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サクッと解説! 検査技師必見トピックス #15
全国で進む災害対策 制度整備の先に検査現場が問われるもの

2026.02.18 06:00 会員限定記事を示すアイコン


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  • 日臨技と都道府県技師会は、災害対応を個人任せにせず、協定や派遣登録など組織体制を整備している。

  • 臨床検査技師の役割は、避難所でのDVT・感染症対応や被災検査室支援、資材調整まで拡大している。

  • 体制は整いつつありますが、都市部の遅れや訓練の質、備えの維持・更新が新たな課題となっている。


 

日本全国で大規模災害が頻発する中で、日本臨床衛生検査技師会や都道府県技師会が、災害を「想定外」にしないための体制づくりを進めています。

地震や豪雨など自然災害が相次ぐ今、医療職の災害対応は発災直後だけでなく、避難生活が長期化する中期、さらには復旧期まで含めて考える必要があります。その中で、臨床検査技師に求められる役割も、避難所での公衆衛生活動、被災検査室への支援、検査試薬や資材確保の調整へと広がってきました。こうした変化を受け、日臨技と都道府県技師会では、災害対応を個々の善意に頼るのではなく、組織として支える仕組みづくりを本格化させています。

 

行政との協定、17技師会に

日臨技がまとめた2026年1月時点の資料によると、都道府県と大規模災害発生に備えた協定を締結しているのは17技師会まで増えました。都道府県だけでなく、検査薬卸連合会も含めた3者協定を結んでいる例もあります。

協定で重点を置く内容に多少の違いはありますが、全体的に見ると共通点が見えてきます。避難所での深部静脈血栓症(DVT)検診や感染症検査、被災施設の検査室支援、試薬や機器の供給支援といった活動が、いずれも整理されている印象です(次ページ)。

こうした協定締結の動きと並行して、日臨技は2026年4月から、大規模災害時の検査技師派遣を迅速に行うための「派遣協力者登録」を稼働させます()。いわゆる人材バンクとして、募集から選定、保険登録までの時間短縮を図る狙いです。特徴の一つは「登録イコール派遣」ではないこと。職場や家庭の状況に応じて参加の可否を判断できる仕組みを取り入れ、登録に伴う心理的なハードルを下げています。ただ、制度が整ったからといって、必要な人材が自動的に集まるわけではない点は今後の課題になりそうです。

実装予定の新機能の内容
図 実装予定の新機能の内容
〔日臨技資料より〕

これ以外にも、日臨技は、災害対策マニュアルや関連規定などを改訂し、災害派遣者保険も新たに導入しました。ここ数年の災害対応の教訓を踏まえ、制度面の枠組みが確実にブラッシュアップされているようには見えます。

 

遅れる都市部の動き

一方で、気になる点もあります。協定締結や具体的な運用づくりの動きが、地方の技師会が先行している印象があります。都市部は医療機関や関係団体が多く、災害時対応の所管や役割分担が細分化されがちです。その分、行政との調整が複雑になり、協定締結がスムーズに進まないケースも考えられます。ですが、大規模災害が起これば都市部であっても人、モノ、情報は一気に不足します。平時の余力と、非常時の実態のギャップは、むしろも都市部の方が大きいと言えるのではないでしょうか。

各地で行われている災害訓練も、質が問われる段階に入ってきました。訓練を通じて課題を可視化し、その結果をマニュアルや次の対応にどう反映させるかが重要になります。技師会が研修会で活用している「避難所運営ゲーム(HUG)」も同様です。限られた時間での判断力やコミュニケーション能力を磨き、体験後の振り返りを通じて課題を言語化していくことが求められています。


避難所運営ゲーム(HUG)の概要

 

「備え続ける」こと自体が次の課題

行政との災害協定、派遣技師の人材バンク、災害マニュアル・規定の見直し、そして訓練―。検査技師を取り巻く災害対応の枠組みは、全国的に整いつつあります。一方で、それらを維持し、更新し続けること自体が新たな課題になり始めているようにも見えます。

災害は一度きりではなく、いつ起こるか分かりません。人手不足や業務の忙しさから、災害対策はどうしても後回しになりがちですが、「分かっていながら、手をつけてこなかった」ことのツケを最も大きく背負うのも、現場です。

技師長ら責任ある立場の人が、災害対策を話題にし続けるか。それとも、忙しさを理由に黙ってしまうか。その判断が、数年後の検査現場を左右するのかもしれません。全国的な流れが確実に生まれ始めている今だからこそ、その覚悟が静かに問われているようにも見えます。(水)

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