iPS再生医療、実用化へ 世界初、2製品を承認了承
心不全とパーキンソン病 山中氏発見から20年
厚生労働省の専門部会は19日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った2種類の再生医療等製品を、条件と期限付きで製造販売承認することを了承した。重症心不全を対象にした「リハート」と、パーキンソン病を対象にした「アムシェプリ」。今後、手続きを経て承認されれば、iPS細胞を使った再生医療が世界で初めて一般医療として実用化される見通し。
iPS細胞は、京都大の山中伸弥・教授が2006年にマウスでの作製を報告して以降、20年を経て大きな節目を迎えた。山中氏は「社会実装へ向けた大きな一歩を踏み出せたことを大変うれしく思う」とのコメントを発表した。
承認後は価格や保険適用の議論、製造販売の準備に数カ月かかり、早ければ今年の夏から秋ごろに患者への使用が始まる見込み。リハートの価格は1千万円以上になるとみられ、アムシェプリも高額が想定される。
専門部会での審議の結果、承認の期限はいずれも7年間。期限内に有効性を確認するのが条件。リハートでは、作用を説明できる詳細なデータを収集することも求めた。
リハートは、大阪大発ベンチャー「クオリプス」(東京)が開発した。血管が詰まって心臓に血液が届きにくくなる「虚血性心筋症」による重症心不全が対象。他人のiPS細胞から作製した心筋細胞をシート状に培養し、心臓の表面に貼り付ける。定着すると新たな血管ができるとされる。
重症心不全では薬によって悪化を防ぐ治療などがあるが、心臓移植が必要になるケースもある。リハートの臨床試験(治験)では8人に移植され、いずれも疲労感や動悸などの症状が軽減。心機能や運動能力の改善もみられたという。
アムシェプリは、住友ファーマ(大阪市)が手がけた。パーキンソン病は、脳内で神経伝達物質ドーパミンを出す神経細胞が減少し、体のこわばりや手足の震えが起こる。ドーパミンの不足を補うため、他人のiPS細胞を、ドーパミンを出す神経細胞の前段階の細胞に成長させ、頭部に投与する。
これまで症状を和らげる薬しかなかったが、根本的な治療につながる可能性がある。治験では患者7人に移植され、効果を調べた6人では、移植細胞がドーパミンを出した。運動症状の指標に改善がみられた人もいた。
両製品とも京都大が樹立したiPS細胞を使用する。治験の症例数が少ないため、条件と期限を付けて早期に承認する制度が適用される。安全性が確認されていれば、有効性は「推定」できればよく、実際の治療を通じて有効性も確認されれば条件などのない承認となる。
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