新しい看護師の形、全国に 退職後はフリーで「資格生かす場所つくる」
愛知県のポケットナース
看護師資格を取得し病院で一定期間働いた後、結婚や出産をきっかけに退職した人材「潜在看護師」に着目し、病院に所属しないフリーランスとしての働き方を提供するポケットナース(愛知県東浦町)が立ち上がった。代表の中嶋美世子さん(47)は「せっかく頑張って手にした資格を生かす場所をつくりたい」と、全国への普及を目指す。
厚生労働省によると、潜在看護職員は2018年末時点の推計で65歳未満が約70万人。日本看護協会の調査では、23年度の正規雇用看護職員の離職率は11%だった。
日本看護協会によると、病院などで働く看護職員が退職したいと考える理由は、結婚や転居といったライフイベントのほか、健康上の理由や勤務時間の長さが目立つ。中嶋さんは、特に出産後、育児と夜勤の両立ができず、復職を希望しないケースが多いと指摘する。
ポケットナースが提供する主な業務は、契約する医療機関や介護施設でスポットで働いたり、オンラインで自宅療養者や介護者の相談に乗ったりするもの。スポットで働きたい看護師には、履歴書の書き方や営業方法を助言する。
中嶋さん自身も看護師資格を持つ。21年7月まで、愛知県で患者受け入れが最大規模の総合病院で、看護主任などとして20年以上勤務。仕事と家事育児の両立による多忙などから、うつ病を発症し「二度と看護師なんてやるもんか」と思った。
退職したのは新型コロナウイルスの流行中だった。自宅から電話で感染者の様子を聞き、相談に乗る医療サービスに携わった。利用者から「不安がなくなった」「看護師に相談できて良かった」と感謝されたことをきっかけに、病院に勤務しなくても看護師資格を生かせることに気付き、会社の設立を思い立った。
24年8月からクラウドファンディングを実施して資金を集め、11月に会社を設立した。クリニックから採血や検査の補助などの依頼が舞い込むようになった。中嶋さんを中心に、同じ働き方をする看護師のコミュニティーができ、勉強会などを定期的に行っている。
障害福祉事業などを運営する波音(東浦町)も中嶋さんのサービスを利用する。社長の柿並砂浪さん(66)は「職員の休み希望が重なったときなど、柔軟に対応してもらい大変助かっている」と話す。看護師経験が豊富で安心感があるという。「高齢化社会が進む今だからこそ、困っている人のかゆいところに手が届くよう、スポットでの働き方を広めていきたい」と中嶋さんは前を見据える。
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