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サクッと解説! 検査技師必見トピックス #17
がんゲノム医療と小児がん 指定要件の見直しへ相次ぎ始動

2026.04.15 06:00 会員限定記事を示すアイコン


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  • 厚労省は2026年3月、がんゲノム医療と小児がんの拠点病院制度見直しWGを開始。2026年7月に新指針を公表し、2027年4月から新たな指定類型で運用を始める予定。

  • 両制度では、がんゲノム医療は診療実態と指定体制のずれ、小児がんは施設の過分散が課題。制度見直しにより、現場の実情に合った提供体制への再編を目指す。

  • 見直しの共通軸は、ドラッグラグ・ドラッグロス解消に向けた中核病院機能の強化と、都道府県単位で拠点病院を中心とする連携ネットワーク整備の推進にある。


 

厚生労働省は2026年3月、がん医療提供体制に関わる2つの拠点病院制度について、指定要件の見直しを議論するワーキンググループ(WG)をほぼ同時に始動させました。1つは「がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するWG」(3月13日開催)、もう1つは「小児がん拠点病院等の指定要件に関するWG」(3月26日開催)です。いずれも2026年7月に改定指針を公表し、2027年4月から新たな指定類型での運用を開始する予定となっています。

2つの制度見直しが足並みをそろえる背景には、第4期がん対策推進基本計画(2023年3月閣議決定)や「2040年を見据えたがん医療提供体制の均てん化・集約化に関するとりまとめ」(2025年8月公表)といった上位政策の存在があります。加えて、ドラッグラグ・ドラッグロスの解消という喫緊の政策課題があり、拠点病院の機能強化を通じた対応が求められています。

 

診療実態の不一致が課題に

両制度の医療提供体制はいずれも、国レベルの中核的病院、地域の拠点病院、連携病院という多層構造で構成されています。現在、がんゲノム医療は中核拠点病院13カ所、拠点病院32カ所、連携病院250カ所、小児がんは中央機関2カ所、拠点病院15カ所、連携病院143カ所があります(いずれも3月現在)。拠点の病院と連携医療機関がネットワークを組んで診療を提供する構造も同じです。しかし、がんゲノム医療の臨床実装が進むにつれ、診療の実態に十分に合わない状況が出てきました。

例えばがんゲノム医療では、がん診療連携拠点病院等(493施設)のうち約36%ががんゲノム医療の指定病院になっていません。日本癌治療学会などの3学会合同ゲノム医療推進タスクフォース・ワーキンググループ座長の武藤学氏(京都大学)は13日のWGで、遺伝子変異に基づく治療薬が標準治療に組み込まれてきている現状を踏まえ、がん遺伝子パネル検査を実施できる体制の整備が不可欠だと強調しました。

造血器腫瘍遺伝子パネル検査も、造血器腫瘍の診療体制と一致していない課題があります。2025年3月の保険収載後、毎月200件以上の出検数がありますが、造血幹細胞移植実施施設の約19%ががんゲノム医療提供体制に加わっていません。

小児がんでは逆に、施設の「過分散」が課題です。26日のWGで米田光宏構成員(国立成育医療研究センター)は、先進国と比較して日本の小児がん診療施設数は多く、年間初回治療開始数が1〜2例の医療機関が全国に100以上存在するとし、診療施設の集約化が望ましいと提案しました。また小児がんの5年生存率は82.4%に達し、晩期合併症の最小化に向けた長期フォローアップの充実が新たな課題となっています。

 

見直しの2つの共通軸

両WGでは厚労省が見直しの方向性(案)を示しました。そこからは2つの共通軸が見て取れます。

図1 がんゲノム医療中核拠点病院等の見直しの方向性
がんゲノム医療中核拠点病院等の見直しの方向性

図2 小児がん医療拠点病院等の見直しの方向性
小児がん医療拠点病院等の見直しの方向性


1つは、ドラッグラグ・ドラッグロスの解消です。特に、希少がんや難治性がん、小児がんでは薬剤アクセスの改善が課題になっています。

2016〜2020年に欧米で承認された医薬品のうち、2023年3月時点で日本では承認されていない医薬品は143品目に上ります。そのうち60.1%に当たる86品目は国内で開発すら着手されておらず、ドラッグロスが発生しています。

この86品目の内訳は、ベンチャー発が56%(48品目)、希少疾病用医薬品(オーファン)が47%(40品目)、小児用医薬品が37%(32品目)です。

86品目のうち抗悪性腫瘍剤は8品目で、希少疾病に5品目、小児に2品目が該当しています。

見直しでは、中核的病院にその役割を担わせる方向性が共通して打ち出されました。がんゲノム医療では、中核拠点病院を「ドラッグラグ・ドラッグロスの解消に向けて国際共同治験の推進等を行い、わが国のがんゲノム医療を牽引する高度な機能を有する医療機関」として再定義します。また小児がんでは、拠点病院の役割を再定義した上で現行の15カ所から10施設程度に集約し、「ドラッグラグ・ドラッグロスの解消に貢献する病院」と位置付ける方向が出ています。

 

都道府県単位でネットワーク構築

もう1つは、都道府県単位の医療提供体制の整備です。両制度とも各都道府県に原則1カ所の拠点病院を設け、指定する連携医療機関と役割分担をしながら標準的な治療を提供する方向となっています。

集約化による質の向上と、均てん化によるアクセス確保の両立を図る構造は、両制度に共通する考え方といえます。この考え方の下、都道府県レベルでの拠点機能の明確化と、拠点病院を中心とした連携ネットワークの構築が志向されています。

両制度は見直しに向けたスケジュールも共通しています。

2026年5月に学会等ヒアリング、6月に改定指針案の提示を行い、上部組織である「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」への報告を経て、7月に新整備指針を公表する予定となっています。その後、都道府県からの推薦などを経て、2027年4月から新指定類型の適用が開始される見込みとなっています。

がんゲノム医療が進展する中、2つの拠点病院制度の同時見直しは、がん医療提供体制の再構築に向けた転換点となります。ドラッグラグ・ドラッグロスの解消という共通課題への対応を軸に、質の確保と提供体制の拡大・集約化を両立させるための施策が進んでいます。(枇)

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