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キャリア・学び2026.09.02 06:00ロックアイコン

新人臨床検査技師の歩き方 [第18回]

学びの場を超えたつながり

74 同窓会・学校のつながりは“財産”になる 卒業して働き始めると、学生時代の仲間や学校とのつながりが少しずつ遠のいていくことがあります。しかし日々の業務に追われる1年目にとって、異なる職場で働く同級生や先輩・後輩との関係は、思っている以上に大きな支えになります。自施設では当たり前と思っていたことが実は珍しい取り組みだったと気付かされることもあります。認定資格取得などの情報を得る機会にもなります。同窓会や行事がある学校、地域ごとに集まる機会がある学校もあります。無理のない範囲でつながりを持ち続けることで、貴重なキャリアの“財産”へと変わっていきます。 —{75 恩師・卒業生ネットワークとの関係の築き方}— 75 恩師・卒業生ネットワークとの関係の築き方 学生時代の先生方は、卒業した後も皆さんの成長を応援してくれる存在です。卒業生の活躍を見たり聞いたりするのを楽しみにしている先生が多くいるものです。また各分野で活躍する先輩方とのネットワークは、意識して継続することで強固なものになります。関係を築く第一歩は、定期的な近況報告や学会発表の報告などを通じて日頃から関係を保つことです。何か困ったときだけ連絡するのではなく、「元気に技師を続けています」とメール一通送るだけでも、相手の印象には深く残るものです。仕事で悩んだときや進路について考えるとき、信頼できる恩師や先輩方は、必ずあなたの心強い味方となってくれます。 —{76 OB・OG訪問がくれた“働くリアル”}— 76 OB・OG訪問がくれた“働くリアル” 学生時代にOB・OG訪問を経験した方も多いでしょう。実際に働く先輩から聞いた「現場の生の声」は、求人票の文字だけでは決して見えてこない、本当のやりがいや職場の人間関係、さらには夜勤・当直のリアルな実態までを教えてくれたはずです。失敗談や苦労した経験など、現場で働く人だからこそ語れる“リアル”があります。もし今、理想と現実のギャップに悩んでいるなら、先輩たちのリアルな乗り越え方を思い出し、自分の働き方のヒントにしてみましょう。そしてあなたが「訪問される側」になったとき、後輩へリアルを繋ぐことが次の素晴らしい循環を生み出します。 —{77 つながりを活かすコツ:一方通行にしない関係性}— 77 つながりを活かすコツ:一方通行にしない関係性 人とのつながりは、情報やメリットを求めるだけの「一方通行」にしないことが大切です。1年目のうちは、先輩から教えてもらうことばかりになりがちですが、感謝の気持ちを言葉でしっかりと伝えるだけでも立派な双方向のコミュニケーションです。相談に乗ってもらったら後日結果を報告する、教えてもらったことへの感謝を伝える、得た情報を自分も共有するなど、小さな積み重ねが信頼関係を育てます。また、あなたが現場で直面している課題や、若い世代ならではの新しい視点・感覚は、ベテランの先輩にとっても有益な情報になります。「ギブ・アンド・テイク」の意識を持ち、豊かなネットワークにつなげましょう。 —{本日までの歩み}— 本日までの歩み 一般社団法人 臨床検査×わくわくプロジェクト 臨床検査業界を“わくわく”する場にすることを目的に、有志が集まって立ち上げた活動です。まずは自分たちがわくわくすることを探し、そして周囲を巻き込み一緒にわくわくし、最後には業界を巻き込みわくわくした場を広げていく、そんな流れをつくっていこうと活動をしています。詳しい活動の内容は こちら をご覧ください。

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キャリア・学び2026.09.02 05:45ロックアイコン

臨床検査技師のための感染症 Quick Reference #03

麻しん(はしか)

麻しん、国内で感染拡大の懸念 ワクチン接種は2期とも95%未満 麻しんの感染報告数が急増している。国立感染症研究所(感染研)の「病原微生物検出情報(IASR)」によると、2026年は6月第4週時点で554人例に上り、過去10年間で最大だった2019年(744例)に迫る勢い。日本国内ではウイルス排除状態にあるものの、世界的には流行が続き、「流行国からのウイルスの持ち込みリスクが高まっている」(応用疫学研究センターの砂川富正センター長)。 予防にはワクチン接種が有効だが、2024年度の接種率は1歳児(第1期)が92.7%、小学校就学前1年間(第2期)が91.0%。流行を防ぐための目標値である95%にいずれも及ばない。感染研では、ウイルスが海外から持ち込まれた場合でも感染拡大につながらないよう、サーベイランスの徹底などとともに、ワクチン接種率の向上を訴えている。 麻しんの概要 麻しんウイルス感染により引き起こされる急性感染症。はしか。主な症状は発熱、発疹、カタル症状(咳嗽、鼻汁、結膜充血) 麻しんウイルスの感染力は極めて強く、体育館の広さでも感受性者全員が発症するほど 小児期に感染し、2〜10年後に発症する予後不良の「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」が知られている。国内患者数は66人(2018年) 発生状況 2020〜2022年は年間10例以下に減少したが、コロナ禍後の2023年以降、増加傾向が続いている 2026年は6月第4週時点で554例の届け出。すでに前年の届け出数(265例)の2倍を超えた( 図 ) 2026年の届け出は国内感染例が73%を占め、症例の7割が10〜30代 図 国内の麻疹診断週別報告数(2008-2026年第26週) 〔砂川富正,他:感染症意見交換会(2026年7月30日)資料;最近の我が国の麻疹発生動向の特徴より〕 予防策 麻疹風疹混合(MR)ワクチンによる、1歳以上2回(第1期=1歳、第2期=小学校就学前の1年間)の接種が推奨されている 主な副反応は発熱や局所反応、リンパ節腫脹など ワクチン接種率(2024年)は第1期が92.7%、第2期が91.0%。目標の95%以上に及ばない

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キャリア・学び2026.08.31 06:00ロックアイコン

Up to Date! 臨床検査エキスパートレビュー # 臨床化学・免疫血清04

高感度化で変わる梅毒検査の読み方——RPR・TP抗体の解釈と経時的評価

性感染症のガイドラインが6年ぶりに改訂 1) 厚生労働省の報告からも明らかな通り、昨今、梅毒の再興(再流行)が深刻な問題となっている。特に2021年以降、その報告数は急増しており、男性は20〜50代と幅広い層で、女性は20代で突出して多く報告されている( 図1、2 )。 図1 梅毒報告数の推移(2010-2025年) 〔厚生労働省:梅毒;発生状況(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/syphilis.html)より〕 図2 年齢別にみた梅毒報告者数(2025年) 〔厚生労働省:梅毒;発生状況(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/syphilis.html)より〕 このような背景のもと、日本性感染症学会では2018年より梅毒診療の考え方や基本知識などの情報を継続的に発信し 2, 3) 、2025年12月には『性感染症 診断・治療ガイドライン2026』が6年ぶりに改訂・刊行された。 今回の改訂では、近年注目を集めているマイコプラズマ・ジェニタリウム感染症を含む既存項目の内容が更新されたほか、非淋菌性尿道炎、疥癬、エムポックスなどの項目が新たに追加された。さらに、BQ(Background Question)やCQ(Clinical Question)が設定され、エビデンスレベルや推奨グレードが明記されるなど、より実践的な内容となっている。 臨床化学・免疫血清検査のエキスパートレビュー 1.RPR・TP抗体検査の基本的な読み方 現在保険適用され、梅毒診断の軸となる検査には、非トレポネーマ脂質抗体検査(保険診療名「STS」、通称:RPR検査)と、トレポネーマ抗体検査(保険診療名「梅毒トレポネーマ抗体」、通称:TP抗体検査)の2種類がある。臨床ではこれらを同時に測定し、組み合わせて診断を行うが、近年はいずれも自動化法による定量的な測定が主流となっている。 両検査結果の解釈の基本は、 表 の通りである。 表 RPR・TP抗体検査結果を解釈する際のポイント STS(RPR) 梅毒トレポネーマ抗体 (TP抗体) 結果解釈のポイント ー ー 多くは非梅毒と考えられるが、感染初期で抗体がまだ検出されない時期(ウインドウ期)の可能性も考慮する。 + ー 生物学的偽陽性が考えられるが、感染初期の可能性も考慮する。 ー + 過去の梅毒感染を反映していることが多いが、早期梅毒の可能性も考慮する。 + + 活動性梅毒を疑うが、既往感染や、治療後もRPRの力価が低下しないSerofast reactionも考慮する。 〔筆者作成〕 2.TP抗体の高感度化で変わる梅毒診断 今回のガイドライン改訂において、臨床検査の観点から特に注目すべきは、活動性梅毒の診断基準が整理され、TP抗体陽性を重視する考え方が明確に示された点である。 近年、TP抗体検査の高感度化に伴い、早期梅毒ではRPRよりもTP抗体が先行して陽性となる場合があることから、結果の解釈には十分な注意が必要である。海外、特に米国や欧州の動向に目を向けると、このTP抗体検査の高感度化を生かして最初のスクリーニングに用いる「逆シークエンス・アルゴリズム(Reverse Sequence Algorithm)」を導入する検査室が増加しており、CDC(米国疾病予防管理センター)でも梅毒の血清学的検査アルゴリズムの一つと位置づけられている 4) 。 ただし、この手法は過去に治癒した陳旧性梅毒患者(既往のある患者)もスクリーニングで陽性と判定されてしまう点が課題とされている。その点を踏まえると、前述したようにRPRとTP抗体を同時に測定し、両者を組み合わせて診断する日本の手法は、診断精度(感度・特異度)の観点から理にかなったアプローチと言える。 3.治療効果判定とSerofast reactionの解釈 治療効果の判定に関しては、従来通りRPR定量値の低下を確認することが基本となるが、治療有効性の評価や再感染の早期診断においては、TP抗体の定量値の推移(低下傾向)を確認することも有用と位置づけられている。 さらに、RPRおよびTP抗体がともに陽性の場合は「活動性梅毒」を疑うが、適切な治療後もRPRの力価が低下しないSerofast reactionの可能性も考慮しなければならない。Serofast reactionは、かつて「体内に梅毒トレポネーマが潜伏しているため」と考えられていたが、最近の報告では感染によって引き起こされた免疫の活性化や、自己免疫的なメカニズムが遷延している可能性が指摘されている 5, 6) 。 梅毒陽性例で検査技師が臨床に伝えるべきこと 表に示した通り、梅毒の血清学的検査はもともと解釈が複雑であることに加え、昨今の報告数の増加や検査の高感度化により、その判定はさらに高度な専門性を要するものとなっている。初診時の1回の検査結果のみで、現在の活動性感染か、過去の治癒済み感染(あるいは偽陽性)かを完全に鑑別することは極めて困難である。 臨床検査技師には、検査結果の数値のみを返すのではなく、既往歴や治療歴、感染機会の有無などの臨床情報を確認することの必要性を臨床側に伝えるとともに、定量的な抗体検査の結果を経時的にフォローし、その推移を見極めることができるよう支援することが求められる。こうした情報提供が、適切な梅毒診療への重要な貢献につながると考える。 引用文献 1)日本性感染症学会・編:性感染症 診断・治療ガイドライン2026.診断と治療社,2025 2)厚生労働行政推進調査事業費補助金(新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業)研究 梅毒患者の実態把握及び対策に資する研究(山岸由佳班):梅毒診療の考え方 令和6年3月.2024(https://jssti.jp/pdf/syphilis-medical2403.pdf) 3)「梅毒診療の基本知識」作成ワーキンググループ:梅毒診療の基本知識.2024(https://jssti.jp/pdf/syphilis-medical_basicknowledge.pdf) 4)Papp JR, et al : CDC laboratory recommendations for syphilis testing, United States, 2024. MMWR Recomm Rep, 73 : 1-32, 2024 5)Cao Q, et al : Serofast status in syphilis: Pathogenesis to therapeutics. Clin Chim Acta, 560 : 119754, 2024 6)Kiolbasa M, et al : Serofast syphilis is associated with phospholipid-dependent coagulation abnormalities and B-cell activation following treatment. Int J Mol Sci, 27 : 4954, 2026

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検査室2026.08.31 08:00
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秋田大学医学部附属病院

安全な輸血医療を支えるシステム連携

「IH-500」「BRBTS NEXT」とRFIDを活用 秋田大学医学部附属病院(600床、秋田市)の輸血細胞治療・移植再生医療センターは、国際規格ISO 15189や、日本輸血・細胞治療学会のI&A認定など、安全な輸血医療を提供するための体制づくりを進めている。その運用を支えるのが、バイオ・ラッド ラボラトリーズのカード用全自動輸血検査装置「IH-500」、輸血・細胞治療管理システム「BRBTS NEXT」だ。病院全体で運用するRFID(ICタグ)を活用した製剤管理システムとも連携し、輸血業務の効率化と安全性向上に貢献している。 同病院は県内唯一の特定機能病院として高度急性期医療を担う。臨床検査技師は中央検査部をメインに、輸血や病理部門も含めて約40人が所属する。 同センターでの輸血検査実績(2025年度)は、血液型検査1万1389件、不規則抗体検査7849件、交差適合試験5273件。検査技師は5人配置されており、そのうち4人が認定輸血検査技師の資格を持つ。 部門として第三者評価や認定取得にも積極的に取り組んでいる。日本輸血・細胞治療学会の認定制度「I&A(Inspection & Accreditation)」を2017年4月に、ISO 15189を2023年10月に県内で初めて取得した。I&A取得に向けた活動では、輸血業務の標準化やマニュアル整備、トレーサビリティー強化などを進め、ISO 15189取得につながる品質管理体制を整備してきた。 現場ニーズに沿った柔軟なシステム構築 こうした輸血現場の取り組みを支えてきたのが、バイオ・ラッドのカード用全自動輸血検査装置IHシリーズと、輸血・細胞治療管理システムBRBTSシリーズだ。 輸血部門では2011年、従来の輸血検査装置から「 IH-1000 」2台に入れ替え、2023年に「 IH-500 」2台に更新。同センターと緊急検査室にそれぞれ1台ずつ配置されている。IH-1000を採用した当時、複数企業から提案がある中で、決め手となったのは、高い処理能力や簡便操作といった強みに加え、現場ニーズを柔軟に反映可能なシステムの拡張性だったという。 輸血部門の実務を束ねる佐藤郁恵副センター長は「検査室の要望やニーズを聞きながら、柔軟にカスタマイズしてもらえる点は大きな採用理由の一つ。実際の運用に当たり、院内関係部署や電子カルテのベンダー企業との調整役を担っていただいたことも、忙しい現場としてはありがたかった」と話す。また、宿日直では輸血を専門としない検査技師が輸血業務に関わる機会もあるため、「処理能力の高さだけでなく、シンプルに操作できる使い勝手の良さも大きかった」ことも挙げる。 現在稼働するIH-500は、IH-1000の機能を承継しながら、コンパクトサイズとなり、メンテナンス業務の負担軽減を図ったほか、試薬・消耗品を管理しやすい設計に改良されている。佐藤氏は、「以前は検査のたびに補充していた血球試薬の保冷機能や、エアギャップなどのエラー通知機能などは現場としてうれしい機能だ。試薬や消耗品を無駄にしないよう工夫されており、コスト削減を図れることも助かる」と語る。 視認性向上と運用改善を後押し IHシリーズとともに、輸血現場で定着しているのがBRBTSシリーズだ。2017年に前モデル「BRBTSIII」を電子カルテシステム更新に併せて導入、2025年には最新モデル「 BRBTS NEXT 」(以下、NEXT)に切り替えて、現在計11台のPCが院内に配置されている。 計11台が稼働するBRBTS NEXT NEXTは、見やすいワイド液晶画面や簡便操作が強みで、輸血業務の進捗状況表示や、IH-500と連携した画像取得・自動再検の機能を新たに備えた。特に反応画像をカラー表示できるようになり、判定時の視認性向上に貢献。関連指針やガイドラインに加え、JAHIS医療情報システムの患者安全ガイド(輸血編)にも準拠。血液製剤のウェブ発注にも対応している。 IHシリーズ同様、現場の実態に応じたシステム拡張性への評価も高い。NEXT導入後も継続的にカスタマイズが検討されており、現在は、紙ベースで管理している装置、試薬の精度管理をシステム内で行うための運用見直しを計画中だ。佐藤氏は、「今まではプリントアウトして台帳管理していたが、ISOにも対応したデータ形式で精度管理できるように準備を進めている」としており、年内の運用開始を予定している。 RFID連携で輸血業務を一元管理 秋田大学医学部附属病院は以前から、医薬品や血液製剤などの物品管理で、RFID(ICタグ)を導入しており、輸血部門でもIH-500、NEXTとも連動させて、安全確保の仕組みが整っている。佐藤氏は、「患者情報や製剤情報が集約されるラベルを製剤に貼るだけで、最終的に電子カルテシステムやIH-500、NEXTのデータとひも付く。バーコードと違い擦れていたり指紋が付いていても判読可能。導入以前は輸血システムへの手入力などアナログ作業もあったが、全ての情報が一元管理されて、輸血トラブルなどを防ぐという意味でもメリットは大きい」と強調する。 同センターでは今後も、病院全体で運用するRFIDと、輸血検査装置やシステムを連動させた業務効率化、輸血医療での安全性向上に継続的に取り組む考えだ。また、ニーズの高まる細胞治療や再生医療への対応強化も進める方針で、バンクを通じた非血縁者からの臍帯血や骨髄、末梢血幹細胞などの移植管理機能の整備を課題に挙げる。NEXTのカスタマイズ機能も活用しながら、より高度な細胞治療にも対応できる管理体制の構築を進めていく計画だ。 輸血細胞治療・移植再生医療センターの皆さん(前列中央が輸血責任医師の奈良美保氏、前列右が佐藤氏) 〈インタビュー〉 輸血細胞治療・移植再生医療センター 副センター長 佐藤郁恵氏 細胞治療への対応強化と医療安全のさらなる向上へ 輸血医療を取り巻く環境は大きく変化している。細胞治療の選択肢が広がる中で、輸血部門にも新たな役割が求められている。秋田大学医学部附属病院輸血細胞治療・移植再生医療センターでは、輸血医療の安全性向上に加え、細胞治療分野への対応強化にも力を入れている。今後の課題や展望について、佐藤郁恵副センター長に話を聞いた。 佐藤氏 輸血部門では装置やシステムの整備が進み、医療安全の体制は一定程度構築できていると考えています。今後は、院内の輸血医療の安全管理を担う中核部署として、検査室から積極的に臨床現場へ足を運び、輸血に関する助言や支援を行う必要があると感じています。現場の声に寄り添いながら、部署間の連携を深めることで、より安全で適正な輸血療法の実践につなげていきたいです。 一方で、今後は細胞治療への対応強化も重要な課題の一つです。CAR-T細胞療法やECP治療など治療の選択肢が増えており、それらに対応できる体制づくりが求められています。最適なタイミングで安全なアフェレーシスを行うためには、細胞治療に携わる検査技師の知識や技術の向上、体制維持が課題になります。これまで築いてきた輸血医療の安全性を維持しながら、細胞治療や再生医療にも対応できるセンターとして発展し、高度医療を支える役割を果たしていきたいと考えています。 カード用全自動輸血検査装置 IH-500(医療機器製造販売届出番号:13B3X00206000024) カード用全自動輸血検査装置 IH-1000(医療機器製造販売届出番号:13B3X00206000020) 製造販売元(バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社)

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キャリア・学び2026.08.28 06:00ロックアイコン

Voice of Lab. file 10 力丸 峻也(福島県立医科大学附属病院輸血・移植免疫部

研究未経験の技師が英文論文を書き上げるまで——「まずはやってみる」と、周囲の支えがくれた一歩

研究経験も浅く、英文論文を書くことなど想像もしていなかった私が、新たな装置の評価をきっかけに研究へ挑戦しました。臨床業務との両立やデータの解釈、英文執筆、査読対応など、壁にぶつかるたびに支えとなったのは、教授や共同研究者、先輩技師の存在でした。周囲の力を借りながら一歩ずつ進み、論文掲載と学術奨励賞の受賞に至るまでの経験を振り返ります。 私、こんなことしてます! 私は福島県立医科大学附属病院の輸血・移植免疫部に所属し、輸血検査をはじめ、造血幹細胞の採取や処理、凍結・管理、抗血小板抗体検査、新生児同種免疫性血小板減少症(NAIT)の検査などに携わっています。 1.乾式FFP融解装置の評価を研究へ こうした臨床業務に携わる中で、私は「45℃の乾式融解装置を用いることで、新鮮凍結血漿(FFP)の凝固活性を維持しながら迅速に融解できる可能性」を検証する研究に取り組みました。その成果は、学会発表を経て英文誌『Transfusion』に原著論文として掲載され、 第74回日本輸血・細胞治療学会学術総会では第31回学術奨励賞を受賞 しました。 『Transfusion』に掲載された原著論文 研究のきっかけは、当院で新型の乾式FFP融解装置を評価する機会をいただいた際、教授から「研究としてまとめ、論文にしてみないか?」と声をかけていただいたことでした。当時は研究経験も浅く、自分が主体となって研究を進め、英文論文を書くことなど想像もしていませんでした。それでも、貴重な機会を逃したくないという思いから、 まずは挑戦することを決めました 。 2.研究遂行と英文論文執筆で直面した課題 研究では、乾式融解装置と従来の恒温槽を用いて、FFPの融解時間や各種凝固因子活性を比較しました。しかし、装置の有用性と安全性を示すために何を測定すべきか、限られた研究用FFPをどう効率的に用いるか、正確な温度測定をどう行うかなど、次々と課題が生じました。そのたびに教授や共同研究者と議論を重ね、研究の目的に立ち返りながら、一つずつ方針を決めていきました。 特に苦労したのは、 臨床業務と研究の両立 です。実験が計画通りに進まないことや、追加検証が必要になることもありました。また、複雑なデータをどのように解釈し、図表や文章でわかりやすく伝えるかという壁にも直面しました。研究内容を人に説明することで、自分の論理の飛躍やデータ不足に気づき、研究への理解を深めることができました( 図 )。 図 講演スライドで使用した論文結果の一部 〔Rikimaru S, et al : Transfusion, 65 : 2024-2033, 2025を基に筆者作成〕 英文論文の執筆では、先行研究を読み込み、得られた結果をどのように位置づけるかを考えることにも苦労しました。日本語で考えた内容をそのまま英語に置き換えるのではなく、論理の流れを整理し、読み手に伝わる表現へ何度も修正しました。査読で指摘された点を一つずつ検討し、追加解析や文章の修正を重ねた経験も、研究を客観的に見直す大きな学びとなりました。 3.研究経験を輸血・細胞治療の実践へ 研究を最後までやり遂げられたのは、教授や共同研究者、先輩技師をはじめ、多くの方々が支えてくださったからです。この経験から、挑戦する過程そのものが学びとなり、成長につながることを実感しました。 今後は、研究を通じて培った課題を見つける力、データを正しく捉える力、わかりやすく伝える力を日々の輸血・細胞治療の現場へ還元するとともに、今度は自らの視点で一から研究を立ち上げることにも挑戦していきたいと考えています。それらの活動を通じて、より安全で質の高い医療に貢献できる臨床検査技師を目指したいと思っています。 —{明日のリーダーが今、考えていること}— 明日のリーダーが今、考えていること 若手の頃は、「知識が足りない」「自分にはまだ早い」と考え、挑戦を先延ばしにしがちです。しかし、すべての準備が整うのを待っていては、最初の一歩を踏み出せません。 研修会、学会での発表や研究の機会が巡ってきたときは、まず「やってみる」ことも大切です。最初から一人で完璧にこなす必要はありません。周囲に相談して力を借りながら学ぶと同時に、自ら考え、調べ、粘り強く取り組む姿勢も欠かせません。 また、学会や研修会での出会いも大切にしてください。そこでの意見交換や人とのつながりが、新たな気づきや次の挑戦を生むこともあります。 一歩を踏み出す勇気と日々の努力、人とのつながりの積み重ね が、臨床検査技師としての強みとなり、自分自身の価値を高めてくれるはずです。

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業界ニュース2026.08.28 05:00ロックアイコン

編集部 Pick Up ニュース[8月28日号]

忙しい臨床検査技師のための注目ニュースまとめ

臨床検査技師が押さえておきたい今週注目の5本 大腸がん45%に大腸菌産生毒素 大阪大、東大などの研究グループが、日本人の大腸がんの約45%で、一部の大腸菌が作る毒素「コリバクチン」によるDNA損傷の痕跡が確認されたと発表。便検査によるリスク評価につながる可能性も。 会報広告料を情報公開対象に 臨薬協が、会員企業と医療機関との透明性確保のための行動基準を改訂。従来、対象外だった▽賛助会費▽学会などの会合開催に付随しない広告料-を公開対象に追加。27年度支払分から適用へ。 GL周知で、赤血球製剤の廃棄率が低下 輸血・細胞治療学会が、血液製剤の使用ガイドラインの周知状況と、製剤使用量・廃棄率との関連を調査。200床以上の約5~7割でGLが周知されており、赤血球製剤では周知施設での廃棄率が低い傾向に。 JCCLSの外部精度管理、来月2日から 臨床検査標準協議会(JCCLS)が、外部精度管理の申込受付を来月2日から開始。小規模検査室を対象にしたもので、「臨床化学」と「血球検査」の2領域。どちらか1領域の参加も可能。 【新製品】「LZテスト‘栄研’FER2」 栄研化学が、新たなフェリチンキット「LZテスト‘栄研’FER2」を発売。既存品の高感度性能などを維持した上で測定範囲を拡大。高濃度検体の再検率低減と、低濃度域の再現性を向上させた。

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第75回日本医学検査学会 ランチョンセミナー11

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日本医療検査科学会第58回大会 ランチョンセミナー6

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サクラファインテックジャパン 第19回「サクラ病理技術賞」の公募を開始

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