キャリア・学び

きらり臨床検査技師 [第23回]副島 友莉恵さん(東京科学大学大学院医歯学総合研究科形態情報解析学分野 准教授)
病理検査学を通じて次世代を育て、途上国を支える

2025.11.19 06:00 会員限定記事を示すアイコン



副島友莉恵さんは、臨床検査技師養成の3年制短期大学を卒業後、「臨床検査学をもっと学びたい」という思いから東京医科歯科大学(現・東京科学大学)医学部保健衛生学科に3年次から編入。卒業後は病理学・病理検査学の道を志し、帝京大学医学部病理学講座に臨床検査技師として携わりながら社会人大学院で博士号を取得した。

現在は、大学で病理学・病理検査学、細胞診の講義や実習指導に携わるほか、開発途上国への病理検査技術支援プロジェクトにも力を入れている。「病理検査は、臨床検査技師が自分の目で検体を観察し、形態や性質の変化の特徴を捉えるところが魅力」と語る副島さんに、キャリアの転換点や日頃から心がけていることなどについて話を聞いた。

 


 

仕事と研究を両立し、社会人大学院で博士号を取得

―臨床検査技師を目指したきっかけを教えてください。

両親がともに音楽家で、父はクラリネット、母はバイオリンの奏者です。私も幼い頃からピアノやバイオリンを習い、中学校では吹奏楽部でクラリネットを担当しましたが、どうも上達せず(笑)。音楽には向いていないと感じていました。

高校卒業後の進路を考える中で医療職に興味を持ち、人体の一部を検査し、病気を見つけ出す臨床検査技師という仕事に引かれて、地元の東北大学医療技術短期大学部に進学しました。短大での卒業研究をきっかけに、病理検査の面白さにさらに引き込まれていきました。より深く学びたいという思いが募り、卒業時に東京医科歯科大学への3年次編入に挑戦しました。


―就職後も、社会人大学院で学びを続けていますね。

卒業後は帝京大学医学部病理学講座に臨床検査技師として入職し、病理解剖例の標本作製や学生実習の補助を行いながら、病理検査の手技を学びました。

入職して2年ほどたった頃から研究関連の業務が増え、修士・博士号の必要性を感じて東京医科歯科大学の社会人大学院に入学しました。博士論文は胆管がんの病理診断マーカーをテーマにして、何度も実験を繰り返しました。期限がある中で、仕事との両立が本当に大変でしたが、必死で学位論文作成に取り組んだことを今でも鮮明に覚えています。

 

後進のために細胞検査士育成の仕組みを構築

―現在は、どのような業務をされていますか。

博士号を取得した2014年に、将来のキャリアアップを見据えて大学教員の道へ進みました。東京医科歯科大学(現・東京科学大学)の助教に着任し、現在は学部生への病理学・病理検査学の講義・実習指導、大学院生への研究・論文指導を行っています。

また、大学病院の病理部で週1回、細胞検査士として業務をしながら、大学院生が細胞検査士資格を取得できるようにサポートしています。かつて本学にはそのための仕組みがなく、私自身も資格取得までに苦労しました。そこで、臨床検査技師資格を持つ大学院生が病理部でヘルスケア・アシスタントとして勤務し、組織標本作製や細胞診業務のトレーニングを受けられる制度を提案し、実現しました。細胞検査士の取得は簡単ではありませんが、後進育成のための道はつくれたと思います。

 

信頼関係をベースに開発途上国へ技術支援

―発展途上国への支援活動にも参加されていますね。

着任当時の教授がラオスとの交流や病理医・病理技師の育成に取り組んでいたことから、私も一緒に参加させていただくことになりました。支援活動は、何よりも現地の方々との信頼関係が大切です。日本の考え方や方法を押し付けるのではなく、現地で入手可能な機器や試薬を活用し、スタッフが自ら課題を解決できるよう支援することを心がけています。

教授の退官後は私が活動を引き継ぎ、毎年1回、学生と共に現地で10日間の短期研修を行っています。病理検査室の改善策を話し合い、英語で作成した病理技術マニュアルを共有するなど、継続的に活動を続けています。本大学は、ラオスからの留学生も受け入れており、現地の医療を担うリーダーの育成も支援しています。

 

ラオスでの研修の模様
ラオスでの研修の模様


        

英語で作成した病理技術マニュアル(表紙)
英語で作成した病理技術マニュアル(表紙)

 

相談することで考えが整理され、前に進むきっかけに

―若手技師へのメッセージをお願いします。

悩んだ時は、誰かに相談してほしいです。私も大学時代に将来について悩んだことがありました。「これに取り組みたい」という明確な目標が定まらず、「これは嫌だ」というネガティブな気持ちの方がはっきりしていました。そのことを先生に話したところ、「嫌だという気持ちも大切だよ」と言われ、その言葉に救われました。

大学院博士課程の時も今後のキャリア形成に悩みましたが、ある教授から「いつチャンスが来ても飛び込めるように準備しておくことが大事」と励まされました。その言葉が支えとなり、博士号取得はまさにチャンスをつかむための準備になりました。

誰かに話すことで、自分の考えが整理され、前に進むきっかけが生まれます。悩みを一人で抱えず、周囲に相談するという気持ちを持っていただきたいです。

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