キャリア・学び

POCTの実践 [第2回]竹澤 理子氏(三井記念病院 臨床検査部)
〈総論2〉体制整備の重要性

2025.11.26 06:00 会員限定記事を示すアイコン

連載第1回は総論として「精度保証のカギ」がテーマでした。精度保証とは単に検査の正確性だけではなく“院内全体のPOCTに関する精度管理・物品管理・保守管理などを包括的に捉えた体制が不可欠”であるとも述べられています。自施設でのPOCT対応機器・試薬(以下、POCT)が、どこでどのように使用されているか把握しているでしょうか。使用者は適切に管理しているでしょうか。そもそも管理しなければいけない項目はなんでしょうか。今回は、臨床検査技師が施設内のPOCTを管理・運営する上での注意点や教育体制づくりのポイントを述べていきます。

 

POCTの使用状況を把握する

施設内のPOCTの使用状況を把握することから始めます。POCTガイドライン第5版では、POCTの管理は診療各科や各病棟などが独自に行わず、責任の所在を明確にし、組織として運用すると効果的であると述べられています。理想は、医師や看護師、購買に関わる部署などが加わってPOCT運営委員会などの管理部門を設立することですが、さらなる委員会の設立に消極的な施設も多くあります。そこで臨床検査技師が主体となり、POCTの管理をする必要があります。その中心的役割を担うのが、POCコーディネーターです。

各部署にアンケート形式で調査することも良いでしょう。「POCTがありますか」では正確に把握することができません。血糖測定機器、小型の生化学項目測定機器、尿試験紙、感染症診断キットなど想定される機器や試薬を施設の購買部門からリストアップしてもらい情報収集し、回答を得たら実際に現物を確認しに行きます。

 

POCTの管理部門を明記する

POCTは全て臨床検査部門が管理することを周知徹底し、それぞれの機器に管理部門を明記しておきます。機器名称、固有番号、トラブル時の連絡先、保守点検実施日と共に次回点検日も記載することが大切です。図のようなカードやシールを貼付しておくと良いでしょう。これにより管理されていないPOCTを使用することがなくなり、精度保証につながります。

 

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管理部門である臨床検査技師は、定期的にPOCTの精度管理目的に設置箇所へ行き、問題があればその都度使用者へ周知する必要があります。その頻度は、メーカー推奨の回数または施設ごとの使用状況を鑑みて決定します。管理の内容としては、表のような事項が挙げられます。POCTは温度管理も大切です。冷蔵保管の試薬は室温に戻してから使用することや使用場所の温度は取扱説明書に明記されています。日常の管理として保冷庫の温度や室温も記録管理しておきます。

 

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使用者への教育体制づくり

POCTの管理の中で重要な事柄の一つは、使用者への教育訓練です。POCTの測定者は医師や看護師などが半数以上を占めていることが日本医療検査科学会のアンケートにより分かっています。検査が主要な業務ではないスタッフにも、偽陰性や偽陽性を含めた結果の解釈や適切な取り扱い、正しい手技などの教育訓練を継続的に実施します。初めてPOCTを使用する人のみならず、年に1回などと決め、使用者には内容を確認してもらい、実施の記録を作っておきます。この教育システムは臨床検査部門独自に実施するのでも良いですが、施設の教育部門があればその教育プログラムに組み込んでもらうことが最良と考えます。

 

POCコーディネーターの役割

POCコーディネーターは、施設内のPOCT全てを臨床検査技師が管理することを、職員全体が把握できるように努める必要があります。そして問題発生時の対応手順、POCT測定者に対する教育訓練、精度管理状況と検査の実施記録、消耗品も含めた機器・試薬の管理記録などが全て精度保証につながります。次回からはPOCコーディネーターが実際に施設で活動している事例を紹介します。

 
 
※MTJ本紙 2025年7月21日号に掲載したものです

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