業界ニューストレンド

難聴早期検査で認知症防げ 高齢化進む自治体注目
医療・介護費削減も期待 手軽に検査でチェック

2026.01.09 05:10 会員限定記事を示すアイコン

年を取るにつれて聞こえにくくなる加齢性難聴を早期発見することで、認知症予防につなげる取り組みが全国で広がっている。海外の研究で、聴力の衰えと認知症リスクの関連性が指摘され注目を集めており、聴力検査などで手軽にチェックできるのが魅力。高齢化が進む自治体は、将来的な医療費や介護費の削減にも期待する。

8月、秋田県能代市で開かれた聴力の検査会。約30人の参加者が、公民館で聴力検査や簡単な体力測定、タブレット端末を使った認知機能のテストを受けた。

市内に住む大谷敏禎さん(79)は家族から「テレビの音量が大きい」と指摘されて参加。検査で聴力と認知機能の低下が認められ、耳鼻科の受診を勧められた。「がっかりしたが、こうした機会がなければ全く聞こえなくなってから病院に行く羽目になっていた」と前向きに話した。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会によると、加齢性難聴は、加齢によって音を感知する微細な毛の生えた耳の中の有毛細胞が減ることが原因。75歳以上の約半数が難聴に悩んでいると言われる。

2024年、英医学誌ランセットの委員会は、運動不足や喫煙など14項目のリスク要因を全てなくせば、認知症の発症を最大45%防いだり、遅らせたりできる可能性があるとの研究報告書を公表。難聴は、14項目の中で悪玉と呼ばれるLDLコレステロールと並んで最も大きなリスク要因だった。

秋田県は25年度から、秋田大高齢者医療先端研究センターに委託した検査会のモデル事業を開始。気軽に受けられるよう、会場は病院ではなく公民館や市役所を選んだ。

秋田県は高齢化率が39.5%(24年10月時点)と全国最高。県長寿社会課の三浦一成・課長は「介護の担い手が減る中、検査で認知症の兆候を早期発見し、対策を講じられれば、医療費や介護費の削減にもつなげられる」と期待した。

認知症予防に向けた加齢性難聴への支援は各地で導入されている。

補聴器は片耳で10万~数十万円する場合が多い。三重県鈴鹿市や宮崎市など、一定の条件下で高齢者の補聴器の購入費を補助する自治体も増えている。岡山市は補聴器メーカーと連携協定を結び、介護予防教室での聴力の講話など、啓発に取り組んでいる。

山形市は民間企業が開発した音を聞き取るアプリで聴力チェックを実施。60%未満しか聞き取れなかった人には、加齢性難聴の可能性があるとして、相談医への受診を勧めている。

 

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