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サクッと解説! 検査技師必見トピックス #14
医療機関の「働き方改革」を公的認定へ 2040年問題を見据えた支援と新制度

2026.01.28 06:00 会員限定記事を示すアイコン


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  • 厚労省は、ICT導入などで業務効率化・職場環境改善に取り組む医療機関を国が認定する新制度を創設し、人材確保を後押しする方針(法改正で実施へ)。
  • 背景には、人口減少と高齢化で「働き手は減るのに医療ニーズは増える」需給ギャップへの危機感があり、特に地方で担い手不足が深刻化する懸念
  • 基金等で生産性向上を支援する一方、認定が資金力のある病院に偏り二極化を招く恐れも。検査部門のDX推進にもつながる可能性がある。


 

厚生労働省は、ICT機器の導入などにより業務効率化や職場環境の改善に取り組む医療機関を国が公的に認定する新たな制度を設ける方針を固めました。医師や看護師などの「働き方改革」を加速させると同時に、認定を受けた病院がその実績を対外的に発信できるようにして、人材確保を支援する狙いがあります。今後、関連の法律を改正して実施に移していく予定です。

 

医療の需給ギャップに危機感

背景には、急速に進む人口減少と高齢化による「医療の需給ギャップ」への深刻な危機感があります()。

2025年以降、人材確保がますます課題となる
図 2025年以降、人材確保がますます課題となる
〔厚生労働省:令和6年11月8日 新たな地域医療構想等に関する検討会資料;新たな地域医療構想について.p51,2024より〕

国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2040年には15~64歳の生産年齢人口が2025年時点よりも約15%減少すると見込まれています。その一方で、85歳以上を中心に高齢者人口が増え、医療・福祉職員数は現在より約130万人も多い1070万人程度が必要になるとされています。つまり「働き手は減るのに、医療のニーズは増える」という極めて厳しい状況が待ち受けているのです。このギャップは、大都市に比べ地方都市、過疎地域ほど深刻で、医療の支え手不足が顕著となり、対策を講じなければ現在と同じ水準の医療提供体制を維持できない恐れがあります。

こうした事態を受け、厚労省は昨年12月の医療部会と医療保険部会に、医療機関の業務効率化・職場環境改善を進める方針を示し、了承されました。その具体的な施策の柱となるのが、認定制度の創設です。

「地域医療介護総合確保法」を改正し、認定制度を創設します。厚労省が設けた基準に沿って改善計画を実行した病院を公的に認定する仕組みが想定されています。また、各都道府県の「医療勤務環境改善支援センター」の法的根拠を強化し、労務管理支援だけでなく、ICT活用による業務効率化を助言する体制を整えます。

医療機関の業務改善や職場環境改善について意見を交わした社会保障審議会・医療部会
医療機関の業務改善や職場環境改善について意見を交わした社会保障審議会・医療部会

 

基金を活用し支援へ

この改革を推し進めるため、厚労省は2025年度の補正予算に200億円を計上し、ICT機器等の導入による効率化支援を始めました。2026年度予算案でも、国と地方を合わせて計51億4800万円を生産性向上支援に充てる方針です。「地域医療介護総合確保基金」の対象事業を見直し、生産性向上支援の事業を新設することを想定しています。

では、業務効率化の取り組みとはどのようなものでしょうか。厚労省がまとめた資料には下記のような取り組みが紹介されています。

  • AIによる記録業務の自動化
    診察時の会話をAIが解析して電子カルテの下書きを自動作成したり、看護記録をスマートフォンから音声入力したりするシステムの導入です。これにより、残業の温床となっていた書類作成時間を大幅に短縮できます。

  • 双方向ホワイトボードの活用
    病棟と検査室の双方からホワイトボードに最新の状況を書き込み、患者の状態や検査の進捗等が一目で確認できるようになります。これにより病棟での月当たりの検査・治療件数が1割以上増えました。

  • スマートフォンの導入とチャット連携
    従来のPHSをスマートフォンに切り替え、医療用チャットツールで情報を共有する動きです。ビデオ通話、ファイルの共有などを1対1だけでなくグループで使用することで残業時間の減少効果がありました。


ただ、認定制度には課題もあります。「認定を取得できる病院とできない病院で、人材確保の格差がさらに広がるのではないか」「資金力のある病院だけが有利になり、中小病院の人手不足に拍車がかかるのではないか」という懸念です。こうした「二極化」を防ぐため、厚労省は単に設備が整っているかだけでなく、改善へのプロセスや努力も評価するなど、透明性のある認定基準の策定を進めるとしていますが、真に取り組みを進める医療機関を認定するなど制度への信頼を高める議論は欠かせません。

 

検査室のDXにつながるか

医師の働き方改革に伴い、タスクシフト・シェアの受け皿の一つとして、臨床検査技師への期待と業務負荷が高まっています。超音波検査の拡大や検体採取などを引き受ける一方で、検査室自体の人手は限られている、そんな板挟みの状況にある検査室も多いのではないでしょうか。

今回の厚労省の予算措置や認定制度は、医師や看護師だけではなく、検査部門のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めるチャンスになる可能性があると考えられます。多くは法改正を伴うため実施は少し先になりますが、検査室としてもさらなる生産性向上へビジョンを描きつつ、施策の行方を見つめていくことが重要でしょう。(枇)

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