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Up to Date! 臨床検査エキスパートレビュー # 血液01
破砕赤血球の報告基準を整理する——JSLH形態標準化案の要点解説

2026.01.26 06:15 会員限定記事を示すアイコン

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JSLH形態標準化案の概要と特徴

日本検査血液学会(JSLH)の形態標準化小委員会より、2025年に破砕赤血球形態標準化案(以下、JSLH形態標準化案)が新たにリリースされた(図11)。JSLH形態標準化案では、破砕赤血球の報告に関して、検体取り扱い、鏡検方法(カウント方法)、形態学的判定、報告基準が体系的に示されている。

図1 破砕赤血球形態標準化案 第1.1版
図1 破砕赤血球形態標準化案 第1.1版
〔日本検査血液学会:破砕赤血球形態標準化案 第1.1版.2025より〕

破砕赤血球の形態を2つのカテゴリーに分類していることが特徴的で、血栓性微小血管症(TMA)に典型的な形態をカテゴリーA、それ以外の非典型的な形態をカテゴリーBに区別している。報告基準は、国際血液学標準化協議会(ICSH)の基準2)に準拠し、出現率1%以上が報告対象となる。また、カテゴリーAの出現率が1%以上のときにカテゴリーBを加算する点に注意を要する。

 

血液検査のエキスパートレビュー

1.破砕赤血球の判定を難しくさせる原因

日本において、破砕赤血球は赤血球破砕症候群に出現する奇形赤血球とされ、ヘルメット型、角型、三角型、三日月型、不規則変形型、いがぐり型、小球状型、赤血球ゴーストなど、さまざまな形状表現で扱われてきた3)。しかし、これらの形状のうち、どれがどの疾患に典型的であるかについての明確な整理はなされておらず、各形状は並列関係であった。

一方で、TMAなどで出現する典型的な形状は、多くの鏡検者が経験的に認識している。また、不規則変形型は形容し難い形状をしており、角を有する他の奇形赤血球と類似するため、判定をさらに難しくさせている要因の一つであった。

 

2.JSLH形態標準化案のポイント——判定差をどう抑えるか

JSLH形態標準化案は、全国サーベイランスの結果を踏まえ、2025年8月に第1.0版から第1.1版へ改訂された。そのコンセプトはICSHの基準に準拠し、ヒトの主観による判定差の影響を最小限に抑えることにある。

判定差は、視覚的特徴取得、特徴の解釈、判定ルールの個人差から生じるとされている4)。JSLH形態標準化案では、同じ特徴を同じ尺度で認識させるため、判定に使用する特徴(大きさ、輪郭、色調、セントラルパーラーなど)を明示し、その特徴の度合いを測るスケールを周囲の奇形のない赤血球との比較として定義している。さらに、特徴の解釈に認識差が出ないように形状表現や判定根拠を言語で記載している(図2)。

カテゴリーA(典型的な形状)の一部
図2 カテゴリーA(典型的な形状)の例
〔日本検査血液学会:破砕赤血球形態標準化案 第1.1版.2025より〕

また、破砕赤血球を否定する特徴も示されており、特徴を肯定と否定の双方から考えて判定する際の参考となる(図3)。これまで否定要素として扱われることもあったセントラルパーラーは、第1.1版では許容する特徴とされ、否定条件とはならない。カテゴリーBでは「小さく、濃い」ことが条件であるため、奇形のない赤血球と同等以上の大きさ、あるいは同等から薄い色調は否定条件となる(図4)。JSLH形態標準化案はICSH基準に準拠し、TMAの診断に資することを目的としている。出現率1%以上という報告基準も、この目的に基づいて設定されていることに留意する必要がある。

類似しているが破砕赤血球としない形状(カテゴリーA)
図3 類似しているが破砕赤血球としない形状(カテゴリーA)の例
〔日本検査血液学会:破砕赤血球形態標準化案 第1.1版.2025より〕

類似しているが破砕赤血球としない形状(カテゴリーB)
図4 類似しているが破砕赤血球としない形状(カテゴリーB)の例
〔日本検査血液学会:破砕赤血球形態標準化案 第1.1版.2025より〕  

 

現場で破砕赤血球を判定するための6ステップ

鏡検から報告までの手順は、次の通りである。

  • 直線と鋭角に注目し、破砕赤血球が疑われる形状を探す
  • 周囲の奇形のない赤血球と比較し、カテゴリーAに該当するかを判断する
  • カテゴリーAが1%以上出現しているかを概算する(1%未満であればカウント対象とならない)
  • カテゴリーBの出現を確認する
  • カテゴリーBに該当するかを判断する
  • 分布の偏りに注意しながら、カテゴリーAとBを含めて赤血球を1000個以上カウントし、比率を算出する


事前準備として、1視野あたりの赤血球数を把握しておくと概算するときに便利である。仮に1視野あたり赤血球が500個存在する場合、1視野あたり5個以上の破砕赤血球を認め、それを数視野の分布で確認できればカウント対象と判断できる。TMAでは溶血所見を認めるため、関連データも確認するとよいが、形態学的判定にバイアスがかからないように注意する。

 

 

引用文献

1)日本検査血液学会 形態標準化小委員会:破砕赤血球形態標準化案 第1.1版.2025

2)Zini G, et al : 2021 update of the 2012 ICSH Recommendations foridentification, diagnostic value, and quantitation ofschistocytes: Impact and revisions.Int J Lab Hematol, 43 : 1264–1271, 2021

3)前川正:4.溶血性貧血分科会.厚生省特定疾患特発性造血障害調査研究班報告書(班長:野村武夫),pp64-70,1990

4)菅原新吾:破砕赤血球の標準化;判定がばらつく原因へのアプローチ.日本検査血液学会雑誌,24:520-528,2023

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