体内の過剰な免疫反応を抑えるリンパ球の一種「制御性T細胞」を発見し、今年のノーベル生理学・医学賞に選ばれた坂口志文大阪大特任教授(74)は7日、大阪大のキャンパス(大阪府吹田市)で記者会見し「免疫学は人の病気に近い学問。できるだけ早く人の治療に役立つようにしたい」と医療応用への意欲を強調した。妻で研究者の教子さん(71)も出席。発見へ共に取り組んだとして「長い間、苦労してやってきた。形になって本当に良かった」と語った。
制御性T細胞は、体内で増やしたり減らしたりすることで、がんや自己免疫疾患の治療につながると期待されている。例えば臓器移植では、拒絶反応を防ぐ薬を使うと体の免疫全般を抑えてしまう。制御性T細胞を利用できれば特定の対象を狙うことができる。坂口さんは「より生理的な形での免疫抑制が可能になる」と説明した。
会見で坂口さんは「会話がなくても何をやっているかお互い理解している。いつも感謝している」と教子さんをねぎらった。教子さんは、かつて制御性T細胞は存在そのものが疑問視されていたと指摘。受賞決定で「(存在が)世の中に認められたことが一番うれしい」と述べた。夫妻らで設立した会社で、新治療法の開発に向けて取り組んでいることも紹介した。
記者会見に先立ち7日朝、坂口さんは大阪大学長への受賞決定報告のため同キャンパスを訪れた。報道陣に対し「これだけ取材していただくと、実感が湧いてきます」とあらためて喜びをかみしめた。
坂口さんは、体を病気から守る免疫システムの一つであるT細胞を研究。この中に、体に害を与えないよう過剰な攻撃を抑制する役割を担うものがあることを発見し、制御性T細胞と命名。米国の2氏との共同受賞が決まった。





