遺伝子発現パターンで腎がんを層別化 新しい診断支援法を開発
横浜市立大学・理化学研究所の研究チーム

横浜市立大学と理化学研究所の研究チームは12月3日、遺伝子の発現パターンにより腎がんを層別化する新しい診断支援法を開発したと発表した。腎がんの凍結検体を用いて全遺伝子の発現解析を行ったところ、病理診断や予後などの臨床情報と一致するグループ分けができ、さらにFFPE検体でも同様の結果が得られた。
研究チームはさらに検討を進め、AI解析によるプログラム医療機器の承認取得を目指している。検査センターを設立して、2027年7月以降に全国の医療機関からの検査受注を開始する計画。
研究チームによると、腎がんは年3万人が発症し、うち6000人が診断困難例。腎がんはWHO分類で21種類以上の組織型が定義されているなど疾患のタイプが多様で、病理診断が難しい。さらに腎がんを専門とする病理医は全国に数人しかいない。このため、治療が一律になるなど、過小治療、過大治療が懸念されており、病理診断を補助し治療選択につながる診断法の開発が急がれる状況だという。
研究チームが腎がんの凍結検体219例について、各遺伝子のRNAの量を調べる遺伝子発現解析を行ったところ、遺伝子の発現パターンが似ている検体がグループになり、病理診断名や予後などの臨床情報と密接に関連していたことが分かった。予後不良症例も遺伝子の発現パターンが似ていて、神経分化に関連する遺伝子群の発現異常が見られた。また、FFPE検体を使った検討でも凍結検体と同様、遺伝子の発現パターンで検体を層別化できた。
研究チームはさらに1000例での解析を進め、AI診断のプログラム医療機器として薬事承認、保険収載を目指す。また、大学発ベンチャーの検査センターを設立して、10万円程度の価格で検査を受注する計画。検査結果では、遺伝子発現解析による層別化の結果のほか、組織型候補、薬剤ごとの予後予測などを返却することを想定している。
研究成果は、「Nature Communications」に11月24日に掲載されている。
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