業界ニューストレンド

へき地医療担うも課題山積 制度開始10年
目標値遠く、特定看護師研修見直しへ

2026.02.06 05:10 会員限定記事を示すアイコン

研修を受けた看護師が、事前の医師の指示に基づき診療の補助ができる「特定看護師」の制度が2015年に始まって10年がたった。医師不在時も医療を提供でき、へき地などでの活用が期待されている。全国で1万3千人を超えたが目標には遠く、遠方での研修参加などハードルの高さが課題となる。人口減少が加速する40年を見据えた担い手確保に向け、研修制度の見直しが進む。

 

8割

特定看護師は国が指定した研修機関で「特定行為研修」を修了した看護師が、事前に医師が作成した手順書により、医師の判断を待たずに特定の医療行為ができる制度。厚生労働省によると、25年9月までに1万3887人が修了したが、第8次医療計画は29年度までに全国で計2万479人を目標としている。

講義はウェブで履修できるが実習の際は研修機関に一定の間赴く必要がある。山間部や離島の診療所などは職員が少ないため研修に出せず、家庭の事情で長期間離れられない人も多い。

 

代替派遣

打開策として厚労省が立ち上げた「青森プロジェクト」が、青森県の下北半島にある東通村の東通地域医療センターで進む。人口約5400人の村の医療を担い、有床の東通村診療所や介護老人保健施設などを運営する。約30人の看護師が兼務し、夜勤も回す。

プロジェクトでは看護師を研修に出す際、代替としてセンターの運営母体からベテランの特定看護師が派遣され、費用などを国が補助した。センター長の川原田恒・医師は「代替がなければ研修に出せなかった。高い知識と技術を持つ看護師が症状をみることで、質の高い医療が提供でき、患者が希望する在宅での生活が続けられる」と話す。

近くに研修機関はなかったが、センターを運営する地域医療振興協会が近くのむつ市の総合病院に協力を依頼。一部の実習が可能となった。研修を修了した看護師が戻ってきた時に、円滑に医師と連携できる体制づくりも検討する。 

同協会はへき地での医療施設運営や医師の派遣を行い、特定看護師の研修機関も営む。特定行為研修を担当する協会の鈴木靖子・次長は「参加のハードルが低くなることで、研修機関が全国に広がる足掛かりになり、受講者が増えてほしい」と期待する。

厚労省は25年度補正予算に計上するなどし、このプロジェクトを全国に広げる。また、研修内容や特定行為の範囲変更を考える会議を開催。今年1月、研修科目を看護大などでの初期教育に組み込むことを盛り込んだ報告書を取りまとめた。

 

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