キャリア・学び

臨床検査技師のための感染症 Quick Reference #02
腸管出血性大腸菌感染症

2026.07.08 06:00 会員限定記事を示すアイコン

EHEC届け出が最多、菌不分離の重症例に注意を


腸管出血性大腸菌(EHEC)感染症の年間届け出数が増えている。2025年は計4338例の届け出があり、2011年以降、最多となった。特に注意を要するのは、有症者の6〜7%に発症する溶血性尿毒症症候群(HUS)。発症者の致命率は1~5%という。2025年は59例の届け出があった。

国立感染症研究所細菌第一部の伊豫田淳氏によると、HUSの3〜4割はEHECが分離されない。こうした不分離例は血清診断などにより確定診断が行われるが、例えばO165は、「CT-SMAC」や「クロモアガーSTEC」などの市販の選択培地では生育しないという。

一方で近年は、O157やO26などの代表的な6つ以外の分離率が増加し、O血清群は多様化している。伊豫田氏は6月1日、メディアなどに向けた意見交換会で、「マイナーなO群が増えるに従って、見逃し例に注意が必要」と述べ、「マイナーなO群に関してHUSが起こっている」と注意を求めた。
 


 

EHEC感染症の概要

  • EHECが原因の感染症。腹痛、水様下痢、血便が主な症状だが、無症状の場合もある
  • 軽症例は1週間程度で軽快するが、有症者の6~7%にHUSが発生
  • 乳幼児、高齢者で重症化しやすく、脳症を併発して死に至ることもある。HUS発症者の致命率は1〜5%
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発生状況

  • 年間3000〜4000例が届け出。コロナ禍の2020年に大きく減少したが、2021年以降、増加傾向
  • 例年、5月の大型連休明けから増加し、夏ごろにピークを迎える。冬季でも届け出数はゼロにはならない
  • 男女とも15歳未満、80歳以上で多い

 

拡大防止・予防策

  • 感染研が分離菌のMLVA(反復配列多型解析)や全ゲノム解析を行い、感染の広がりを探知している
  • 細菌性食中毒予防の3原則(付けない、増やさない、やっつける)の徹底
  • 食肉の加熱など、調理方法に留意する

 


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