キャリア・学び
臨床検査技師のための感染症 Quick Reference #04
マラリア

マラリア 世界で感染拡大、水際対策が重要に
世界の三大感染症の一つであるマラリアがコロナ禍以降、世界で感染を広げている。国立健康危機管理研究機構(JIHS)の「病原微生物検出情報(IASR)」は8月号でマラリアを取り上げた。それによると、WHO(世界保健機関)の報告では、2024年には年2.8億人が感染し、61万人が死亡した。感染はサハラ以南のアフリカに集中しているが、韓国などのアジアの一部でも患者が増えている。JIHS国立感染症研究所寄生動物部の案浦健室長は8月の意見交換会で、日本国内への感染蚊の侵入・定着を防ぐため、空港などでの監視と水際対策が重要だと話した。
マラリアの概要
- 結核、エイズと共に世界三大感染症の一つ。日本では、感染症法上の4類感染症(全数届け出)
- マラリア原虫による寄生虫疾患で、ハマダラカが媒介する
- 発熱、貧血、脾腫が三大兆候だが、頭痛や悪寒など多様な症状を示す。血小板減少や肝機能障害などの検査異常も多い。治療が遅れると致死的となる
発生状況
- 世界ではコロナ禍以降、感染者数と死亡者数が増加し、アフリカ東部〜南部を中心にアウトブレイクが多発。薬剤耐性原虫や殺虫剤抵抗性蚊の拡大も課題
- 日本ではコロナ禍に届け出数が減少した後、再び増加し、近年は年50例前後。全て輸入症例で、現在国内感染例は報告されていない
- 韓国でも患者が増加しており、2023年は過去12年間で最悪の年747例が報告。9割が国内感染症例。一方、欧州では、感染したハマダラカが航空機などで持ち込まれる「エアポートマラリア」が問題に
検査のポイント
- 感染症法の届け出基準では、▽血液像によるマラリア原虫の確認▽核酸増幅法による病原体遺伝子の検出▽フローサイトメトリー法による感染赤血球の検出―が診断根拠
- 2007〜2025年の届け出で報告された診断方法(重複回答)の77%が顕微鏡検査法で、最多
- 迅速診断キットは感度、特異度ともに良い製品が多数あるが、国内未承認のため補助的に使用する
対策
- ハマダラカは日本国内にも生息。海外から病原体が持ち込まれないよう空港などでの水際対策の強化が重要
- 日本国内であれば治療できる感染症。ワクチンの有効性は限定的なため、早期診断・治療が重要
- 空港の近隣住民や空港業務従事者などは海外渡航歴がなくても、極めてまれながら「エアポートマラリア」の可能性を考慮する必要
〔案浦健:感染症意見交換会(2026年8月31日)資料;マラリアの世界的動向と日本における水際対策(世界のマラリア流行状況/輸入症例と国内の媒介蚊など)より一部改変〕
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