サクッと解説! 検査技師必見トピックス #11
遺伝子関連検査の品質保証、NPO「J-GENE」への期待

特定非営利活動法人「日本遺伝子関連検査品質保証・教育機構」(略称=J-GENE、理事長=宮地勇人氏:新渡戸文化短期大学)がこのほど設立されました。このNPOは、「遺伝子関連検査の外部精度管理調査の提供」と「遺伝子関連検査の実務者や管理者(第三者認定審査員の候補)の教育・育成」を事業の柱とし、遺伝子関連検査の品質を保証して、がんゲノム医療や難病治療対策、パンデミック対策の推進などに貢献することを目指しています。
COVID-19対応で品質保証の課題浮き彫り
遺伝子関連検査は技術の進展に伴い、臨床での活用が広がってきました。品質保証については、2018年12月に施行された改正医療法により、外部精度管理調査の受検は「努力義務」と位置付けられました。また、ISO 15189など検査実施施設を対象にした第三者認定については、「必要な体制整備に努めることが望ましい」と勧奨されています。
こうした動きがある中で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行が発生。国内ではPCRなど核酸増幅検査のニーズが急増し、検査の実施件数が追い付かない目詰まりが社会問題となりました。COVID-19への対応を通して、日本国内で新たな病原体に迅速に対応するには、薬事未承認の機器・試薬の精度保証や評価の仕組みを整備する必要性が高まった形です。
J-GENE理事長の宮地氏は、「日本は欧米と比べ、遺伝子関連検査の品質保証に関わる政府機関や組織機能がなく、品質保証を支える組織的な基盤がない」と機構設立の背景を語っています。
海外で実施されている外部精度管理調査の活用はできますが、やはりコストはかかりますし、調査試料の輸送と品質管理、疾患と検査項目の人種差、検査要員の教育や継続的品質向上などは課題です。パンデミックの緊急対応なども考えれば、国内で組織的な基盤を整備するのが理想の体制です。こうした背景もあり、遺伝子検査の外部精度管理調査実施体制の整備をテーマにした厚生労働科学研究の成果を踏まえ、NPO法人設立に踏み切りました。
J-GENEは今年8月15日付で東京都から認証され、現在、会員を募集しています。遺伝子関連検査に関わる企業や団体などに参画してもらい、共同で事業を進めるコンソーシアム形式での運営を目指しています。
外部精度管理調査や研修で、継続的な改善へ
J-GENEが提供する外部精度管理調査は、病原体核酸検査、体細胞遺伝子検査、生殖細胞系列遺伝子検査が対象の予定です。成績と評価に基づき、各施設の検査要員(測定者、精度管理・精度確保責任者など)の研修や教育の機会を提供し、検査の質の継続的な改善につなげます。がん遺伝子パネル検査などを実施する検査室のISO 15189認定審査の現地実技試験についても担っていく計画です。外部精度管理調査全体の情報を収集・共有する仕組みの構築も目指しています。(図)

遺伝子関連検査の品質保証は、検査の担い手である臨床検査技師の皆さんにとっても関心が高いテーマではないでしょうか。J-GENEでは今後、実際に事業をしっかり軌道に乗せるための体制整備も課題の一つです。ニーズが高まる遺伝子検査を下支えする仕組みや組織の活動は今後どのように動き、発展していくのか。遺伝子関連検査の信頼性の担保につながる取り組みとして、注目していきたいです。(河)
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