBL-E E. coli 、K . pneumoniae 、 K. oxytoca ではセフトリアキソン MIC ≥4 µg/mLをESBL産生推定の代替指標とする(2024版に含まれた P. mirabilis は2026版では対象外)。 セフトリアキソン耐性だけでESBL確定とはしない。必要に応じて確認試験・遺伝子検査を追加し、治療薬の選択には実測したAST結果を用いる。 AmpC-E E. cloacae complex、 K. aerogenes 、 C. freundii は、臨床的に問題となる誘導型AmpCの中等度リスク菌種である。 H. alvei も試験管内データから同じカテゴリーに位置づけられる。侵襲性感染症では、第3世代セファロスポリン系薬がSでも原則として選択しない。 「SPACE」「SPICE」などで一括りにせず、菌種ごとのAmpC誘導リスクを踏まえて判断する。 CRE CREには、非カルバペネマーゼ産生菌とカルバペネマーゼ産生菌がある。KPC、MBL(NDM・VIM・IMPなど)、OXA-48-likeなど、カルバペネマーゼの型によって有効な薬剤が異なる。 可能であればカルバペネマーゼ産生の有無と型を確認する。ただし、遺伝子型だけで判断せず、AST結果と合わせて解釈する。日本ではIMP型MBLも重要である。 DTR P. aeruginosa セフィデロコル、セフタジジム・アビバクタム、セフトロザン・タゾバクタム、イミペネム・シラスタチン・レレバクタムは菌株ごとに活性が異なるため、4剤すべてのASTを行うよう検査室に促している。 他剤の結果から感受性を推測せず、4剤を個別に測定する。治療中の再分離や感染再燃時にはAST再検を検討し、必要に応じて外注検査や専門家相談につなぐ。 CRAB 感染と定着の区別が重要である。侵襲性CRABでは、sulbactam-durlobactam+イミペネムまたはメロペネムが優先される治療選択肢である。 呼吸器・創部検体では定着の可能性を考え、検体情報や患者背景と合わせて解釈する。AST法や使用可能な薬剤には地域・施設差がある。 S. maltophilia 侵襲性感染症ではセフィデロコル単剤が優先される治療選択肢である。ただし、根拠は主に感受性データと好中球減少動物モデルで、臨床データは限定的である。 まず感染か定着かを判断する。ASTの再現性やMICと臨床転帰の関連には限界があるため、S/I/Rだけで単純に判断しない。 〔Tamma PD, et al : Clinical Infectious Diseases, ciag481, 2026を基に筆者作成〕 検査室で確認したい5つのポイント 本ガイダンスを日常業務に活かすには、すべての治療薬を覚える必要はない。まず重要なのは、耐性菌を検出したときに、検査室としてどこで立ち止まるかを決めておくことである。 第一に、 AmpC-Eでは菌種名を確認する 。 E. cloacae complex、 K. aerogenes 、 C. freundii 、 H. alvei が検出された場合、第3世代セファロスポリン系薬の「S」という結果をそのまま治療上安全と考えてよいか、慎重に解釈する必要がある。 第二に、 CREではカルバペネマーゼの有無と型別を意識する 。院内で検査を実施できない場合でも、どのような症例を外注検査や専門家相談につなぐか、あらかじめ決めておくことが重要である。 第三に、 DTR P. aeruginosa 、CRAB、 S. maltophilia では、追加ASTや再検査の必要性を考える 。特にDTR P. aeruginosa では、セフィデロコル、セフタジジム・アビバクタム、セフトロザン・タゾバクタム、イミペネム・シラスタチン・レレバクタムの4剤について、他剤の結果から活性を推測せず、個別にASTを実施することが重要である。また、 P. aeruginosa では、治療中に再分離された場合や感染の再燃が疑われる場合にはrepeat ASTを検討する。 第四に、 定着と感染の鑑別を意識する 。CRABや S. maltophilia は、呼吸器検体や創部検体から検出されても、必ずしも治療対象とは限らない。一方で、血液培養陽性例や免疫不全患者では重要な病原体となりうる。検査室は、菌名とS/I/Rだけでなく、検体背景や混合菌の有無を踏まえ、必要に応じて「臨床像と合わせて感染症としての意義を判断する」ことを促すコメントを活用したい。 第五に、測定可能な抗菌薬をすべて一律に報告するのではなく、施設の抗菌薬適正使用支援チームやICTと連携し、 必要な薬剤を選択的に報告するselective reportingもdiagnostic stewardshipの観点から検討したい 。 IDSA AMR Guidance 2026は、米国の治療ガイダンスである。しかし、日本の検査室にとっても、耐性菌検査を診療にどうつなげるかを考えるための有用な資料である。これからの検査室には、菌名とS/I/Rを返すだけでなく、菌種、耐性機序、感染部位、患者背景を踏まえて、結果の意味を伝える力が求められる。 引用文献 1)Tamma PD, et al : Infectious Diseases Society of America 2026 guidance on the treatment of antimicrobial-resistant gram-negative infections. Clinical Infectious Diseases, ciag481, 2026 2)Tamma PD, et al : Infectious Diseases Society of America 2024 Guidance on the Treatment of Antimicrobial-Resistant Gram-Negative Infections. Clinical Infectious Diseases, ciae403, 2024

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