成人の半数、睡眠に悩み 関連市場、22兆円規模へ 「中国社会は今」
睡眠時脳波の分析機器などの開発も
景気低迷や社会の競争激化を背景に職場や学校でのプレッシャーが増す中国では、成人の約半数が睡眠に悩みを抱えているとされる。一種の〝国民病〟といえるほど広がる睡眠の問題を商機と捉えたサービスや商品が続々と登場。「睡眠経済」と呼ばれる市場は2030年までに1兆元(約22兆円)規模に達するとの試算もある。
北京中心部のビジネス街。お香の香りが漂う高層ビルの一室で、李紅穎さんがアイマスクを着けて横になった男性に語りかける。「深くゆっくりと呼吸して。仕事は忘れましょう」。隣で呼吸方法を教え、並べられたボウル型の楽器を静かに鳴らして眠りに誘う。
李さんが店長を務めるリラクセーション店は「安眠」を売りにしており、1時間約300元からと安くないが、予約が連日埋まる。客の多くは「仕事の負担が大きく、熟睡できていない」と李さん。宿泊サービスがないにもかかわらず「短時間でもいいので質の高い睡眠をとりたい」との需要を掘り起こした。企業が福利厚生の一環で契約したり、受験競争に疲れた親子が訪れたりするケースが目立つ。
「無眠氏」「夜忙症」。寝不足などを表す造語は近年増加。中国メディアによると睡眠に関する研究で、18歳以上の成人の48.5%が問題を抱えていることが判明。専門家は、仕事の重圧だけでなく電子機器の普及によって「光や音の刺激が入眠を妨げ、膨大な情報が焦りや不安を引き起こしている」と指摘する。
人工知能(AI)で睡眠時の脳波を分析する機器や寝心地に特化した寝具など新商品の開発も相次ぐ。「中国睡眠研究報告2025」によると、睡眠経済の規模は16年の約2600億元から23年には約4900億元へ拡大。30年までに1兆元の大台に乗ると予測する。
当局も睡眠指導を行う「睡眠健康管理師」を新職種として認め、対策に前向きだ。ただ40代の自営業男性は「職種をつくる前に仕事を創出してほしい。経済が上向いて安眠できる環境整備が必要だ」と話した。
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