キャリア・学び

POCTの実践 [第7回]伊藤 ゆづる氏(NTT東日本関東病院 臨床検査部)
〈事例5〉POCTの管理と教育

2026.04.20 06:00 会員限定記事を示すアイコン

今回はNTT東日本関東病院におけるPOCT管理と教育体制について、Joint Commission International (以下、JCI)、ISO 15189:2022(以下、ISO)認定施設としての運用を紹介します。

 

POCTを「共通」「部署」で整理

当院は2011年にJCI認証取得を機に品質管理室(QI室)のもと臨床検査部でPOCT管理(監督)を開始しました。また、2024年にはISO 15189:2022認定更新を行いました。現在では、上述のJCI(AOP5.2)、ISO(付属書A)ともにPOCT管理は臨床検査部で行うことが要求されています。特にISOにおいては、看護部と臨床検査部との役割を明確にし、研修と力量評価を実施した上で、POCTを行う体制を整えることが必要となります。また、これらについて使用する全ての場所との間に合意が必須です。そこで当院では、QI室の指導の下、看護部と臨床検査適正化委員会に諮り、合意を得ました。

当院では、全ての部署を対象にした血糖測定、尿比重、尿定性試験紙、感染症イムノクロマト検査の4種を「共通POCT」、ICUや救急センター、産科など特定の部署に設置してある血液ガス分析やACT、クレアチニン、PT-INR、ビリルビンを「部署POCT」と定めました。ISOにおける認定範囲は、検査システム(LIS)を介して結果報告する感染症イムノクロマト検査のみとしました。臨床検査部では現在、POCコーディネーター(POCC)2名、POCT測定認定士10名、POCT担当の合計18名で管理を行っています。

 

全部署でPOCTインストラクターを育成

各病棟・外来でPOCT対応機器を使用するのは研修医や看護師です。そのため、当院では入職時オリエンテーション内にPOCT研修が計画・実施されます。POCT測定認定士が中心となり、全ての部署で数名ずつ看護師のPOCTインストラクターを育成しています。「共通POCT」研修は、2週間(期間)を設け1名ずつ予定を組み、実施しています。内容は要点を15分にまとめた動画を視聴後に、スキルチェックを行います。スキルチェックは、チェックシートを用いて、準備、手指衛生、検査実施、廃棄まで行ってもらい、終了時にテストを実施することで手技の定着を図っています。これとは別に、「部署POCT」は、部署ごとに同様にスキルチェックを実施しています。 POCTインストラクターはこのスキルチェックを基に部署のスタッフへ指導し水平展開を実施しています。これらの取り組みによって、JCIやISOの規格で求められているPOCTの管理や力量評価などの要求事項が満たされます。

 

管理簿や結果用紙を活用

各部署に設置してある血糖測定器は、各メーカーの説明書に従って適正に管理することが重要です。内部精度管理(QC)は毎月POCT担当が各部署まで赴いて実施し、管理しています。管理簿にはQC溶液のロットおよび基準範囲の記入欄を設けて、書き込めるようにしています(表)。また、測定器にはシリアル番号が付与してあり、配置場所の管理をしています。血液ガス分析装置はPOCcelerator(シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス)を用いて検査室で管理を行っています。夜間休日に病棟で感染症イムノクロマト検査をするには、臨床検査部から試薬キットと温湿度計を一緒に払い出し、病棟で検査実施と温湿度を測定し、結果用紙に記入して返却します。その後、検査結果はLISから電子カルテへ報告します。結果用紙には検査を実施する温湿度の基準範囲が記載されています(写真)。これまで記載漏れや温湿度の基準範囲から外れたことはありません。

画像

感染症イムノクロマト検査キット送付セット
感染症イムノクロマト検査キット送付セット

 

多職種連携が大切

現在のPOCT管理体制が整うまでには、実は何年もかかりました。院内に血糖測定器を導入するところから始まり、臨床検査部内にもPOCTの重要性を訴え、看護部に内部精度管理を理解してもらうために打ち合わせを重ね、臨床工学士から血液ガス分析装置のメンテナンス指導を受けました。JCIやISOにPOCTが含まれたことで院内に認められたと感じています。POCCとPOCT測定認定士、POCT担当がそれぞれの立場で業務を協力し管理を行っています。

POCTの精度保証や適切な管理は臨床検査部内だけではなく、多職種との連携を進めることが大切だと考えています。そのためにもいずれは多職種のメンバーで構成されたPOCT委員会の設立を期待しています。


  ※MTJ本紙 2025年12月21日号に掲載したものです

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