業界ニューストレンド

サクッと解説! 検査技師必見トピックス #22
睡眠検査技師の育成、なぜ今課題に?

2026.09.09 06:00 会員限定記事を示すアイコン


  • 睡眠医療の需要拡大と検査技師の役割の広がりを背景に、PSGの実施・解析だけでなく、CPAP導入支援や患者対応まで担える人材の育成が求められている。
  • 現状の卒後教育は施設ごとのOJTに依存し、施設間・地域間で教育機会に差があるため、技量を段階的に高められる共通の教育体制づくりが課題となっている。
  • 日本睡眠学会では「指導検査技師」による地域横断的な育成支援が検討されており、卒前教育から専門資格取得後まで継続して学べる仕組みの整備が重要になっている。


睡眠医療を担う臨床検査技師をどう育てるか―。7月に開かれた日本睡眠学会などの合同大会で、検査技師の教育と質の確保が話題になった。背景には、睡眠医療へのニーズが高まり、検査が多様化する一方、専門的な技術を身に付ける卒後教育が施設ごとのOJTに依存しているという事情がある。卒前教育から専門資格取得後まで、教育を「仕組み」として整える必要性が高まっている。

睡眠医療への関心が高まる中、技師教育も大きなテーマとなった学会の合同大会
睡眠医療への関心が高まる中、技師教育も大きなテーマとなった学会の合同大会

睡眠検査の代表格である睡眠ポリグラフ検査(PSG)は、脳波や眼球運動、筋電図、心電図、呼吸、血中酸素飽和度などを同時に記録する。正確な検査・解析には幅広い知識と技術が必要で、患者対応やCPAP療法への支援など、検査以外の能力を求められる場面も多い。

タスクシフト・シェアの推進により、CPAP導入時の陽圧調整は、医師の指示の下で検査技師が担える業務として明確に位置付けられた。睡眠医療の現場で検査技師に求められる役割は、検査の実施・解析にとどまらず広がっている。

 

OJT依存、施設・地域で教育格差

ところが、検査技師が経験できる症例や教育環境は勤務先によって異なる。睡眠専門施設、大学病院、中規模病院などではPSGの実施状況や検査技師の関わり方に差がある。このため、個人の経験に依存せず、技量を初級、中級、上級などと段階的にレベルアップしていく仕組みや、特殊症例の解析や患者指導、後輩の指導までできる中堅層を増やすことが重要になっている。

背景には、CPAP市場が拡大し、その対応が急務になっていることがある。近年は簡便な携帯型睡眠検査装置の使用も拡大。睡眠障害が標榜科に追加されたこともあり、睡眠医療に取り組む施設は今後さらに増えるとみられる。

しかも睡眠障害は多様な疾患だ。非専門施設による睡眠医療への参入が広がる中、睡眠時無呼吸症候群以外の睡眠障害を十分に考慮しないまま、検査やCPAP管理が行われることを懸念する声もある。

日本睡眠学会には、睡眠検査の専門的な知識・技能を評価する「専門検査技師」の認定制度がある。しかし、専門検査技師を目指す技師の教育は、学会のセミナーや各施設でのOJTに頼る部分が大きいという。指導者や経験できる症例の偏りから、施設間、地域間で教育機会に差が生じている。

 

「指導検査技師」で地域の育成支援へ

こうした中、浮上しているのが経験豊富な専門検査技師を教育者として活用する「指導検査技師」構想だ。同学会では、認定後10年以上の専門検査技師を指導検査技師として位置付ける方向で制度設計が進む見通しだ。自施設の後進育成だけでなく、地域の施設への教育支援や症例共有、ウェブを使った指導などを担ってもらい、所属施設を超えて技師を育てる仕組みを目指す。

教育を巡る変化は卒後だけではない。臨床検査技師の養成課程では、2021年のカリキュラム改正で「睡眠時無呼吸症候群検査」が教育項目として明記された。今年7月の合同大会では、現場の認定技師が養成校の講義や実習に関わるなど、教育機関と臨床現場をつなぐ必要性を指摘する声も上がった。

睡眠検査の質を一定に保つには、個々の検査技師の経験だけに頼らず、卒前から卒後、専門資格取得後まで学び続けられる環境が欠かせない。睡眠医療の広がりとともに、「検査を担える人をどう育てるか」が次の課題になっている()。(中)

表 睡眠検査技師の教育を巡る主な課題と方向性
今起きていること 課題 今後の方向性
睡眠検査が多様化 PSGやCPAPなど幅広い知識・技術が必要 検査レベルに応じた教育を整備
教育はOJT中心 施設・地域で指導者や症例に差 学会や地域を含めた教育体制へ
専門検査技師制度がある 新規受験や更新、後進育成が課題 「指導検査技師」構想で教育を支援
卒前教育も変化 学校で学べる内容・実習には限界 養成校と現場の認定技師が連携
精度管理の充実が必要 PSG判定などの標準化は難しい 標準手順書やサーベイなどを検討

〔編集部作成〕

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