知りたい!取りたい! 資格・認定 [第6回]
細胞検査士

若手の臨床検査技師にとって、自身のスキルアップは関心事の一つになっています。スキルアップの一手段として臨床検査に関連するさまざまな資格・認定の取得がありますが、各種団体や学会により多種多様です。連載では、臨床検査技師が取得できる資格・認定を一つずつ取り上げ、試験の概要や合格率、認定取得の意義などを分かりやすく紹介します。今回は「細胞検査士」を取り上げます。(MTJ編集部)
細胞検査士は、身体から採取された細胞を標本にして、顕微鏡で観察することによって、がんや感染症などの診断につなげる役割を担う。検体が採取される部位は呼吸器、消化器、乳腺、泌尿器など多岐にわたり、がん検診の普及や診断・治療技術の進歩などを背景に専門性が高まっている。
細胞検査士の資格認定試験の受験資格は、(1)臨床検査技師であること、(2)細胞診検査の実務1年以上など。一次試験は筆記、二次試験は顕微鏡を用いたスクリーニングなどの実技試験が実施され、細胞診に必要な知識と判定スキルが評価される。2025年度(第58回試験)は総受験者数761人(男性299人、女性462人)で、合格率は43.2%だった。
■ 日程(2025年度)
例年、7月上旬に試験の公示をし、8月第1~3週に受験の願書受け付け・締め切り。10月最終週の土曜日に一次試験、12月第1週の土日に二次試験を実施する。2026年度は一次試験(大阪)10月31日(土)、二次試験(東京)12月5日(土)・6日(日)に実施予定。
■ 費用
受験料は4万円。

教えて! 細胞検査士
(回答)日本臨床細胞学会・細胞検査士委員会委員長(熊本大学病院病理診断科・病理部)
三上 芳喜氏
—認定制度の特徴を教えてください。
細胞検査士は、何千、何万という細胞の中から顕微鏡を使って異常がある細胞を見つけ出す「スクリーニング」を行います。診断と治療に直結する検査ですので、異常な細胞を見落とすようなことがあれば、患者の不利益につながりかねません。
そのため、一次試験では、筆記試験により各種検体の採取法や標本作製法、臓器の解剖学や悪性腫瘍の病理学、さらに最近では分子遺伝学などに関する知識を問う問題に加えて、カラープリントを用いた画像を用いた問題を出題しています。さらに二次試験では顕微鏡を用いた同定とスクリーニングの実技試験を行っています。厳正な基準で認定しており、合格率は例年一次、二次試験を通して最終的に4割程度に過ぎない難易度の高い試験となっています。
臨床検査技師で細胞診検査1年以上の実務経験があれば受験できますが、実際の受験者は2~3年以上実務経験を積んだうえで挑戦する受験者が多くを占めます。
—認定取得者には、どのような活躍を期待されていますか。
細胞検査士は細胞診検査の専門家として、日常の診療に貢献することができます。すなわち、細胞診専門医のパートナーとして連携しながら、責任の大きい役割を担うことになります。仕事のやりがいは大いに実感できると思います。
現在はがんゲノム医療が実践されており、遺伝子検査を活用した診断と治療が拡大しています。細胞診の判定基準にとどまらず、遺伝子検査が適切に実施されるための検体処理法、分子生物学などの知識は常に更新していかなくてはなりません。
また、近年は細胞診検査においてもデジタル画像AIを用いた判定技術などが実装されつつあり、これらへの対応も求められており、資格取得後も生涯にわたって学び続ける姿勢が期待されます。加えて、細胞診判定のスキルと経験、知識を有している細胞検査士の方には、後進の育成や指導に携わっていただくよう願っています。
—認定取得を検討している検査技師へのメッセージをお願いします。
細胞検査士の資格を有していることは、高い専門性を有するプロフェッショナルの証しになります。この資格を取得することによって、細胞検査士は誇りを持って仕事ができると考えています。
また、細胞検査士にとっては、ワーク&ライフバランスという観点から、働きやすい職場が多いと思います。育児や介護などの事情で柔軟な働き方を希望している方には大いに選択肢の一つになることと思います。
その一方で、細胞検査士として経験を積んだ上で大学院に進み、修士や博士などの学位を取得した後に、専門性を生かして大学や養成機関の教員となり、教育や国内外に情報を発信するための研究に携わる方々もいらっしゃいます。その意味で、細胞診はキャリアの広がりがある領域であるといえるでしょう。
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