Voice of Lab. file 06 伊藤 葵(東京女子医科大学病院中央検査部微生物検査室)
一歩踏み出すことで広がる学び——微生物検査と技師会活動の経験から

私は、東京都臨床検査技師会の理事として若手育成に携わる一方、臨床では微生物検査を担当しています。STI(sexually-transmitted infections、性感染症)予防啓発活動や学会活動など、多くの経験を通して感じてきたのは、不安があっても一歩を踏み出すことの大切さです。人とのつながりに支えられながら、これからも学び続けていきたいと思っています。
私、こんなことしてます!
1.若手が安心して挑戦できる環境の整備
私は東京都臨床検査技師会(都臨技)において、2018〜2023年まで幹事、2024年からは理事として活動しています。都臨技に関わるきっかけは、同じ施設の幹事が退任することとなり、施設から推薦をいただいたことでした。
都臨技は国内最大規模の技師会であり、また私自身が人見知りな性格でもあったため、初めての会合には緊張しながら参加しました。しかし、理事や幹事の皆さんがとても気さくで温かく迎えてくださり、その雰囲気に触れたことで「都臨技でさまざまなことに挑戦したい」と思うようになりました。
(1)STI啓発活動を通じて臨床検査技師の役割を伝える
2018年からSTI予防委員会の担当幹事として、都内の学校や地域イベントで臨床検査技師の職業紹介やSTIの予防啓発活動を行いました。
中学校・高校・大学では、STIの概要や感染経路、予防方法、検査方法などについて講義を行い、地域イベントでは委員会で作成したリーフレットの配布にも取り組みました。
正確でわかりやすく伝えると同時に、過度な恐怖心を与えないよう配慮することも重要です。対象者の年齢に合わせて内容や言葉を工夫することに苦労しましたが、「わかりやすかった」「予防を意識したい」といった感想をいただき、大きなやりがいを感じました。こうした活動を通して、臨床検査技師が医療を支え社会に貢献する専門職であることを改めて実感しました。
(2)理事としての役割と若手育成
2024年からは理事として活動し、実務担当として企画に関わる立場から、組織全体の運営に関わる立場へと変わりました。また同年に発足した青年育成委員会の担当理事として、若手委員とともに新たな企画にも取り組んでいます。
若手の主体性を尊重しながら活動を支援することは簡単ではありませんが、都臨技の先輩方からの助言や自らの経験を生かし、若手が安心して挑戦できる環境づくりに努めています。今後も橋渡し役として活動を続けていきたいと考えています。
2.微生物検査の魅力と臨床現場での学び
(1)微生物検査との出会いと、その魅力
私は専門学校卒業後、東京女子医科大学病院に勤務し、現在は微生物検査を担当しています。学生時代は微生物検査が苦手でしたが、今では自分の“推し菌”ができるほど魅力を感じています。
微生物検査では、検査結果だけでなく、検出された病原体の臨床的意義や患者背景、疾患との関連を考えることが重要です。検査結果が診療や感染対策に直結するため、臨床を意識した視点が求められます。
(2)感染症診療を支える多職種連携
微生物検査は治療方針や感染対策に関わるため、医師・看護師・薬剤師などとの多職種連携が欠かせません。当院では週1回のカンファレンスを行い、情報共有をしています。
また、感染症医である菊池賢先生のご指導のもと、学会発表や研究に取り組む機会もあり、感染症診療により貢献したいという思いを強くしています。臨床検査の知識と技術を磨き続けることと、多職種とのコミュニケーションは非常に重要だと感じています。
(3)学会参加で広がる学びとつながり
当院では関連病院を含めた3施設合同の学術集会を年1回開催しており、若手が学会発表や司会などを経験する機会となっています。現在は後輩の発表をサポートする立場となり、新たな学びも得ています。
私は学会や研修会にはできる限り現地で参加するよう心がけています。現地参加では、追加質問や他施設との情報交換などオンライン以上の学びが得られます。人見知りな性格から不安を感じることもありましたが、多くの出会いと学びを得ることができました。得られた情報は自施設に持ち帰り、検査室内で共有するようにしています。
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伊藤 葵
東京都臨床検査技師会では幹事として約10年にわたり活動し、現在は理事として新たな取り組みに挑戦している。日常業務では微生物検査を担当。かつては苦手意識のあった分野だったが、今では“推し菌”ができるほど魅了されている。近年は、レジンで平板培地や試験管培地のキーホルダー制作に没頭し、質感や色味の再現にこだわりながら完成度を高めている。
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