
知りたい!取りたい! 資格・認定 [第13回]
消化器内視鏡技師
日本消化器内視鏡学会は、医学の基礎知識と内視鏡の専門知識・技術を備えて、消化器内視鏡業務に従事する医療従事者を「消化器内視鏡技師」として認定している。消化器内視鏡技師は、医師の監督・指導の下、内視鏡や関連機器の管理、検査・治療の介助、患者対応、検査予約、資料管理などを担う。 受験資格は、(1)看護師、臨床工学技士、臨床検査技師、衛生検査技師、診療放射線技師、薬剤師、准看護師のいずれかの資格を有する(2)同学会認定の消化器内視鏡専門医が従事する施設で、内視鏡業務に2年以上従事(3)日本消化器内視鏡技師会の学会または研究会に2回以上参加する(4)機器取り扱い講習会基礎編を1回以上受講(5)消化器内視鏡に関する基礎医学の講義を20時間以上受講―など。また、上部・下部消化管、胆・膵の内視鏡検査・処置について年間100件以上の介助実績があり、専門医から証明・推薦を得ることなどが求められる。 試験は、書類審査と学術試験で実施。資格更新は5年ごと。資格取得者は消化器内視鏡技師会への入会が必須となる。 ■受験者数・職種別割合 受験者数は1100~1200人程度/回。合格者数・合格率は非公開。 ■資格保有者の職種別割合(2026年8月時点) 図:消化器内視鏡技師の職種別割合 ■ 日程(2027年度実施分) 受験申請受付期間:2026年9月1~30日 書類審査合否通知:2026年12月上旬ごろ 学術試験(全国同一日時にCBT方式で実施):2027年3月14日 学術試験合否通知:2027年4月下旬ごろ ■ 費用 受験料:1万円 学術試験合格者:認定料5000円・消化器内視鏡技師会初年度会費5000円 教えて! 消化器内視鏡技師 (回答) 日本消化器内視鏡技師会 会長(臨床検査技師) 角森 正信氏 ―消化器内視鏡技師の特徴を教えてください。 内視鏡の検査業務は、検体検査や生理検査とは大きく異なります。直接内視鏡を操作するのは医師です。臨床検査技師などは、検査や治療の介助、器具の準備・片付け、内視鏡の洗浄・消毒や感染対策などを担います。 内視鏡技術の進歩により、診断だけでなく、高度な技術を要する治療も実施できるようになっています。一方、リスクや難易度の高いケースもあり、安全管理の観点から多職種によるチーム医療が重要になっています。 消化器内視鏡技師の資格は、内視鏡に関する一定の知識や経験を備えていることを示す一つの指標になります。資格取得を自信につなげ、さらに知識や技術を高めたり、後輩の指導に生かしたりしていただきたいです。 ―内視鏡検査において臨床検査技師であることは強みになりますか? 資格取得者は看護師が多いのですが、臨床検査技師は検体検査や生理に関する知識を備えていることが強みになります。内視鏡検査では、病理検査につながる検体を数多く扱います。採取した検体を良好な状態で病理検査室へ届けることは、適切な診断につなげる上で非常に重要です。病理検査の基礎知識を備えていることで、病理検査室との連携でも力を発揮できると思います。 寄生虫や細菌など、内視鏡検査をきっかけに他の検査につながるケースもあります。分からないことがあれば検査室の同僚に相談し、得られた情報を内視鏡室にフィードバックしやすいことも、臨床検査技師の強みだと思います。 ―資格取得に関心がある臨床検査技師へのメッセージをお願いします。 内視鏡室は、臨床検査技師だけではなく、医師や看護師など他職種と共に働く環境になります。自分が知らないこともたくさんあると理解し、まずは周囲から学ぶ姿勢が大切です。 臨床検査技師は内視鏡の検査や処置の介助に目が向きがちですが、内視鏡の洗浄・消毒や感染対策、器具の準備なども重要な仕事です。こうした基本的な業務を経験しながら知識を身に付け、周囲とコミュニケーションを取ることで、医師や看護師から信頼され、チームの一員として認められるようになります。 勉強すればするほどチームの輪の中に入り、患者さんに直結した医療に携わることができます。検体検査や生理検査とは違った角度から医療に携わることができ、やりがいを感じられる領域だと思います。 消化器内視鏡技師の詳細はこちら

臨床検査技師のための感染症 Quick Reference #04
マラリア
マラリア 世界で感染拡大、水際対策が重要に 世界の三大感染症の一つであるマラリアがコロナ禍以降、世界で感染を広げている。国立健康危機管理研究機構(JIHS)の「病原微生物検出情報(IASR)」は8月号でマラリアを取り上げた。それによると、WHO(世界保健機関)の報告では、2024年には年2.8億人が感染し、61万人が死亡した。感染はサハラ以南のアフリカに集中しているが、韓国などのアジアの一部でも患者が増えている。JIHS国立感染症研究所寄生動物部の案浦健室長は8月の意見交換会で、日本国内への感染蚊の侵入・定着を防ぐため、空港などでの監視と水際対策が重要だと話した。 マラリアの概要 結核、エイズと共に世界三大感染症の一つ。日本では、感染症法上の4類感染症(全数届け出) マラリア原虫による寄生虫疾患で、ハマダラカが媒介する 発熱、貧血、脾腫が三大兆候だが、頭痛や悪寒など多様な症状を示す。血小板減少や肝機能障害などの検査異常も多い。治療が遅れると致死的となる 発生状況 世界ではコロナ禍以降、感染者数と死亡者数が増加し、アフリカ東部〜南部を中心にアウトブレイクが多発。薬剤耐性原虫や殺虫剤抵抗性蚊の拡大も課題 日本ではコロナ禍に届け出数が減少した後、再び増加し、近年は年50例前後。全て輸入症例で、現在国内感染例は報告されていない 韓国でも患者が増加しており、2023年は過去12年間で最悪の年747例が報告。9割が国内感染症例。一方、欧州では、感染したハマダラカが航空機などで持ち込まれる「エアポートマラリア」が問題に 検査のポイント 感染症法の届け出基準では、▽血液像によるマラリア原虫の確認▽核酸増幅法による病原体遺伝子の検出▽フローサイトメトリー法による感染赤血球の検出―が診断根拠 2007〜2025年の届け出で報告された診断方法(重複回答)の77%が顕微鏡検査法で、最多 迅速診断キットは感度、特異度ともに良い製品が多数あるが、国内未承認のため補助的に使用する 対策 ハマダラカは日本国内にも生息。海外から病原体が持ち込まれないよう空港などでの水際対策の強化が重要 日本国内であれば治療できる感染症。ワクチンの有効性は限定的なため、早期診断・治療が重要 空港の近隣住民や空港業務従事者などは海外渡航歴がなくても、極めてまれながら「エアポートマラリア」の可能性を考慮する必要 図 マラリアのまとめ 〔案浦健:感染症意見交換会(2026年8月31日)資料;マラリアの世界的動向と日本における水際対策(世界のマラリア流行状況/輸入症例と国内の媒介蚊など)より一部改変〕

新人臨床検査技師の歩き方 [第21回]
給与明細の読み方と税金の基本
86 「手取り」と「額面」の違い、説明できますか? 給与明細に書かれている「基本給+各種手当」の合計が額面(総支給額)です。そこから所得税・住民税・健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料などが差し引かれた後、実際に口座へ振り込まれる金額が手取りになります。一般的に手取りは額面の75〜85%程度です。「月給25万円と聞いていたのに、振り込まれた金額が思ったより少ない」と感じた経験はありませんか。額面イコール手取りと思い込んでいると、最初の給料日に戸惑うことになります。給与の仕組みを正しく理解することは、社会人としての第一歩です。まずこの違いをしっかり押さえておきましょう。 —{87 給与明細でチェックすべきポイント}— 87 給与明細でチェックすべきポイント 明細は大きく「勤怠」「支給」「控除」の3ブロックに分かれています。まず勤怠欄で出勤日数・残業時間が正しく反映されているか確認します。次に支給欄で残業代・夜勤手当・資格手当が漏れなく計上されているかを見ます。最後に控除欄で健康保険・厚生年金・所得税の金額を確認しましょう。「明細なんて見なくてもいい」と思いがちですが、給与の計算ミスは実際に起こります。特に夜勤や当直の多い臨床検査技師にとって、手当の確認はとても重要なポイントです。毎月必ず目を通す習慣をつけ、明細は捨てずにしっかり保管しておくことをおすすめします。 —{88 所得税・住民税・社会保険の仕組みをざっくり理解}— 88 所得税・住民税・社会保険の仕組みをざっくり理解 所得税は毎月の給与から概算で天引きされ、年末調整で精算される国税です。住民税は前年の所得をもとに翌年6月から徴収される地方税です。「入職1年目は住民税がかからないのに、2年目の6月から突然手取りが減った」と感じる人が多いのはこのためです。あらかじめ知っておけば慌てずに済みます。社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)は会社と折半で負担しており、自分と同額を職場側も支払っています。それぞれ目的と仕組みが異なるため、何のために引かれているのかをきちんと意識するだけで、給与明細への理解がぐっと深まります。 —{89 若いうちから知っておくべき"控除"の考え方}— 89 若いうちから知っておくべき"控除"の考え方 控除とは「課税される所得を減らす仕組み」です。給与から社会保険料控除・基礎控除などが差し引かれた後の金額に税率が掛かるため、控除が多いほど税負担が軽くなります。「年末調整の書類、よくわからないまま提出していた」という人も少なくありませんが、それでは受けられる控除を見逃している可能性があります。生命保険料控除・iDeCo・ふるさと納税は、若いうちから活用しやすい代表的な制度です。特にiDeCoは老後の備えと節税を同時に実現できる魅力的な仕組みです。まずは年末調整の書類を丁寧に確認することから始めてみましょう。 —{本日までの歩み}— 本日までの歩み 一般社団法人 臨床検査×わくわくプロジェクト 臨床検査業界を“わくわく”する場にすることを目的に、有志が集まって立ち上げた活動です。まずは自分たちがわくわくすることを探し、そして周囲を巻き込み一緒にわくわくし、最後には業界を巻き込みわくわくした場を広げていく、そんな流れをつくっていこうと活動をしています。詳しい活動の内容は こちら をご覧ください。

編集部 Pick Up ニュース[10月16日号]
忙しい臨床検査技師のための注目ニュースまとめ
臨床検査技師が押さえておきたい今週注目の5本 精度管理受検料、27年度から引き上げ 日臨技が、2027年度の精度管理調査事業から受検料を引き上げへ。事業を支える試料、輸送等の経費高騰を受けた対応。新受検料一覧をホームページで公開。 9月承認簿、体外診の新規6件 厚労省が、2026年9月分の承認簿。体外診断用医薬品は新規が6件、一部変更承認が12件。 「臨床検査科」270病院に増加 厚労省が、2025年の医療施設(動態)調査等の結果を発表。臨床検査科を標榜する一般病院は2025年10月1日時点で270施設(前年から3施設増)。病理診断科を標榜する一般病院は986施設(2施設減)。 東北大など、ALSの血中マーカー候補発見 東北大などの研究グループが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)のうち、SOD1遺伝子変異持つ患者の血中マーカー候補として「C7orf31」を発見。患者での血中濃度が健常者に比べて有意に上昇。 医療業のカスハラ対策でマニュアル 改正労働施策総合推進法の施行受け、医療機関を含む全事業主にカスハラ防止措置を義務づけ。厚労省は医療業での対策やノウハウに関するマニュアルを年度内に策定方針。

サクッと解説! 検査技師必見トピックス #24
長沢体制が本格始動、その方向性を読み解く
長沢氏が掲げる学術活動の強化 を、臨床検査技師の職能評価や会員が実感できるメリットにどうつなげるかが焦点となる。 日臨技・日技連のトップ兼任と業界の「オールジャパン」の連携で政策実現 を目指す中、日技連の組織基盤強化や組織内候補の擁立が課題となる。 改革を進めながら会員の理解をどう広げ 、学術・職能・政策を具体的な成果に結び付けられるかが長沢新体制に問われる。 日本臨床衛生検査技師会(日臨技)で6月、長沢光章氏を会長とする新体制が発足しました。副会長3人が全員交代し、理事も約半数が新任となるなど、幹部の顔ぶれも大きく変わりました。就任直後の熊本地震への対応に加え、9月の世界医学検査学会(IFBLS)と日本医学検査学会の合同学会が終わり、長沢氏が目指す事業展開のギアを上げる段階に入ります。これまでの講演などでは、「学術」「職能」「政策」を一体的に進める考えを打ち出しています。 6月27日、長沢体制が発足 「学術」を職能の評価へ 学術強化と次世代育成を掲げる長沢会長 中でも長沢氏が主張しているのが「学術活動」の強化です。「学術、技術がなければ国民の信頼は得られない」との考えから、日臨技支部や都道府県技師会、専門学会などとの連携を強化しながら、学術部門・活動の再編を進めます。臨床検査の精度管理・品質保証でも、関連学会や団体と連携し、より大きな枠組みでの体制構築を目指す構えです。 ただ、日臨技は学術活動を柱に据えてきた一方で、約7万人の臨床検査技師を抱える職能団体です。各検査領域には専門学会があり、「日臨技が学術活動をどこまで担うのか」という議論はあるでしょう。職域拡大や処遇改善など、より直接的なメリットを職能団体に期待する会員も少なくはありません。 その意味で、長沢体制を読み解くポイントとなるのが、「学術」を学術だけで終わらせず、臨床検査技師の「職能」の評価にどうつなげるかです。医療現場でさらに存在感を高めるには、検査データを読み解き、それを臨床にしっかりと伝える力が求められます。検査医だけでなく、幅広い診療科の医師や他職種と検査データを軸に対話し、診療に必要な情報を提供できる検査技師の育成も重要になります。こうした検査技師の存在価値を社会に示しながら、その成果を会員が実感できるメリットにつなげていけるかが焦点になります。 政策実現へ、日臨技・日技連トップ兼任 三つ目の柱となるのが「政策」です。診療報酬や検査制度など、臨床検査技師を取り巻く制度は日臨技だけでは変えられません。長沢氏は関係団体、学会、企業などが連携する検査業界の「オールジャパン」を掲げています。自身は7月、日臨技の政治連盟「日本臨床検査技師連盟」(日技連)の代表に就任しました。日臨技と日技連のトップを兼ね、政策実現に向けて、より機動的に動けるかも注目です。 長沢氏は、臨床検査技師の資格を持つ国会議員の必要性を訴えていますが、日臨技会長で参院議員だった宮島喜文氏が政界を退いて以降、それを担う具体的な組織内候補は見いだせていません。日技連の加入者数も8月時点で約1500人にとどまっており、組織基盤の強化という大きな課題も横たわっています。検査業界の現場の声や政策課題を国政に届け、制度に反映させる道筋を、業界全体で探ることが求められるでしょう。 「反発なくして改革なし」 昨年末の会長候補者選挙は、長沢氏が1万7127票、対立候補が1万6524票と、わずか603票差の接戦でした。今後の会務運営にあたり「反発なくして改革なし」と語る長沢氏。改革を進めるには、その狙いを幅広い会員に丁寧に伝え、理解を得ながら組織をまとめていくことも求められます。 組織のトップが変われば、人事や予算配分も変わり、そこには長沢体制が何を重視するのかが表れてきます。「学術、職能、政策」の三つをどう結び付け、具体的な成果として示せるでしょうか。長沢体制の真価が問われるのは、これからです。 (清水康功)

地域特性から考える「明日の検査室」 #20 山形県
山形県の環境変化と最上医療圏 臨床検査技師からの提言
医療機関の臨床検査室の運営では、それぞれのエリアでの人口推移や医療ニーズの変化、医療従事者数の変動といった、地域特性を踏まえた戦略が重要になります。 地域特性から考える「明日の検査室」は、日本臨床衛生検査技師会の医療技術部門管理資格認定・医療管理者資格認定を取得した演者が、所属する施設の地域特性をデータで示しながら、今後の検査室運営に必要な視点や備えを解説する企画です。 企画は、各地域の実情や課題に関するスライドを見ながら、音声で聞いて学べる動画シリーズとしました。目で見て、耳で聞いて、皆さんが将来の検査室運営、戦略を考える際の参考になればと思っております。(MTJ編集部) 日本臨床衛生検査技師会「医療技術部門管理資格認定、医療管理者資格認定」 日本臨床衛生検査技師会が、病院の医療技術部門の責任者やリーダーとしての資質を備えた人材を認定する「医療技術部門管理資格認定」と、その上位資格として、病院や施設の副院長や事務長などを担える人材を認定する「医療管理資格認定」制度を設けている。詳細は こちら 。


























































