秋田大学医学部附属病院
安全な輸血医療を支えるシステム連携
提供 : バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社

「IH-500」「BRBTS NEXT」とRFIDを活用
秋田大学医学部附属病院(600床、秋田市)の輸血細胞治療・移植再生医療センターは、国際規格ISO 15189や、日本輸血・細胞治療学会のI&A認定など、安全な輸血医療を提供するための体制づくりを進めている。その運用を支えるのが、バイオ・ラッド ラボラトリーズのカード用全自動輸血検査装置「IH-500」、輸血・細胞治療管理システム「BRBTS NEXT」だ。病院全体で運用するRFID(ICタグ)を活用した製剤管理システムとも連携し、輸血業務の効率化と安全性向上に貢献している。
同病院は県内唯一の特定機能病院として高度急性期医療を担う。臨床検査技師は中央検査部をメインに、輸血や病理部門も含めて約40人が所属する。
同センターでの輸血検査実績(2025年度)は、血液型検査1万1389件、不規則抗体検査7849件、交差適合試験5273件。検査技師は5人配置されており、そのうち4人が認定輸血検査技師の資格を持つ。
部門として第三者評価や認定取得にも積極的に取り組んでいる。日本輸血・細胞治療学会の認定制度「I&A(Inspection & Accreditation)」を2017年4月に、ISO 15189を2023年10月に県内で初めて取得した。I&A取得に向けた活動では、輸血業務の標準化やマニュアル整備、トレーサビリティー強化などを進め、ISO 15189取得につながる品質管理体制を整備してきた。
現場ニーズに沿った柔軟なシステム構築
こうした輸血現場の取り組みを支えてきたのが、バイオ・ラッドのカード用全自動輸血検査装置IHシリーズと、輸血・細胞治療管理システムBRBTSシリーズだ。
輸血部門では2011年、従来の輸血検査装置から「IH-1000」2台に入れ替え、2023年に「IH-500」2台に更新。同センターと緊急検査室にそれぞれ1台ずつ配置されている。IH-1000を採用した当時、複数企業から提案がある中で、決め手となったのは、高い処理能力や簡便操作といった強みに加え、現場ニーズを柔軟に反映可能なシステムの拡張性だったという。
輸血部門の実務を束ねる佐藤郁恵副センター長は「検査室の要望やニーズを聞きながら、柔軟にカスタマイズしてもらえる点は大きな採用理由の一つ。実際の運用に当たり、院内関係部署や電子カルテのベンダー企業との調整役を担っていただいたことも、忙しい現場としてはありがたかった」と話す。また、宿日直では輸血を専門としない検査技師が輸血業務に関わる機会もあるため、「処理能力の高さだけでなく、シンプルに操作できる使い勝手の良さも大きかった」ことも挙げる。
現在稼働するIH-500は、IH-1000の機能を承継しながら、コンパクトサイズとなり、メンテナンス業務の負担軽減を図ったほか、試薬・消耗品を管理しやすい設計に改良されている。佐藤氏は、「以前は検査のたびに補充していた血球試薬の保冷機能や、エアギャップなどのエラー通知機能などは現場としてうれしい機能だ。試薬や消耗品を無駄にしないよう工夫されており、コスト削減を図れることも助かる」と語る。
視認性向上と運用改善を後押し
IHシリーズとともに、輸血現場で定着しているのがBRBTSシリーズだ。2017年に前モデル「BRBTSIII」を電子カルテシステム更新に併せて導入、2025年には最新モデル「BRBTS NEXT」(以下、NEXT)に切り替えて、現在計11台のPCが院内に配置されている。
NEXTは、見やすいワイド液晶画面や簡便操作が強みで、輸血業務の進捗状況表示や、IH-500と連携した画像取得・自動再検の機能を新たに備えた。特に反応画像をカラー表示できるようになり、判定時の視認性向上に貢献。関連指針やガイドラインに加え、JAHIS医療情報システムの患者安全ガイド(輸血編)にも準拠。血液製剤のウェブ発注にも対応している。
IHシリーズ同様、現場の実態に応じたシステム拡張性への評価も高い。NEXT導入後も継続的にカスタマイズが検討されており、現在は、紙ベースで管理している装置、試薬の精度管理をシステム内で行うための運用見直しを計画中だ。佐藤氏は、「今まではプリントアウトして台帳管理していたが、ISOにも対応したデータ形式で精度管理できるように準備を進めている」としており、年内の運用開始を予定している。
RFID連携で輸血業務を一元管理
秋田大学医学部附属病院は以前から、医薬品や血液製剤などの物品管理で、RFID(ICタグ)を導入しており、輸血部門でもIH-500、NEXTとも連動させて、安全確保の仕組みが整っている。佐藤氏は、「患者情報や製剤情報が集約されるラベルを製剤に貼るだけで、最終的に電子カルテシステムやIH-500、NEXTのデータとひも付く。バーコードと違い擦れていたり指紋が付いていても判読可能。導入以前は輸血システムへの手入力などアナログ作業もあったが、全ての情報が一元管理されて、輸血トラブルなどを防ぐという意味でもメリットは大きい」と強調する。
同センターでは今後も、病院全体で運用するRFIDと、輸血検査装置やシステムを連動させた業務効率化、輸血医療での安全性向上に継続的に取り組む考えだ。また、ニーズの高まる細胞治療や再生医療への対応強化も進める方針で、バンクを通じた非血縁者からの臍帯血や骨髄、末梢血幹細胞などの移植管理機能の整備を課題に挙げる。NEXTのカスタマイズ機能も活用しながら、より高度な細胞治療にも対応できる管理体制の構築を進めていく計画だ。
〈インタビュー〉輸血細胞治療・移植再生医療センター 副センター長 佐藤郁恵氏
細胞治療への対応強化と医療安全のさらなる向上へ
輸血医療を取り巻く環境は大きく変化している。細胞治療の選択肢が広がる中で、輸血部門にも新たな役割が求められている。秋田大学医学部附属病院輸血細胞治療・移植再生医療センターでは、輸血医療の安全性向上に加え、細胞治療分野への対応強化にも力を入れている。今後の課題や展望について、佐藤郁恵副センター長に話を聞いた。
佐藤氏 輸血部門では装置やシステムの整備が進み、医療安全の体制は一定程度構築できていると考えています。今後は、院内の輸血医療の安全管理を担う中核部署として、検査室から積極的に臨床現場へ足を運び、輸血に関する助言や支援を行う必要があると感じています。現場の声に寄り添いながら、部署間の連携を深めることで、より安全で適正な輸血療法の実践につなげていきたいです。
一方で、今後は細胞治療への対応強化も重要な課題の一つです。CAR-T細胞療法やECP治療など治療の選択肢が増えており、それらに対応できる体制づくりが求められています。最適なタイミングで安全なアフェレーシスを行うためには、細胞治療に携わる検査技師の知識や技術の向上、体制維持が課題になります。これまで築いてきた輸血医療の安全性を維持しながら、細胞治療や再生医療にも対応できるセンターとして発展し、高度医療を支える役割を果たしていきたいと考えています。
カード用全自動輸血検査装置 IH-500(医療機器製造販売届出番号:13B3X00206000024)
カード用全自動輸血検査装置 IH-1000(医療機器製造販売届出番号:13B3X00206000020)
製造販売元(バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社)
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