人材確保へ制度改革 募る危機感、大学の「技術職員」減少
政府も対策
高度化する実験装置やデータを扱う技術職員は研究成果の質を左右する重要な存在だが、人材の減少が深刻だ。危機感を強める大学の中には人事制度を見直し、待遇改善やキャリアパス改革に乗り出す動きが出てきた。政府も能力を発揮できる環境づくりを急ぐ。
上位職新設
東京科学大は統合前の東京工業大だった2007年、技術職員が人事権を持つ新たな部局を設置するなど、組織と人事制度の改革を進めてきた。20年には「主幹技術専門員」と「上席技術専門員」という役職を新設。地位が上がれば大学の経営層に入る道も開けた。
「技術職員のミッションが不明瞭だった時代が続いていた。技術職員を続けた先に何があるのか示せていなかった」と改革を主導した戦略本部の江端新吾・教授は話す。
全国の大学から技術職員を集め、物質分析や医工学など多様な分野の技術や知識を3年間で学ぶ「TCカレッジ」も主催。修了者には認定証を授与し、大学内でのキャリアアップを後押しする。
江端さんは「全国の技術職員を受け入れる体制を整えた。認定された人が活躍する様子も発信していきたい」と語る。
学部間連携
信州大は、技術職員が各学部に所属し、その中で昇進していく硬直的な人事を改め、全学組織の「統合技術院」にまとめた。「キャリアパスが不明瞭で、学部間の連携もしづらい」との問題意識が背景にあった。
25年度からは担当分野ごとにグループをつくり、管理職を新設した。中田勉・院長特別補佐は「努力して評価されれば管理職に昇進できることはモチベーションにつながる」と説明する。さらに参加意識を高めるため、新たな機器導入の提案や研修のアイデアを募り、新設した基金から補助する取り組みも始めた。
京都大も、技術職員の戦略的な配置や育成を担う新組織「技術部」を10月に設置している。
政府も対応を急ぐ。7月に文部科学省の人材委員会が出した方針では、技術職員の確保や育成の重要性に繰り返し言及した。文科省はこれを受け、技術職員の役割や人事制度に関する指針を25年度中に示す考えだ。
文科省の担当者は「研究機器の性能はどんどん上がっており、フル活用するには技術職員の力が不可欠だ。魅力的な待遇やキャリアパス、大学で面白い仕事ができることを示さなければいけない」と話した。
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