キャリア・学び

きらり臨床検査技師 [第34回]白﨑 頌人さん(倉敷中央病院臨床検査技術部心血管カテーテル室)
「検査から治療までつながる」、心カテ業務の面白さ

2026.10.21 06:00 会員限定記事を示すアイコン



 倉敷中央病院(岡山県倉敷市)の臨床検査技術部心血管カテーテル室で室長を務める白﨑頌人さんは、患者のモニタリングや血管内超音波などの画像情報の読み取りを通じて、心血管カテーテル(心カテ)診療を支えている。院外では、日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)のメディカルスタッフ役員会副会長として、認定資格取得者の教育などにも携わる。

「心カテ室の業務に携わると、検査から治療まで知識がつながっていく」と話す白﨑さん。心カテ室業務に臨床検査技師が携わる意義や仕事のやりがいを聞いた。


 

患者の変化を捉え、治療を支える

―心カテ室の業務に携わる臨床検査技師は全国的には少ないと伺っています。どのような業務や役割を担っているのですか。

大きな役割の一つとして、患者さんのモニタリングがあります。心電図や心腔内圧の記録や監視を行い、カテーテル手術中にこれらの変化があれば医師や周囲のスタッフに伝えます。特に心筋梗塞などでは治療中に患者さんの状態が急変する可能性があります。医師は手技に集中していますので、私たちが変化をいち早く捉えて伝えることが重要になります。

IVUS解析中
血管内超音波(IVUS)を解析

もう一つの重要な役割は、冠動脈治療などのサポートです。例えば、冠動脈造影で血管が狭窄している場所を確認します。治療時には血管内超音波(IVUS)を使って、血管径や病変の長さ、プラークの性状などを把握します。カテーテルを用いて血管(冠動脈)を内側から広げて血流を改善する「冠動脈インターベンション(PCI)」では、これらの情報を基に、どのような治療を行うかを医師と話すこともあります。

当院の心カテ室は、医師、看護師、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士が所属しており、チームとして治療に当たっています。臨床検査技師と臨床工学技士はほぼ同様の役割を担いますが、場面によってそれぞれの専門性を生かします。例えば、緊急で心エコーが必要になれば臨床検査技師が対応し、心肺機能が低下した患者さんに心臓ポンプ機能の機械的な補助を行う「補助循環」は、臨床工学技士が対応します。

末梢血管治療時のアシスト業務
末梢血管治療時の医師のアシスト業務

 

上司に連れられ、心カテ室へ

―どのようなきっかけで心カテ室の業務に携わるようになったのですか。

鳥取大学を卒業後、倉敷中央病院に入職しました。もともと化学が好きで、高校時代には化学の教師になりたいと思っていたのですが、両親から医療系の仕事を勧められました。姉が看護系の大学に進んでいたこともあり、臨床検査技師という職業を知りました。

入職後は生理検査部門に配属され、まず学んだのは心電図です。知識を少しずつ広げていこうとしていた1年目の12月頃、当時の上司から突然「ちょっと来てくれ」と呼ばれ、心カテ室に連れて行かれた記憶があります。放射線防護用のプロテクターを着せられて、業務に携わるようになり、気がついたら心カテの世界に入っていました(笑)。

私を呼んだのは、当院で長年、心カテ室の業務に携わり、CVITのメディカルスタッフ役員会で役職も務めた清水速人さん(近森病院所属)です。清水さんとの出会いをきっかけに、CVITの活動にも参加するようになりました。

 

劇的な症状改善に立ち会い「治療貢献を実感できる」

―心カテ室業務のやりがいを教えてください。

例えば、急性心筋梗塞で運ばれてきた患者さんの閉塞した血管を治療して血流が戻ると、患者さんから「胸が楽になった」と言ってもらえることがあります。心電図でも状態の改善は分かりますが、患者さんの様子がみるみる良くなっていくのを目の当たりにします。治療に貢献できたことを実感できます。

また、私が面白いと感じているのは、患者さんの検査から治療までをつなげて見ることができる点です。心電図を見て、エコーを見て、カテーテル治療にも携わると、検査で得た情報が治療でどのように使われているのかが分かります。治療を知ることで、「この治療では、検査のこの情報が重要なんだ」と気付くこともできます。知識がつながっていくと、心臓という臓器や疾患をより深く理解できるようになります。

 

―心カテ室業務に、臨床検査技師が携わる意義はありますか。

心電図は、臨床検査技師が日常的に実施している検査ですし、心カテ室でも患者さんの状態を把握するうえで非常に重要です。治療中に心電図の変化をいち早く捉え、医師に伝えることで、次の処置につなげることができます。患者さんが急変した際には、超音波検査も必要です。日常的に心エコーに携わっている臨床検査技師であれば力を発揮できると思います。

 

心カテ業務の「タスクシフト/シェア」は大きなテーマ

―院外では、CVITメディカルスタッフ役員会の副会長を務められていますね。どのような活動に取り組んでいるのでしょうか。

若い頃からCVITの学術集会で症例発表などを行っていました。参加を重ねる中で、臨床工学技士や看護師などさまざまな職種の仲間ができ、自然な流れで学会活動にも関わるようになりました。

現在、メディカルスタッフ役員会の大きなテーマの一つが、「タスク・シフト/シェア」です。カテーテル治療における医師のアシスト業務など、メディカルスタッフがどこまで役割を担えるのかを検討しています。

もう一つ力を入れているのが、教育です。オンラインの「CVITメディカルスタッフセミナー」の運営にも携わり、現在は基礎的な内容を中心に学べる機会を提供しています。知識を底上げするだけでなく、業務の面白さややりがいを感じてもらうきっかけにしたいと思っています。カテーテル室で働く臨床検査技師は、まだ少数です。学会に行って臨床検査技師に会うと嬉しくなるくらいです(笑)。心筋梗塞治療では、循環器内科医不足などもあり、多職種がチーム医療で支えていく重要性が高まっていますし、この領域で活躍する検査技師の仲間を1人でも増やしていきたいという思いが強いです。

キャプション●●●●●●
European Society of Cardiology (ESC) Congress 2013で発表

 

―最後に、若手の臨床検査技師や学生にメッセージをお願いします。

私自身、入職当初から生理検査を希望していたわけではありませんし、心カテ室に入ったのも自分から強く希望したわけではありません。でも、実際にやってみて少しずつスキルや知識が身に付くと面白くなり、新しい発見があります。それがあるからここまで続けてこられたと思っています。

まずは、いろいろなことに興味を持って、取り組んでみることが大事です。やはり、言われたことだけをこなすだけではなくて、「何でこうなるのだろう」「何故この所見が出てくるのか」と疑問を持って考えながら仕事をすると面白さにつながってきます。

分からないことがあれば、まず自分で調べてみてほしいです。自分で答えを探したことは、誰かに教えてもらったこと以上に自分の中の財産になるような気がします。

社会的なニーズの高まっている心カテ治療の現場は、臨床検査技師がこれから活躍できる場所の一つです。そうしたことを知らない学生や、現役の臨床検査技師も多いと感じています。私の話を聞いたり、心カテ室の業務を少し調べて「面白そうだな」と思ったら是非、新しい世界に飛び込んでほしいです。その面白さに気付いてくれる検査技師はきっと増えると思ってます。

 

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