POCTの実践 [第4回]土井 雅大氏(亀田総合病院 臨床検査部)
〈事例2〉POCT機器の管理部署で一元管理

はじめに、亀田総合病院で使用しているPOCT対応機器を紹介します。血液ガス分析装置はABL800 FLEX(ラジオメーター)2台、RAPIDPoint 500e(シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス)10台、epoc(シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス)6台、i-STAT1アナライザー(アボットジャパン)4台の計22台、簡易血糖測定器はスタットストリップ グルコース ケトン(ノバ・バイオメディカル)124台が稼働しています。これらの測定機器は、オープンデータマネジメントシステムであるPOCcelerator(POCc、 シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス)に接続して検査室で一元管理しています(図)。また、診療科からの依頼によりThe Lab 002(アークレイ)、ポケットケムBA PA-4140(アークレイ)、ビルメータF(アトムメディカル)、FibCare(アトムメディカル)なども検査室の管理下で稼働しています。

POCT、一元管理のメリットは?
当院は2022年4月の血液ガス分析装置の更新を機にPOCcを導入し、POCT機器の一元管理を開始しました。これに伴い、院内のPOCT機器を専門的に管理する部署を臨床検査室内に設立しました。2023年2月には院内全て(57部署、124台)の簡易血糖測定器のオンライン化が完了し、検査室での集中管理を開始しました。オンライン化により、以前までは正確に把握できていなかった精度管理の実施状況、測定時のエラー発生状況、および測定に関連したトレーサビリティの確保が可能となりました。
精度管理の実施率はオンライン化した当初は47%でした。実施率向上のための対策として看護部への毎月の精度管理状況の報告、精度管理手順書の改訂と、全部署を訪問しての説明会も行いました。説明会を開催した10日後の精度管理実施率は78%まで改善し、約5カ月後には97%にまで向上しています。
測定におけるエラーの発生率はオンライン化の当初は2.8%でした。改善対策として、測定手技についての研修を看護部向けに実施しました。また、トレーサビリティの確保が可能となったことで測定者、測定部署が把握できるようになり、測定エラー件数の多い部署への説明会を実施することができました。その結果、測定エラーの多い部署のエラー件数の減少につなげることができ、全体のエラー率も2.4%まで減少しました。精度管理の実施率の増加で測定結果の信頼性の向上が図られたと考えています。しかし、測定時のエラーの発生率は0.4ポイントの減少にとどまり、無駄なコスト削減には寄与しているものの、エラーの発生率がどの程度の割合が妥当であるのか今後検討していく必要があると考えます。
重要なPOCT使用者への教育
病棟や救急外来など、検査室外に設置されているPOCT機器の使用者に向けての教育を毎年継続して行い、かつ力量評価することは簡単ではないと思います。当院では2024年4月より簡易血糖測定器についてe-ラーニング受講を条件とした許可制を導入し、機器使用許可を得た測定者、つまりe-ラーニングを受講したスタッフだけが操作できる仕組み(使用者権限の付与)を構築しました。e-ラーニングの導入は新入職員の教育だけでなく既存職員の手技再確認にも有用であると考えられます。そのため、現在の精度管理実施率、測定時のエラーの発生率は先に述べた対策後の数値を維持することができています。現在は、血液ガス分析装置に対しても同様の教育体制を導入するべく準備を進めています。
試薬・消耗品管理も専任技師で
当院では先に述べた通り、POCTを専門に管理する部署を設立しています。部署設立以前ではどの機器でどのようなトラブルが起きているのか、どの部署からどんな問い合わせが来ているのか、またそれらがどこまで対応できているのかを常に把握することは困難でした。機器の管理者を決め、問い合わせの窓口を一つにすることで機器の管理や問い合わせの進捗を常に把握することが可能となりました。また、問い合わせに対する迅速な対応も可能となっています。POCcの導入により、接続されている機器の状態(エラー状況、消耗品状況、精度管理実施状況)を検査室で管理することが可能です。さらに、試薬・消耗品の管理についてもほぼ全ての物品を検査室で専任の技師が管理しているため、使用期限切れや在庫切れといったトラブルも発生していません。
POCT維持管理、看護師らの協力体制も重要
院内のPOCT機器を検査室の責任で維持・管理していくことは今後、望まれていくことであると思います。しかし、人員、予算および設備などが必要であるため、多くの施設では、着手できない、または計画通りに進捗していないのが現状です。まずは人的、経済的に無理のない範囲でスタートするのがよいと思います。
また、院内のPOCT機器の維持・管理は臨床検査技師だけでなく他職種の協力が必要不可欠であり、当院の場合は看護部の協力が必須でした。他職種からの協力が得られるような体制の構築も同時に進めていくことが重要であると考えます。
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