サクッと解説! 検査技師必見トピックス #09
デジタル、ウェブで利便性向上も アナログ価値をどう残すか

日本臨床衛生検査技師会が事業全般のデジタル化、ウェブ化を通じ、組織活動の効率化や会員サービスを高める取り組みを進めています。2026年からは学術論文誌「医学検査」をデジタルブックに移行し、新たに会員サービスとしての「JAMTアプリ」を立ち上げます。さらに、これまで数百人を集めて現地開催してきた臨床検査精度管理調査総合報告会もビデオ・オン・デマンド(VOD)に変更する方向です。
日臨技発行の「医学検査」はこれまで7万人を超える会員に郵送されてきましたが、デジタル化によってPCやモバイルから閲覧しやすくなり、過去の論文も含めた検索機能などもメリットになりそうです。紙媒体廃止によるコスト削減効果も大きく、年間ベースで約9000万円もの発行経費の削減を見込んでいます。
また、年内の先行リリースのめどが立った「JAMTアプリ」は当面、学会等で利用するデジタル会員証がメイン機能になります。日臨技は今後、研修受講管理や手続きなど、会員サービス全般をカバーするアプリとして機能を拡充させていく構えです。
VODで調査結果や留意点の共有後押し
コロナ禍もあり、日臨技内でウェブ会議は定着してきましたが、例年秋に幕張メッセ(千葉市)で開催してきた臨床検査精度管理調査総合報告会もVODに切り替える計画です。背景の一つには地方在住や業務都合で、現地参加が難しい会員が多くいることがあります。2024年度の精度管理調査には過去最多の4601施設が参加しましたが、現地報告会に足を運んだのは約600人。VOD形式になれば、それぞれが都合の良い時間、場所で視聴でき、調査結果の傾向や留意点の共有が進み、検査室全体の精度管理の底上げにもつながってくるはずです。今年11月の報告会は現地開催とVODを併用し、来年からは各演者の音声付きスライドを配信する形に一本化する見通しです。
また、ウェブ動画を活用する新たな動きとしては、日臨技の会長候補者選での公約表明を動画配信することも決まりました。事実上の会長選に臨む候補者が、臨場感のある熱い思いを会員に伝える環境を整えるのが狙いです。文章だけでは伝わりにくい語り口や人柄に触れる試みは意外とインパクトがありそうです。会長候補者選は、全ての会員に投票権があるにもかかわらず、前回の投票率は約47%。団体トップを決める判断材料の一つとして注目されれば、会長選に関心を持つ会員も増え、投票率向上も期待できるかもしれません。
予期せぬ出会いやきっかけ
コロナ禍以降、業務上でのさまざまなやりとりが紙からデジタルに、特に対面からウェブ会議への流れが鮮明になっています。利便性や効率性を求め、経費削減も含めた動きがこれからも強まる一方で、顔を付き合わせて話し合う機会が減ることでのデメリットも感じます。寝食を共にする場での偶発的な出会いや雑談から、現状を変えるヒントやアイデアが生まれたり、予期せぬキャリアのきっかけをつかんだ方もいるのではないでしょうか。
日臨技理事らの世代交代も進みつつある中で、これからの組織を支える人材同士が語り合える場はやはり重要です。デジタルやウェブを駆使した組織運営と、従来のアナログ的な交流の良さを掛け合わせて事業基盤をどのように強化するのか。どちらか一方に依存し過ぎない組織運営の在り方を会員一人一人が考えていくことで、職能団体の未来の形が見えてくるのではないかと思います。(水)
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