サクッと解説! 検査技師必見トピックス #18
検査データが医療を変える——AI解析で進むIVDの高度化


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臨床検査データは、診断補助の「数値情報」から、疾患予測や治療選択を支援する情報基盤へと役割を広げつつある。
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AI解析により、凝固波形や血液検査データなどから予兆検知、患者層別化、疾患原因推定につなげる取り組みが進んでいる。
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AI活用は検査室業務の効率化にも広がっており、検査データの価値を臨床・業務の両面で拡張する動きが進んでいる。
臨床検査データの役割が変わりつつある。従来、検査結果は診断を補助する「数値情報」として扱われてきたが、近年はそのデータを解析することで、疾患の予測や治療選択の支援など新たな医療価値を生み出そうという動きが広がっている。シスメックスが3月に開催した技術説明会では、検査データとAI解析を組み合わせた次世代IVD(臨床検査薬)の方向性が示された。同社の取り組みから、AI活用による検査の近未来を探る。
AI解析で進む予兆検知
同社が開発に力を入れているのは、血球計数や尿検査、血液凝固検査といった既存分野の検査にAI解析を導入することだ。
例えば凝固検査では、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)などの凝固波形をAIで解析することで、疾患リスクに関する新たな情報を得る試みが進む。従来は最終的な測定値のみが活用されてきたが、装置内部の信号や波形を解析することで、より多面的な情報を得られる可能性があるという。
予兆検知では、スクリーニングデータ・デジタルバイオマーカーで機能的変調を早期に検出し、原因区分をトリアージして精密検査につなげることを考えている。例えば、慢性骨髄性白血病では、診断時の血液検査データの多変量解析から、治療反応性の異なる患者群を層別化できる可能性が示されており、治療選択の支援を目指している。
さらには、血液検査から疾患原因推定の情報を提供することで、集団傾向の可視化など公衆衛生への活用の道も見えてきている。
検査室業務も支援
一方、同社はAIを検査室の業務支援にも広げるサービスを計画している。検査室では、問い合わせ対応や文書作成など、多くの間接業務が発生しており、こうした業務をAIで支援する。
具体的には、検査に関する問い合わせへの回答支援、ISO 15189対応などの文書作成支援、画像データの解釈支援などを想定している。
人材不足などを背景に、検査室の業務効率化の重要性が増していることから、AI活用で業務負荷軽減やデータ解釈の標準化につなげる狙いだ。
〔シスメックス:第23回技術説明会.2026年3月13日より〕
検査データが生む新たな価値
こうした検査データとAIの活用は、同社に限った動きではない。ロシュ・ダイアグノスティックスなどの大手IVDメーカーでは、デジタル病理を中心に画像解析AIの導入が進み、分子診断分野では遺伝子データの解析による診断支援が拡大している。
また、検査データと臨床情報を統合して解析するサービスや、病理画像の読影を支援するAI企業との連携も広がりつつある。装置から得られるデータの高度化、複数データの統合、診断解釈の支援といった異なるアプローチから、検査データの価値を拡張する取り組みが進んでいる。
それらの相乗効果により、臨床検査は今後、診断補助にとどまらず、疾患の予測や治療選択を支える基盤へと役割を広げていく可能性がある。
AIとデータを軸とした検査の進化は、医療の在り方にも影響を与えそうだ。(中)
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