Voice of Lab. file 03 濱田 誠(群馬パース大学医療技術学部検査技術学科 助教)
どこで働くかよりも“何がしたいのか”——私が選んだキャリアデザイン

私は臨床検査技師として、どこで働くかよりも“何がしたいのか”を基準にキャリアを選んできました。病理、がんゲノム、そして海外挑戦。特別な才能があったわけではありませんが、興味のある分野に向き合い続けることで、少しずつ選択肢が広がっていったように思います。ここでは、私がどのように考え、行動してきたのかを振り返ってみたいと思います。
私、こんなことしてます!
1.大切にしてきたのは「自分が何をしたいのか」
私は大学在籍時に転科し、臨床検査技師の資格を取りました。本音を言えば、もともと細胞検査士を目指していたので、臨床検査技師の資格は避けては通れなかった、というのが正確なところです。実際、他の科目はあまり得意ではなく、病理関連の科目も何とかついていける、という学生時代でした。
卒業後は病理分野に進み、細胞検査士として研鑽を積みながら複数の病院を経験しました。その過程で次第に意識するようになったのが、がんゲノム検査です。がんゲノムと病理のどちらにも携わりたい——そう考えるようになった頃、その当時、慶應義塾大学病院に所属されていた柳田絵美衣先生がSNSでオープンに質問を受け付けていらっしゃることを知りました。思い切って連絡を取ったところ、勉強法や参考書、使用されている道具に至るまで、とても丁寧にご回答いただいたことを今でもよく覚えています。やりとりを重ねる中で、自分なりの希望も率直に相談し、柳田先生の言葉に背中を押される形で、私は大阪から北海道の病院へ転職する決断をしました。
私にとって重要なことは、どこで働くかではなく、“何がしたいのか”。それだけが判断基準でした。転職先では、病理業務を担当しながら、次世代シークエンサー(NGS)に検体をかけるまでの一連の手技を学び、実務として経験することができました。
2.自分の居場所を、自分で選ぶということ
病理やがんゲノムに携わる中で、私は次第に「生きる場所そのものも、自分で選びたい」と考えるようになりました。私の根底にあるのは、「自分で選んだ人生を歩みたい」という思いです。
日本に生まれ、日本で暮らすことは、自分で選んだわけではありません。そう考えてきた私は、北海道の病院に約3年間勤務した後、ワーキングホリデー制度を利用してカナダへ渡航しました。カナダを選んだ理由は、ワーキングホリデー対象国の中で、臨床検査技師に類する資格を受験でき、永住権の取得が現実的に考えられたからです。日本人である限り、日本に戻ることはいつでもできますが、他国で働く権利を持ち続けることは決して簡単ではありません。永住権は更新制なので、必要がなければ手放すこともできます。戻りたくなったら日本に戻れる——そう考えれば、他国で働く権利を持っておくことに意味があると感じました。
カナダでは、ブリティッシュコロンビア州の中核を担う総合病院 Vancouver General Hospital に勤務し、腫瘍細胞含有率や細胞量の見積もり、診断用・分子用材料の配分を意識しながら、必要条件を満たす材料選別に関わりました。昼食時の何気ない会話の中で「どの検体が急ぎか」「このケースは材料が足りそうか」といった情報が自然に共有され、それが午後の業務を円滑に進めることにつながっていく。日常的な院内のコミュニケーションが、TAT(turn around time)と品質の両立を支えていることを実感しました。
3.再び巡り合ったご縁と、新たなステージ
結果的に、外国人受け入れ制限など政情の変化から永住権は申請段階で止まってしまいましたが、それを上回る経験を得るために2025年、カナダから帰国することを選びました。
帰国のきっかけは、柳田先生から「一緒に働かないか?」と声をかけていただいたことでした。米国から帰国され、大学教員として新たな道を歩まれる柳田先生のもとで働ける機会は、私にとって迷いのない選択でした。そして現在、群馬パース大学の助教として、漠然とした未来に向き合う学生たちの道標に少しでもなれたらと、日々教育・研究に取り組んでいます。
振り返ると、偶然が重なったとは思えない出来事の連続です。普段は運勢など気にしない私ですが、この巡り合わせだけは必然だったのかもしれません。
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濱田 誠
日本の病院病理部にて病理検査技師・細胞検査士としてキャリアをスタートし、がんゲノム医療にも携わる。その後カナダに渡り、臨床検査技師として主に細胞診分野に従事。多様な選択肢の中から、「世界一にしたい」と思える人とともに働く道を選び帰国。現在は大学教員として教育に携わり、その難しさと奥深さを日々実感している。フルスロットルの仲間に恵まれ、教育力とともに脚力も向上中!?
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