駆除クマ、「微生物」で分解 重労働の解体不要と注目
ハンターの負担軽減に
全国でクマの出没が相次ぐ裏側で、駆除後の処理が大きな課題となりつつある。放置は原則禁止だが、ごみとして廃棄する前には巨体を細かく解体する重労働が求められることが多い。そんな中、北海道福島町は微生物の力で死骸をまるごと分解する「減容化装置」を導入し、周辺のハンターの負担軽減につなげている。
ヒグマは体重200キロに及ぶことが珍しくない。隣接する松前町のハンター太田和哉さん(52)によると、従来は死骸に小型ナイフを入れ、北海道の指導を基に一辺10センチほどの肉塊に解体し、30リットルのごみ袋10~20枚に詰めて廃棄してきた。鳥獣保護管理法は、死骸が谷底に落ちて回収が難しい場合などを除き、駆除した鳥獣をその場に放置することを禁じるためだ。
しかし近年、住宅近くへの出没が急増し、1日に3頭が捕獲されることも。太田さんは早朝から深夜まで1人で解体を続け、30袋を福島町内のごみ処理施設に運んだ。「夏には熱中症で倒れそうになった」と振り返る。
こうした状況を受けて福島町は昨年4月、死骸を微生物で分解する減容化装置を約1億円で施設に併設。幅5メートル、高さ2.4メートルほどのステンレス製で、ヒグマ1頭をそのまま搬入可能。粉砕用の刃のついた装置内に微生物を混入した木製の炭化チップと水を入れ、80度ほどの温度に保つ。肉は1日、骨や皮は1週間で分解され、大部分が水や二酸化炭素として排出される。
今年4~11月の間に搬入されたヒグマは、周辺4町で捕獲された計88頭。「処理が楽になり、こんなに助かることはない」と福島町のハンターの男性(70)は喜ぶ。
販売を担うBOD商会(岡山県津山市)によると、装置はもともと有害鳥獣のシカやイノシシの処理を想定し、全国18カ所に導入。福島町にはヒグマの骨の硬さに合わせて刃の強さなどを調整した改良型を設置した。一部の動物に使用したケースを除き、使い終わった炭化チップは肥料として再利用できる。
先月には秋田市の市議が視察に訪れるなど、クマ被害の急増に悩む自治体からの関心も高まる。商会代表の高原正樹さん(64)は「火を使わず、自然のサイクルを再現して土に返す方法は環境にも良い」と語った。
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