サクッと解説! 検査技師必見トピックス #24
長沢体制が本格始動、その方向性を読み解く


- 長沢氏が掲げる学術活動の強化を、臨床検査技師の職能評価や会員が実感できるメリットにどうつなげるかが焦点となる。
- 日臨技・日技連のトップ兼任と業界の「オールジャパン」の連携で政策実現を目指す中、日技連の組織基盤強化や組織内候補の擁立が課題となる。
- 改革を進めながら会員の理解をどう広げ、学術・職能・政策を具体的な成果に結び付けられるかが長沢新体制に問われる。
日本臨床衛生検査技師会(日臨技)で6月、長沢光章氏を会長とする新体制が発足しました。副会長3人が全員交代し、理事も約半数が新任となるなど、幹部の顔ぶれも大きく変わりました。就任直後の熊本地震への対応に加え、9月の世界医学検査学会(IFBLS)と日本医学検査学会の合同学会が終わり、長沢氏が目指す事業展開のギアを上げる段階に入ります。これまでの講演などでは、「学術」「職能」「政策」を一体的に進める考えを打ち出しています。
「学術」を職能の評価へ
中でも長沢氏が主張しているのが「学術活動」の強化です。「学術、技術がなければ国民の信頼は得られない」との考えから、日臨技支部や都道府県技師会、専門学会などとの連携を強化しながら、学術部門・活動の再編を進めます。臨床検査の精度管理・品質保証でも、関連学会や団体と連携し、より大きな枠組みでの体制構築を目指す構えです。
ただ、日臨技は学術活動を柱に据えてきた一方で、約7万人の臨床検査技師を抱える職能団体です。各検査領域には専門学会があり、「日臨技が学術活動をどこまで担うのか」という議論はあるでしょう。職域拡大や処遇改善など、より直接的なメリットを職能団体に期待する会員も少なくはありません。
その意味で、長沢体制を読み解くポイントとなるのが、「学術」を学術だけで終わらせず、臨床検査技師の「職能」の評価にどうつなげるかです。医療現場でさらに存在感を高めるには、検査データを読み解き、それを臨床にしっかりと伝える力が求められます。検査医だけでなく、幅広い診療科の医師や他職種と検査データを軸に対話し、診療に必要な情報を提供できる検査技師の育成も重要になります。こうした検査技師の存在価値を社会に示しながら、その成果を会員が実感できるメリットにつなげていけるかが焦点になります。
政策実現へ、日臨技・日技連トップ兼任
三つ目の柱となるのが「政策」です。診療報酬や検査制度など、臨床検査技師を取り巻く制度は日臨技だけでは変えられません。長沢氏は関係団体、学会、企業などが連携する検査業界の「オールジャパン」を掲げています。自身は7月、日臨技の政治連盟「日本臨床検査技師連盟」(日技連)の代表に就任しました。日臨技と日技連のトップを兼ね、政策実現に向けて、より機動的に動けるかも注目です。
長沢氏は、臨床検査技師の資格を持つ国会議員の必要性を訴えていますが、日臨技会長で参院議員だった宮島喜文氏が政界を退いて以降、それを担う具体的な組織内候補は見いだせていません。日技連の加入者数も8月時点で約1500人にとどまっており、組織基盤の強化という大きな課題も横たわっています。検査業界の現場の声や政策課題を国政に届け、制度に反映させる道筋を、業界全体で探ることが求められるでしょう。
「反発なくして改革なし」
昨年末の会長候補者選挙は、長沢氏が1万7127票、対立候補が1万6524票と、わずか603票差の接戦でした。今後の会務運営にあたり「反発なくして改革なし」と語る長沢氏。改革を進めるには、その狙いを幅広い会員に丁寧に伝え、理解を得ながら組織をまとめていくことも求められます。
組織のトップが変われば、人事や予算配分も変わり、そこには長沢体制が何を重視するのかが表れてきます。「学術、職能、政策」の三つをどう結び付け、具体的な成果として示せるでしょうか。長沢体制の真価が問われるのは、これからです。(清水康功)
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MTJ編集部
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