福祉医療機構(WAM)は、高額医療機器の購入資金を支援する新たな優遇融資を来春にも開始する。高額医療機器を購入した結果、キャッシュフローが悪化している医療機関への支援も対象に含める。高額投資で生じる多額の控除対象外消費税への対応という側面もある新融資だ。
物価高騰などの影響で、資金繰りに苦しむ医療機関が増えている中、かねて問題だった高額投資に関する控除対象外消費税の存在が、一層、重くなっている。
高額な医療機器の購入や、病院の建て替えなどが当たる高額投資の消費税は、減価償却費を課税費用と見なし、「減価償却期間で割った1年分」を診療報酬に乗せて補填している。例えば、建て替えた建物の耐用年数を39年とすると、消費税分を回収するのに39年かかる仕組みだ。
現状の仕組みについて、日本私立医科大学協会の明石勝也副会長(消費税担当)は、「キャッシュフローの悪化が喫緊の課題」と本紙に訴える。「毎年、相応の設備投資を行い、その際に消費税分も合わせて全額支払うが、補填対象になるのは毎年計上される減価償却費に対する課税費用分のみ。(高額投資をするほど)未補填の控除対象外消費税が累積されていく」と説明した。
明石副会長が理事長を務める聖マリアンナ医科大病院(955床)では、2022年度に高額医療機器として、リニアックやPET-CTなどで61億円、10%の消費税相当額で6億円、計67億円を全額キャッシュで支払った。しかし、消費税額6億円が診療報酬で補填されるのは、各医療機器の減価償却期間終了時になる。
日本医師会も26年度税制改正要望で、高額設備投資の消費税に言及。キャッシュフローの悪化が喫緊の課題として「何らかの手当て」を検討するよう求めた。
一定期間、無利子・元金返済も猶予
この「手当て」の一つになる可能性があるのが今回のWAMの取り組みだ。WAMは今年4月、物価高騰の影響を受けた医療機関の経営安定化資金として、無利子・無担保融資を開始。今回、新たに高額医療機器の購入や、購入によって資金繰りに苦労している医療機関への優遇融資を始める。
民間金融機関が融資しない高額医療機器を対象とし、一定期間、無利子かつ元金返済は猶予とする。融資財源として、4月に始めた経営安定化資金の不足分と合わせ、3000億円程度を用意する。これらの融資体制を整備するため、厚生労働省も25年度補正予算案に564億円を盛った。【MEDIFAX】





