サクッと解説! 検査技師必見トピックス #13
[診療報酬改定2026]現場への影響は? 臨床検査の主要8論点を読み解く


- 次期診療報酬改定に向け、中央社会保険医療協議会(中医協)総会でこれまでに議論された論点のうち、臨床検査に関連する論点をまとめた。
- 病棟配置やパニック値報告への対応など、臨床検査技師の役割拡大に関する論点が複数挙げられている。
- 中医協の議論はこれからいよいよ大詰めを迎えます。それぞれの論点が最終的にどのような扱いになるか、今後の動向が注目される。
2026年6月の次期診療報酬改定に向けて中央社会保険医療協議会(中医協)総会での議論が大詰めを迎えます。中医協は昨年、夏から年末まで30回近く総会を開き、入院や外来、医療安全、感染症対策などについて議論を重ねてきました。その中で臨床検査や検査室に関してはどのような論点が出ているのでしょうか。最終の議論を前に、主要な論点をおさらいしました。
多職種連携と医療機関の機能ー病棟業務への評価は実現するか
論点:急性期一般入院料について、高齢の救急患者の多い病棟において、多職種の協働によりADL低下を防ぐ観点から、一部の人員は、看護職員と多職種のスタッフを組み合わせて柔軟に配置できる仕組みとすることが考えられるのではないか。(2025年12月12日総会)
想定されているのは、急性期一般入院料10対1の病棟。看護師と、臨床検査技師などの多職種を組み合わせて配置することで「7対1相当」とする新たな類型を厚生労働省が提案しました。「多職種」には、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、臨床検査技師が挙がっています。夜勤体制の課題もありますが、日本臨床衛生検査技師会が訴えてきた病棟業務の仕組みが実現するのでしょうか。
検体検査にかかる医療安全ーパニック値報告・対応は義務化?
論点:検体検査管理加算の施設基準において、パニック値の項目と閾値の設定、パニック値の報告およびパニック値への対応等を、満たすことが望ましい要件として設定することについて、どのように考えるか。(2025年11月19日総会)
パニック値報告については、医療事故調査・支援センターが2024年12月に5項目の提言を発表し、厚労省検討会でもこの提言を活用するよう指摘しています。こうした背景から厚労省は、検体検査管理加算を算定する際の「望ましい要件」にすることを提案しました。留意したいのは、パニック値の報告とともに対応が明記されている点です。中医協には、「義務化」を求める意見があり、どのような規制の強さになるかを含め注目点となります。
医療安全対策加算ーネバーイベント報告を要件化へ
論点:患者への安心安全な医療の提供をさらに推進する観点から、医療安全対策加算の要件を見直すことについて、どのように考えるか。(2025年11月19日総会)
厚労省の検討会が2025年10月、報告書をまとめ、患者への影響が大きく、かつ確実に回避できる手段が普及している12の医療事故を「医療安全管理委員会へ報告すべき重大事象」(ネバーイベント)と整理しました。12の事故には不適合輸血や、重大な検査結果の確認ミスによる死亡・後遺障害が含まれます。医療安全対策に組織的に取り組む医療機関を評価する点数が医療安全対策加算。その算定要件にどう位置付けられるのでしょうか。
感染症にかかる検査ー微生物検査室の有無で点数にメリハリか
論点1:感染対策向上加算1の届け出施設における微生物学的検査室が果たす役割とその評価をどのように考えるか。(2025年11月19日総会)
厚労省の調査によると、「感染対策向上加算1」の届け出医療機関の約60%、「感染対策向上加算2」の届け出医療機関の約17%が、院内に微生物学的検査室があります。また、「加算1」の届け出医療機関では微生物検査室の有無でMRSAなど薬剤耐性菌の分離率が有意に低いことも分かりました。こうした状況を踏まえ、微生物検査室の有無を診療報酬評価にどう反映させるのか。中医協委員からは、有無によって評価にメリハリをつけるべきだとの意見が出ています。
論点2:関係学会による提言等も踏まえ、算定要件等を見直すことについて、どのように考えるか。(2025年11月19日総会)
2021年ごろから「レレバクタム・イミペネム・シラスタチンナトリウム(REL/IPM/CS)」、セフィデロコル(CFDC)などの新規抗菌薬が臨床で使われるようになりました。多剤耐性グラム陰性桿菌による感染症治療の「切り札」とされ、使用する場合には薬剤感受性検査の実施が欠かせません。既存の薬剤感受性検査とは別に実施する必要がありますが、その場合の検査料の取り扱いは不明確となっています。中医協委員からは、複数回の検査が必要となった場合は「改めて検査料を算定できるようにすべき」との意見が出ています。また、インフルエンザと新型コロナの同時抗原検査・マルチプレックスPCRの適正化も論点。
フィブリノゲン製剤の投与にかかる検査ー手術室などでの評価を新設?
論点:血液製剤の適正使用の観点から、フィブリノゲン製剤の適応判定に必要な迅速フィブリノゲン測定に対する診療報酬上の評価について、どう考えるか。(2025年12月5日総会)
医療事故調査・支援センターが2025年10月、産科危機的出血による死亡事例への提言を発表し、フィブリノゲン値の迅速測定の重要性を指摘しています。現在の診療報酬点数ではPOCT装置の購入は難しいとして、実態に即した診療報酬の評価を行政側に求めています。POCTが販売されていますが、医療安全に詳しい産婦人科医は、現行の23点では導入のコストに見合わないと話しています。
厚労省は、手術室など、臨床検査室以外で実施する迅速測定への評価を論点に挙げました。中医協では反対意見はなく、点数化される可能性があります。
睡眠医療ー在宅PSG検査の評価は?
論点:終夜睡眠ポリグラフィーの在宅での検査実施に係る各種調査結果等を踏まえ、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料および終夜睡眠ポリグラフィーの評価について、どのように考えるか。(2025年12月5日総会)
日本睡眠学会の調査によると、検査装置を送付し患者が自宅で装着するなど、終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)を在宅で行うケースがあります。しかし診療報酬上、入院で行う場合との差が設けられていません。また、CPAP療法を導入するAHI(無呼吸低呼吸指数)の基準は日本では20ですが、海外では5〜15が多いという違いがあります。こうした点を診療報酬上どう反映させるのでしょうか。
救急外来応需体制に関する評価ー救急外来体制をより評価
論点:救急医療機関においては、夜間休日を含め医師・看護師等を配置し、検査・処方等が可能な体制を備え、地域の救急医療に関する取組を担っている現状を踏まえ、このような体制をとる救急医療機関における救急外来診療を評価をすることについてどのように考えるか。(2025年11月28日)
厚労省の集計によると、救急外来のため、高次の救急医療機関であるほど夜間・深夜に配置されている医療職の人数が多い実態があります。例えば臨床検査技師の平日深夜の配置人数を見ると、高度救命救急センターが平均2.05人、救命救急センターが1.56人、2次救急医療機関が0.61人。検査項目についても高次ほど多くを24時間・自院の検査室で実施しています。もちろん、看護師を24時間配置する割合も高次ほど高い結果となっています。
救急外来応需体制は「院内トリアージ実施料」「夜間休日救急搬送医学管理料」で評価していますが、より適切に評価すべきとの指摘があります。
臓器移植の抗HLA抗体検査なども
検査関連では他にも、臓器移植待機患者に対する抗HLA抗体検査の実施、小児領域におけるゲノムプロファイリング検査の出来高算定、乳がん・卵巣がん未発症患者に対するBRCA1/2遺伝子検査の評価などが論点に挙がっています。
医療技術評価、幅広い評価は実現するか
こうした総会での議論と並行して、各医学会などからの要望に基づき、個別の医療技術についても中医協分科会で議論がされています。
今回、臨床検査の関係学会・団体は、例年筆頭に挙げてきた採血料の引き上げ要望を見送りました。その一方で、現行点数ではコストに見合わないとして微生物検査などの増点を広く求めています。
採血料は引き上げに必要な財源が大きく、検査実施料の適正化で生まれる財源の多くが使われてしまいます。このため、他の点数評価にまで回らないとの冷静な判断が背景にあります。採血料の要望見送りが、広い範囲での評価につながるかも注目点です。
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