臨床検査技師が知っておきたい医療AI [第1回]
なぜ今、AIが期待されているのか? AIリテラシー 編(1)

キーワード
ビッグデータ
人工知能
機械学習・深層学習
近年、人工知能(AI)という言葉を私たちの身の回りでよく耳にするようになりました。私たちが利用しているサービスの中にはすでにAIが組み込まれているにもかかわらず、AIが自動応答や自動判断しているとは気付かずに、サービスを利用していることもあります。実際、見聞きこそすれ、AIは裏方で働く技術ですので、AIがどのようにつくられているのか、どのような場面で使われているのかなどを知る機会が乏しいのが現状です。この連載では、現場で活躍する臨床検査技師の皆さまに、医療分野での人工知能技術開発の背景や進展について、特に臨床検査部門でのAIに焦点を当て解説します。
ビッグデータとAIがもたらす変化
ビッグデータとAIは、新たな時代のバックボーンとなる重要なキーワードであり、読者の皆さんも一度は聞いたことがあるかと思います。ビッグデータとは大容量かつ高速に生成されるデータを指し、AIとはコンピューターや機械に人間の知能や思考能力を模倣させる技術や研究の総称を指します。そして、医療機関においてのビッグデータこそが、臨床検査データです。患者の病歴、遺伝子情報、検査結果などの長年の膨大なデータが医療機関には蓄積されており、これらをAI解析することで、個々の患者に適したカスタマイズされた治療法や予防策を見つける手助け(診断支援)や、早期の病気の発見や治療の最適化(医療の効率化)が可能となります。
(出典:内閣府、科学技術政策)
機械学習と深層学習
図2は、AI技術開発の推移を示したものです。
第1次AIブーム(1950年代~1970年代)には、AIに対する理論的な基盤が築かれ、初めてコンピューターによる学習や問題解決の試みが始まりました。その後、第2次AIブーム(1980年代~1990年代)には、機械学習やエキスパートシステムなどの新たな技術の開発へ取り組みが始まりました。初期の自動血液像分類装置が開発されたのは、この頃です。そして、第3次AIブーム(2010年代以降)が到来し、インターネットを通じて収集された大量のデータ(ビッグデータ)が利用可能になり、深層学習やニューラルネットワークなどの技術が進化したことで画期的なAI技術の進展が起こりました。この深層学習こそが、劇的な社会変革を起こす基盤となったAI技術です。
機械学習と深層学習はともにAIの一手法であり、データからパターンを学習し、予測や判断を行うことに変わりはありません。両者の大きな違いは、機械学習は予測・判断に必要な基準を人間からの提示することが必要であるのに対し、深層学習は大量のデータをAI自ら学習し、複雑な特徴やパターンを自動的に抽出する点です。深層学習は、ヒトの神経回路を模倣した多層のニューラルネットワークを使用することで、画像認識や自然言語処理などで、驚異的な精度を実現しており、この手法を用いた医用画像診断の自動化に期待が集まっています。
AIの進歩はすでに医療の世界に大きな変革をもたらし、それを活用することで臨床検査の未来が変貌していくことは明らかです。臨床検査技師はこれらの革新技術を、効果的かつ倫理的に活用することが求められており、それに伴い臨床検査技師の役割も大きく変わってくる可能性が高いと言えます。
続きを見るには会員登録
(無料)が必要です
会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。
MTJメールニュースの会員のみなさまへ
MTJメールニュースは、WEBサイト「MTJ ONE」にリニューアルいたしました。
お手数ですが、下記より再度、新規会員登録をお願いします。




![臨床検査 DX――最先端を走る検査室の日常[後編]](https://static-mtj.jiho.jp/articles/1251/HOVgwu9aW11cjXzJ7dGReuUdhgmygGoHMZPDfLeS.jpg)
![臨床検査 DX――最先端を走る検査室の日常[前編]](https://static-mtj.jiho.jp/articles/1250/ek2buaSdCjBEPxgzIRkzGLqrJi2Ej2H8yWh8w9jE.jpg)

