キャリア・学び

POCTの実践 [第5回]木下 真紀氏(天理よろづ相談所病院 臨床検査部)
〈事例3〉血ガスや尿試験紙の取り扱いを改善

2026.02.25 06:00 会員限定記事を示すアイコン

血液ガス導入の経緯と検査部管理に至ったきっかけ

臨床検査部で装置を管理するきっかけは、診療科から管財部門に分析装置購入の申請が提出され、管財部門からその連絡を受けたことでした。当時、血液ガス分析装置は検査部にしかなく、検体搬送の時間が報告の遅れにつながっていました。そこで「診療科に設置すればすぐに結果を確認できる」との理由で申請されました。

しかし、この状況を放置した場合、精度管理やメンテナンス、測定データのカルテ記載、コスト処理、試薬の交換や管理担当など懸念点がいくつも挙げられました。そこで、検査部から診療科に提案を行い(図1)、検査部管理がスタートしました。


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管理の実際

現在、血液ガス分析装置は、手術室、ICU、救急外来、建屋の異なる病棟、検査室の5カ所に設置しています。装置導入時から、毎日の精度管理、試薬・消耗品の管理および交換、トラブル発生時の対応、適切な測定方法の指導、外部精度管理への参加など、日々の測定以外は全て検査部が実施しています。現在、集中監視システムを導入しており、検査室にいながら装置の状況を把握し、ある程度の遠隔操作やコントロールの自動測定も行うことが可能です。しかし、装置の状況はシステム上で見るだけでは十分でなく現場に行かなければ把握できません。加えて現場に赴き、看護師とコミュニケーションを図ることで、疑問や要望を聞くことが可能となります。そのため当院では、機器の状況把握だけでなく現場の看護師との関係性を育むことも目的とし、日々のコントロールは現場に赴き測定を行っています。

導入後に悩んだこと、困ったこと

血液ガス測定は主に看護師が実施しますが、導入直後は検体凝固による詰まりが頻回に発生しました。その都度現場に赴き、装置の対応と測定前の捨て血の徹底について現場の看護師に説明を行いました。他にも「印字用紙がなくなりました」「装置がピッピッ言っています」など、連絡が入るたびに現場に赴いて対応してきました。現在は、詰まりによるエラー対応は看護師も対応できるようになり、測定不可状態以外の連絡は少なくなりました。繰り返し何度も説明してきた成果だと思っています。

約2年前、装置のエラーで試薬交換しか対応策がない状況が発生した際に、「復旧までに時間が必要」と説明したところ、看護師に「それって必要なんですか?」と聞かれたことがありました。私はどう説明するか悩みながら状況を説明し、なんとか理解していただけましたが、臨床検査技師にとって当たり前の「検査には試薬が必要」が、看護師には決して当たり前ではなかったと改めて痛感しました。

尿試験紙の調査でも信じられない事例が!

尿試験紙は検査部の管理以前、各病棟から薬剤部に100本単位で請求されていました。そのため「使いきれず廃棄しているのではないか?」と思い、現状調査を実施しました。結果は予想通りでしたが、他にも使用期限が超過し変色した試験紙を使用している病棟、便や胃液など尿以外の材料に潜血反応を使用している病棟などがあり、かなりの衝撃を受けました。

データの保証という観点から「このままではいけない!」と検査部管理を開始し、現在は変色した試験紙や尿以外の材料への使用はなくなり、適正に使用されています。

POCC活動へのアドバイス

POCCの役割は、院内検査運用の全てをコーディネートすることであり、その活動は多岐にわたります。それらの活動をする上で意識していただきたいのが「現場と検査部では認識の違いがある」ということです(図2)。私たち臨床検査技師にとっては検査が業務の大半を占めますが、看護業務の中で検査はほんの一部でしかありません。しかも精度管理やメンテナンス、測定手技が精度保証につながることを知る機会もなく「データに潜む危険性」を想像することすらできません。

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それらの問題を解決するために私たちPOCCは、測定者が安心安全に検査できるよう、現場に足を運び、Face to Faceでコミュニケーションを図りながら臨機応変に対応する、これを繰り返し行うことが重要だと考えます。時には悩むこと、困ることもあると思いますが、焦らず根気よく笑顔で丁寧な対応を心がけましょう。


  ※MTJ本紙 2025年10月21日号に掲載したものです

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