汚職続発、信頼揺らぐ東大 識者「ガバナンス不全」
卓越大認定に危惧も
東大で汚職事件が続発している。昨年11月以降、収賄容疑で医師の大学院教授ら3人が立件され、東大病院の田中栄・院長は引責辞任した。信頼は揺らぎ、国が世界最高の研究水準を目指し、財政支援する「国際卓越研究大学」の認定を危ぶむ声も上がる。識者は「ガバナンス(組織統治)が機能不全に陥っている」と指摘する。
「教育研究機関として社会の信頼を著しく損ねることになり深くおわび申し上げる」。28日に東大の安田講堂で記者会見した藤井輝夫・学長は約30秒間頭を下げた。会見では教職員約1万3千人を調査した結果、大学の倫理規定違反が22件発覚し、うち3件は高額接待を受けていたことも明らかになった。
大学院医学系研究科教授の佐藤伸一・容疑者が逮捕されたのは24日。逮捕容疑は、共同研究の相手だった一般社団法人「日本化粧品協会」の代表理事からソープランドなどで接待を受けた疑いで、26日に懲戒解雇された。同日に部下の元特任准教授も収賄容疑で書類送検された。
共同研究は、協会側が費用を負担する契約だった。協会側は昨年5月、高額な接待を強要されたのに契約を解除されたのは不当だとし、東大側に損害賠償を求めて提訴していた。
東大は翌6月、共同研究などに関する検証委員会を設置。10月に「一部教職員の倫理意識の欠如」があったとして、大学本部によるガバナンス強化などの改革策を公表した。しかし、11月に医療機器の選定を巡り、メーカーから現金を受け取ったとして、医学部准教授が逮捕された。
国際卓越研究大学の認定を審議する有識者会議は12月、東大を継続審査とし「ガバナンスに関わる新たな不祥事が生じた場合、審査を打ち切る」と条件を付けた。わずか1カ月後に新たな逮捕者が出た事態に、東大病院のある医師は「研究費不足の学部への影響は大きい」とこぼす。
大学のガバナンスに詳しい明治学院大の石原俊・教授(社会学)は、医学部や医学系研究科は伝統的に教授らの権限が強く、閉鎖的な研究室や医局で不正が見過ごされやすいと問題視。「重要事項を審議する教授会が高い倫理意識を持ち、自浄作用を働かせることが求められる」と強調した。
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