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わかりやすい! 医療政策から読み解く技師の未来 [第19回]
外来機能報告制度編

2025.07.04 00:00 会員限定記事を示すアイコン


 
今回のキーワード 
外来医療の効率化へ「機能報告制度」
報告対象外の臨床検査技師
採血業務から広がる検査技師の新たな役割

 


 
 

医療の提供体制を考えた場合に、入院医療と外来医療という切り口があります。外来医療の中心は国内で約10.5万施設(2023年)に上る診療所で、病院においても外来部門が重要な役割を担っています。そんな中、病院外来医療に効率化の波がやってきており、その柱となる政策が外来機能報告制度です。今回はこの制度をひもときつつ、臨床検査技師にとって切っても切り離せない外来医療について考えてみたいと思います。

 

外来医療の課題

 

医療現場の課題は、施設規模や地域環境などによって変わります。施設規模に関連したものとしては、「大学病院であれば良い医療を受けられる」に代表される患者の大病院志向があり、これらは外来における長い待ち時間や医師の業務負担増加にもつながっています。

 

また、地域環境に関連したものとしては、医師の偏在や人口構造の変化があります。地方では医師不足が待ったなしの状況になっており、そこに人口構造の変化が重なって複雑な問題となっています。人口構造の変化は、外来医療ニーズの減少と、入れ替わるように在宅医療ニーズの増加にもつながっています。大病院にとっては、外来医療ニーズの減少は診療活動の効率化に寄与する面があるかもしれませんが、中小病院や診療所にとっては給与の源泉の大部分であることが多く、経営的にも医療者個人としても重要なポイントと言えます。加えて、在宅医療ニーズの増加については、地方における診療所医師の高齢化が影響し、在宅医療に求められるフットワークの軽さとICTの利活用が本当に進められるのかという課題も出てきています。

 

そして、臨床検査技師においても、上述の外来医療の課題とそれらを取り巻く環境変化に注目することが重要です。なぜなら、国のレセプトデータ集計を基にした検査件数や総点数では、ボリュームゾーンが入院医療ではなく外来医療となっているためで、業務量に直結する可能性が高いためです。

 

改革の方向性と報告制度の意味

 

こうした背景を受けて、入院医療を中心に議論してきた地域医療構想では、外来医療も本格的に取り上げて議論することになりました。紹介受診重点医療機関という大病院志向の新たな打開策も掲げられ、2020年度には都道府県ごとに外来医療計画が進められています。そして、これらの策からは、外来医療における役割分担という新たな方向性が垣間見えます。

 

さて、外来機能報告制度は、病院は義務、無床診療所は任意で、外来医療に関するデータを集めていく制度です。医療従事者や医療機器などの医療資源を見える化し、効率的に運用していくことを目的としています。実際に収集されるデータは、ナショナルデータベースより収集される外来患者数やMRI検査件数などのほか、外来医療の人材配置状況も個別に収集されます。医師や看護師、看護補助者、助産師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、薬剤師、臨床工学技士、管理栄養士の人数を報告することとなっていますが、臨床検査技師は入っていないのが現状です。

 

外来における臨床検査技師の役割

 

病院の建築では部門構成を病棟部門、外来部門、診療部門、供給部門、管理部門と整理し、どのくらいの割合で建築計画を進められるかと考えることがあります。この場合、検査室は診療部門であり、外来部門でも病棟部門でもありません。このたびの外来機能報告制度では配置人数の報告対象に臨床検査技師は含まれておらず、政府や医療関係団体には、臨床検査技師は外来で配置する職種と捉えられていないと考えることができます。

 

かねてより臨床検査技師は病院内のラボに在室し、データに基づく診療行為の根幹を支える技術者です。そして、医師のパートナーというよりは陰の立役者という側面が強いです。医師が入院・外来と横断的に業務をこなすように、陰の立役者も入院・外来という区分けなく役割を果たしてきた経緯があります。これらの特徴は、ネガティブに捉えると臨床検査を閉鎖的で近寄りがたい分野にしてきたかもしれません。しかし、ポジティブに捉えれば、専門的でありながら多様な分野が生まれ、学術的魅力と社会的やりがいのある分野へと深化させたとも言えます。健康増進と先端科学にますます注目が集まる時代には、医療から少し広がりのあるヘルスケアの視点で社会的イノベーションにつながる可能性を持つ分野だと考えることができます。こうした意味でも、ある程度成熟した病院では、臨床検査技師の役割は次のフェーズへ進めていく必要性があるように感じます。

 

外来医療で考えた場合、鍵は臨床検査と直結する採血行為と外来部門のチーム医療への参画ではないかと思います。採血は中小病院や診療所ではいまだ看護師の領分という施設も多いのが現状です。一方で、大学病院をはじめとする規模の大きい病院では採血室は医療技術部門の管轄であり、臨床検査部門がマネジメントしています。例えば、採血担当の看護師を臨床検査部門としてパート雇用し、採血を任せるケースも徐々に出てきました。さらには、採血や検査結果の待ち時間の課題を検査部門の采配で解消する体制が整うと病院経営に大きく貢献するチャンスになり、臨床検査部門の役割とプレゼンスの拡大に寄与します。

 

最近、「臨床検査技師も病棟・入院チームの一員となろう!」という流れが進みつつあるようです。これらと並行してもう一度、「外来チームで一員になっているのだろうか?」と振り返ってみることも大切です。臨床検査部門が院内にありながら外注先のような壁のある部署になっていないでしょうか。アウトソーシングの是非も実は、この点がポイントだと感じています。

 

臨床検査技師も他職種側も互いにドアを開き、これまで手がけていない業務に一歩踏み出してみる。実は想像以上に伸びしろがある臨床検査という分野を、外来医療をベースに見つめ直すことは、まさしくこのタイミングなのかもしれません。

 
 
※MTJ本紙 2025年3月1日号に掲載したものです

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