Voice of Lab. file 02 熊谷 優(日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院臨床検査科)
安全な輸血を実現するための看護師教育への挑戦

輸血医療の安全を支えるためには、看護師を含む多職種への継続的な教育が欠かせません。入職1年目から輸血検査室で経験を積んできた私は、日々の業務を通じて「輸血に関する看護師教育が十分ではない」という課題を強く意識するようになりました。認定資格の取得を契機に教育体制の見直しに踏み出し、e-learningを活用した学習環境の整備に挑戦しています。
私、こんなことしてます!
私は入職1年目から輸血検査室に配属され、今年で9年目を迎えました。
入職当初は目の前の業務を覚えることに精一杯で、周囲に目を向ける余裕はほとんどありませんでした。しかし、数年が経ち業務に慣れてくると、血液製剤が払い出された“その先”を意識して業務を捉えられるようになりました。
1.看護師教育という新たな課題
まず着手したのは、輸血非専任検査技師への教育でした。稀な事例の共有や定期的なe-learningなど、継続的な教育体制を整備しました。
そして入職6年目、多職種で構成される輸血部の会議に参加する機会を得ました。医師や看護師、薬剤師といった多職種と関わる機会が増えるなかで、輸血医療は多職種が連携して初めて成り立つことを改めて実感しました。一方で、そのようななかで新たに気づいた問題が、看護師への輸血教育が十分に行われていないという現状でした。当時、基本的な製剤の取り扱いや管理に関する問い合わせやインシデントが多く、当院では新人看護研修以降、体系的な教育の機会が不足していたのです。
ただ、看護師教育の重要性を感じながらも、どう進めてよいかわからず、一歩を踏み出せずにいました。
2.認定資格の取得が後押しに
転機となったのは、「認定輸血検査技師」の資格取得です。輸血分野の専門知識を学んだことで自信が生まれ、「自分の知識を現場に還元したい」という気持ちが強まりました。資格取得自体が、私の挑戦を後押しする“後ろ盾”となったと感じています。
さらに、血小板製剤輸血による細菌感染が疑われた事例が日本赤十字社から報告されたことが、看護師教育に踏み出す大きなきっかけとなりました。医療機関では輸血前に血液製剤の外観を確認することが求められており、血液製剤を扱う医療従事者には製剤の取り扱いに関する正しい理解が不可欠です。この報告を受け、院内スタッフへの輸血教育の必要性を強く感じ、輸血療法委員会へ提案しました。
3.e-learningを活用した教育の実施
委員会での承認後、「血液製剤の外観確認」をテーマに、血液製剤の外観を確認する際のポイントや、確認するタイミング、外観異常があった場合の対応などを盛り込んだe-learningの教材を作成し、院内スタッフ1,022名を対象に輸血教育を実施しました。
まず学習用スライドで外観確認の重要性や確認の方法、手順について理解してもらい、その後に確認テストで理解度を評価しました。


その結果、1022名中842名が受講し、受講率は82.5%(842名/1022名)。また、正答率も99.2%(835名/842名)と非常に高い成果を得ることができました。
続きを見るには会員登録
(無料)が必要です
会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。
MTJメールニュースの会員のみなさまへ
MTJメールニュースは、WEBサイト「MTJ ONE」にリニューアルいたしました。
お手数ですが、下記より再度、新規会員登録をお願いします。

熊谷 優
普段は輸血検査業務や製剤管理をはじめ、輸血関連情報カードの作成、患者への説明など、専門知識を活かした業務を行っている。さらに、今回紹介した看護師教育以外にも研修医や日当直者に対する輸血教育を定期的に実施している。また、愛知県臨床検査技師会の輸血検査研究班に所属し、地域の輸血検査標準化にも積極的に取り組んでいる。資格:認定輸血検査技師、二級臨床検査士(免疫血清学)、緊急臨床検査士







