キャリア・学び
臨床検査技師のための感染症 Quick Reference #01
風疹・先天性風疹症候群

風疹含有ワクチン接種率が低下傾向、専門家「確実な2回接種を」
2020年度以降、風疹含有ワクチンの全国接種率は低下傾向にある。国立健康危機管理研究機構(JIHS)の「病原微生物検出情報(IASR)」によると、2024年度のMR(麻疹風疹)ワクチン接種率は、第1期(1歳児)が92.7%で前年度から2.2ポイント低下し、第2期(5歳以上7歳未満)も91.0%で1.0ポイント低下した。いずれも風疹排除の目標値とされる95%以上を下回っており、「対策が喫緊の課題」とされている。
近年の風疹報告数は少なく、流行は抑制されている状況にある。こうした中、IASRの風疹・先天性風疹症候群特集に執筆者として名を連ねる国立感染症研究所予防接種研究部の新井智氏は、ワクチン接種率の低下に伴い、ウイルスに感受性を持つ人が徐々に蓄積していると指摘。「一度流行が発生すると患者発生が多くなる状況になりつつある」と警鐘を鳴らす。特に第2期接種について、「小学校入学準備に、確実な2回目のMRワクチン接種が望まれる」としている。
感染症の概要
風疹
- RNAウイルスである風疹ウイルスを原因とする感染症で、感染経路は飛沫感染
- 発疹、リンパ節腫脹、発熱が3大症状
- 特異的な治療法はなく、予防にはワクチンが有効とされる
- 日本は2025年9月に世界保健機関(WHO)から風疹排除が認定された
- 感染症法上の5類感染症で、全数把握対象疾患
先天性風疹症候群(CRS)
- 妊娠初期(妊娠20週ごろ)までの母体感染で発生リスクが高い
- 先天性心疾患、難聴、白内障が3大症状
発生状況
- アウトブレイクが2012〜2014年(風疹1万7049人、CRS45人)、2018〜2021年(風疹5351人、CRS6人)に発生
- 流行から10カ月後にCRSが発生する傾向
- 近年は、2025年に11例(暫定値)、2026年に1例(4月22日現在)と風疹報告数は少なく、CRS報告は両年ともゼロ
検査のポイント
- 2018年以降、原則として全例の風疹症例に血清学的検査と遺伝子学的検査の実施が求められるようになり、検査診断例による届け出割合が増加
- 厚生労働省は行政検査を担う公的検査機関を対象に、外部精度管理事業を実施している
| ウイルス | 遺伝子型 | 正答施設数/実施施設数(%) | |
| 塩基配列決定 | 遺伝子型判別 | ||
| 麻疹 | B3 | 35 / 40(87.5%) | 40 / 40(100%) |
| D8 | 33 / 35(94.3%) | 34 / 35(97.1%) | |
| 合計 | 68 / 75(90.7%) | 74 / 75(98.7%) | |
| 風疹 | 1G | 35 / 40(87.5%) | 39 / 40(97.5%) |
| 2B | 27 / 35(77.1%) | 35 / 35(100%) | |
| 合計 | 62 / 75(82.7%) | 74 / 75(98.7%) | |
盲検化のため、麻疹および風疹ウイルス各2検体を準備し、参加施設(全75施設)に各1検体ずつ配布した
〔国立健康危機管理研究機構,他:病原微生物検出情報(IASR),47:65,2026 より〕
予防接種率の状況
- 第1期(1歳児)のMRワクチン接種率は、2022年度が95.4%、2023年度が94.9%、2024年度が92.7%
- 第2期(5歳以上7歳未満)では、2022年度が92.4%、2023年度が92.0%、2024年度が91.0%
- 接種率の低下によりワクチン未接種者や接種歴不明者が増加し、感受性人口が増加する
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