キャリア・学び

Voice of Lab. file 01 渡辺 雄大(香取おみがわ医療センター臨床検査科)
検査でつなぐ、地域と未来――臨床検査技師としての2つの挑戦

2025.11.28 06:00 会員限定記事を示すアイコン



香取おみがわ医療センターに勤務する私は、「地域連携」と「若手技師ネットワーク」という2つの取り組みに挑戦しています。検査データを臨床現場で活かし、未来を担う仲間を育てる――その実践の一端を紹介します。


 

私、こんなことしてます!

1.地域連携で検査データを“活かせる情報”に

微生物検査は、感染症診療や感染対策の基盤を支える重要な情報です。しかし、香取おみがわ医療センターをはじめ、近隣施設は回復期・慢性期病院が多く、検査の多くを外部委託に頼っています。そのため、技師が直接的に関わる機会が限られ、検査結果が十分に臨床現場へ還元されない場面も少なくありません。

近隣施設を訪問すると、「この菌はなに?」「薬剤耐性が多いが、感染対策はどうすればよい?」「培養検体はどう提出すればいいの?」など、初歩的な疑問から専門的な相談まで数えきれないほどの声を耳にします。微生物を専門にしていない技師だけでなく、看護師や薬剤師も同様の課題を抱えており、結果として貴重な検査データが“報告で終わってしまう”こともあります。

そこで私は、感染制御認定臨床微生物検査技師(ICMT)として、現場と検査室をつなぐ橋渡し役を担うことを決意しました。検体採取の工夫、グラム染色の実践と読み方、同定・感受性検査の見方、アンチバイオグラムの活用法など、実践的なサポートを行いながら臨床現場と検査部門の距離を少しずつ縮めています。

地域には幸い、施設間交流を後押しする風土があります。しかし、訪問するには院内各部署の承認が必要で迅速な対応がしにくいこと、また限られた日程では十分な指導が困難なことなど、いくつか課題も見えてきました。こうした経験を踏まえ、現在構想しているのが技師の相互派遣です。各施設の技師も、超音波検査や形態(一般・血液検査など)といったそれぞれの専門分野があります。得意を持ち寄り、苦手を補い合う――そんな仕組みが地域にあれば、検査室で止まっていた情報を臨床現場で活かせる情報へと変換できるはずです。

もしかすると、すでに同様の取り組みを行っている地域もあるかもしれません。そうした先行事例も参考にしながら、地域全体で検査体制を底上げしていけたらと考えています。

 

2.若手技師がつながり、未来を描くネットワーク

もう一つの柱は、若手技師の育成とネットワークづくりです。臨床検査を支えるのは、進化する技術だけではありません。情熱を持ち、挑戦を続ける若手技師たちこそが、未来の検査を形づくります。

千葉県臨床検査技師会の青年委員会では、若手自身が研修会や学会を企画・運営しています。発足からわずか2年足らずの間に、新入会員研修会や県学会を担当するまでに成長。テーマも「ロールモデルを見つけよう〜自分らしい働き方ワークショップ〜」や「つながりとコミュニケーション」など、若手らしい柔軟な発想にあふれています。

ただ聴くだけの講義ではなく、仲間と語り合い、学び合うことで、自分の可能性を見つめ直す時間。そして、臨床検査技師としてどう生きるかを考えるきっかけを提供する――それが、私たちの目指す場です。

 

千葉県臨床検査技師会 新入会員研修会
千葉県臨床検査技師会 新入会員研修会

 

さらに、2025年8月には初の試みとして「一都八県若手交流会」を開催しました。7都県から19名が集まり、地域ごとの活動や課題を共有。「次の時代をつくるのは自分たちだ」という熱意が自然と広がっていきました。その約2カ月後に開かれた関甲信支部・首都圏支部医学検査学会でも再びメンバーが顔を合わせ、活発な意見交換を重ねました。

 

一都八県若手交流会の様子(写真右上が筆者)
一都八県若手交流会の様子(写真右上が筆者)
〔関甲信の技師会青年組織が交流会 活動内容で情報交換、7都県が参加.MTJ ONE,2025年8月25日より〕

 

技術は教科書から学べても、“志”は仲間との交流から生まれます。今後はこの広域ネットワークを組織化し、全国規模で若手技師が主導する活動へと発展させたいと考えています。

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