健康影響対応「進展ない」 国見解示さず、手探りの町
検査結果公表から1年 「置き去りの不安―PFAS血液検査」
発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)を巡り、一部浄水場で高濃度の値を検出した岡山県吉備中央町が公費で実施した全国初の血液検査の結果公表から、28日で1年となる。検査を受けた住民は「進展がなかった」と吐露。国は暴露への健康リスクや血中濃度に関する見解をいまだ示しておらず、町は手探りで対応を続ける。自治体や住民の不安は置き去りのままだ。
吉備中央町では2025年3月までに2歳以上の計810人が受検した。PFASの一種PFOAを調べたところ、水を飲んだ住民では中央値で1ミリリットル当たり156.3ノグラム(ナノは10億分の1)を検出。飲んでいない人に比べて高い数値となった。
国が慎重な姿勢を崩さない中、住民の要請を受けた町は「住民に寄り添った判断」として実施に踏み切った。山本雅則・町長は「体内にどれくらいPFASがあるか知りたいと思うのは当然のことだ」と語る。国内では暴露に対する指針がなく「町にとって何が必要か、その都度判断して選び取ってきた」
25年11月には、2~17歳以下と学校に通う18歳が25年度以降希望すれば毎年公費で血液検査を受けられるようにすることを決定。18歳以上の社会人は、次回の検査を前倒しし3年後とした。
国は「地域で起きたことは地域保健の所掌。まずは自治体で対応してもらう」との立場だが、山本氏は「財政支援を求めたい」と訴える。海外でPFAS製造の企業責任を追及する動きがあり「日本も国が先頭に立って製造元と交渉し、各地の汚染の責任を取ってほしい」と強調する。
事案の発覚からすでに2年余りが経過。国は25年11月から、PFASを含む化学物質の暴露量をモニタリングする全国調査を開始した。一方で血中濃度の基準値策定など、実際に暴露を受けた場合の健康リスクに対応する議論が始まる段階には到達していない。米国の学術機関における医師向けガイドラインは、国は「一つの知見ではある」と述べるにとどまる。
高濃度だと分かっても有効な対応策が乏しいなか、町の住民団体代表の小倉博司さん(72)は、国の動きが鈍いことに触れ「PFASが体に与える影響を突き止め、健康に対する補償をするのが国の責任だ」と批判する。その上で「知識がある医者に診察してもらえる外来設置など、日々の安心をつなぐことのできる経過観察を町にお願いしたい」と訴えた。
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