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サクッと解説! 検査技師必見トピックス #12
2040年踏まえ、がん医療の集約化が本格検討へ

2025.12.22 06:00 会員限定記事を示すアイコン


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  • 2040年の人口構造変化などを見据え、がん医療の「均てん化」と「集約化」の再設計が本格化し、都道府県レベルでの議論が求められている。
  • 高度・専門性の高い医療や外科領域は集約化、予防や緩和ケアは均てん化すべきと国が明確に方向性を示し、医療機関の役割分担が不可避になっている。
  • 医療機関の整理には住民理解が不可欠で、都道府県協議会での合意形成が今後の最大の鍵となる。


 

85歳以上の高齢者が増加し、若年人口が大きく減少する2040年を見据え、がん医療提供体制の均てん化・集約化の検討が本格化します。厚生労働省は8月29日付の課長通知で、都道府県に対し、がん医療の均てん化・集約化の基本的な考え方と検討の進め方を示しました。今後、検討の場は都道府県に移り、具体的な議論が始まります。

背景には、将来の医師不足などを見据えて持続可能ながん医療体制を確保するには、一定の集約化などが不可欠なことがあります。

厚労省検討会では、がん医療施策の基となる現行の第4期がん対策推進基本計画(2023~2028年度)の目標に沿って、三大療法(手術療法、放射線療法、薬物療法)を中心としたがん医療の需給見込みを明らかにし、それに基づいた都道府県での均てん化・集約化の検討の進め方を示しました。

2040年のがん医療の需要見込みについては、がん罹患者は2025年比で3%増の105.5万人と推計しています。都道府県別、2次医療圏別ともに地域性があり、例えば大都市部の88%で増加する一方、地方都市部の59%、過疎地域の98%で減少すると見通しています。

がん医療の供給については、手術療法では65歳以下の消化器外科医の数が60%に減少する一方、放射線療法では諸外国と比べて放射線治療装置が分散配置されていることなどが指摘されています。

 

都道府県協議会で検討へ

検討会での取りまとめを踏まえた通知では、都道府県に対し、都道府県単位、2次医療圏単位の三大療法を中心としたがん医療の需給を把握した上で、都道府県協議会を中心に、地域の実情に応じたがん医療の均てん化・集約化の議論を進めることを求めています。

集約化するか、均てん化するかは、「医療需給」と「医療技術」の2つの観点から整理しています。

2040年を見据えたがん医療の均てん化・集約化に係る基本的な考え方について
2040年を見据えたがん医療の均てん化・集約化に係る基本的な考え方について
〔厚生労働省:中医協 総会資料(令和7年11月5日);個別事項について(その5)がん対策・難病対策・透析医療・緩和ケアより〕


集約化が望ましい医療として挙げられているのは、以下のような分野です。

医療需給の観点からは、「症例数が少ない場合や専門医などの医療従事者が不足している診療領域」「消化器外科領域等のように症例数は多いが、医師数が不足することが見込まれる診療領域」。医療技術の観点からは、診断、治療方針の決定に高度な判断を要する場合や、新規性のある治療法や高度な技術が必要な場合のほか、コストを考慮して放射線療法も「集約化して提供することが望ましい」としています。

一方、さらなる均てん化が望ましい医療については、がん予防や支持療法・緩和ケアを挙げています。

その上で、具体的な医療行為例について▽手術療法▽放射線療法▽薬物療法▽その他の医療―に分けて提示しています。

通知を踏まえ今後、都道府県は都道府県がん診療連携拠点病院とともに都道府県協議会を運営し、地域医療構想や医療計画と整合性を図りながら、地域の実情に応じたがん医療の均てん化・集約化の議論を進めていくことになります。

集約化する場合、特に医療機関の整理については合意形成を図るのは容易ではありません。直接影響を受ける地域住民への丁寧な説明も不可欠です。通知では、留意事項として「都道府県が中心となり、住民の理解を得るために、住民にとって分かりやすい説明を継続していく必要がある」と記しています。

 

高まる集約化を求める声

鰐淵副大臣(中央右)に要望書を提出した学会の調理事長(中央左)=15日、厚労省
鰐淵副大臣(中央右)に要望書を提出した日本消化器外科学会の調理事長(中央左)=15日、厚労省

一方で医師不足が進む外科領域では、集約化を求める声はますます高まっています。

日本消化器外科学会は10月15日、将来の消化器外科医の減少も視野に、高度ながん手術を手がける医療機関を集約化すべきだとして、厚労省に要望書を提出しました。

呼吸器外科医、食道外科医などが所属する日本胸部外科学会も10月22日、大阪市内で記者会見を開き、外科医の不足と疲弊が進んでいるとして「限られた人材を効率的に配置し、施設の拠点化を図ることが不可欠」などと訴えました。

都道府県はこうした医療課題や地域の医療需給を見極めた上で、合意形成が必要な集約化について、慎重に議論を進めていく必要があります。

集約化は、医療機関の整理も検討課題ですから、医師だけでなく医療職全体に大きな影響を及ぼします。今後、都道府県協議会でどのような検討が進んでいくのか。関心を持って見守っていきましょう。(中)

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