PFAS健康評価書に疑問 文献、検討過程で7割変更
食品安全委は正当性主張
発がん性などが指摘される有機フッ素化合物(PFAS)に関し、内閣府の食品安全委員会が作成した「健康影響評価書」の信頼性を疑問視する声が出ている。国内外の研究からPFASの摂取許容量を提示したが、参照文献の約7割が途中で変更されていた。当初の文献を選んだ外部の専門家は結論が変わった可能性を指摘する。これに対し食安委は「恣意的な取捨選択はない」と反論、正当性を主張している。
2024年6月に公表された評価書は、人が1日に摂取しても健康に影響がないPFASを代表的なPFOSとPFOAで各「体重1キロ当たり20ナノグラム」と設定。欧州連合(EU)基準の60倍以上も高い。今年4月に施行される水道水の水質基準の根拠にもなった重要な指標だけに、作成過程の透明性が求められる。
NPO法人「高木仁三郎市民科学基金」の調査では、評価書の作成過程で化学物質評価研究機構(CERI)が257件を評価用文献に選んで食安委に提示。だが23年2月から24年6月に開かれた食安委の会合の過程で、うち190件が不採用になり、新たに201件を加えて最終的に268件が参照文献になるなど推移が不自然だった。
環境省のPFAS専門家会議委員で、CERIの文献選定にも関わった群馬大の鯉淵典之・特別教授(環境生理学)によると、実際に細胞や動物を使って臓器への影響や毒性を評価した論文で、自身が重要と判断した22本のうち20本が除外されていた。不明点の多いPFASが人体のどの臓器に影響するかや、発がん性を含む毒性の実験系論文が多く、毒性評価においては重要だという。代わりに健康影響を数値的に分析した論文が追加され「最初から結論があったのではないか」と話す。
高木基金は昨年、評価書の作成過程に関する文書を情報公開請求。しかし、開示された資料約1300ページの該当部分は大半が黒塗りだった。会合は公開が9回(約21.7時間)に対し、非公開が24回(約51時間)。非公開会合は、議事録やメモさえ開示されなかった。
食安委は「非公開の会合は『打ち合わせ』で、評価方針に踏み込む議論ではなかった。差し替えや除外ではなく、不採用になった論文も参考にはした」と説明している。
高木基金の高橋雅恵さんは「どういった根拠に基づいて評価したのかが分からず、ブラックボックスだ」と指摘。PFAS問題に詳しい京都府立大の原田浩二・教授(環境衛生学)も「透明性と信頼性を得るためには、どういうプロセスであったのかを明らかにすべきだ」と話している。
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