医療機関、被災80か所超 熊本地震で断水、停電
診療不可「命に関わる」
熊本県で最大震度7を観測した地震で被災し、断水や停電などの被害が出た医療機関は厚生労働省の2日までの集計で計86カ所に上る。診療継続や透析実施が不可能になった病院や施設も。一部復旧したが、過去の災害でも同様の被害が出ており、識者は「患者の命に関わる。地域全体で災害対応を図っておくことが重要だ」と指摘する。
厚労省によると、医療機関は病院と有床診療所を集計。86カ所は地域別で八代市25カ所、宇城市14カ所、熊本市14カ所などで、2日時点では計46カ所で断水や停電が続く。診療困難で患者を転院させた例もあり、透析施設は94カ所のうち最大13カ所が機材損傷などで実施困難に。同省担当者は「搬送先にも限界がある。搬送者が増えた場合の手法を常に考えていく」と話す。
最も被害施設が多い八代市の中心部の熊本総合病院も地震で断水と停電になり、エレベーターが全て故障。14階建てで病床は6~13階にあり、搬送患者はスタッフが1階から階段で運ばざるを得なくなった。酷暑の中で熱中症疑いの患者も増えているという。
全職種のスタッフで対応に当たるが、物資や廃棄物も人の手で運び、患者を100人以上搬送した日も。断水や停電、エレベーターの一部は復旧したが、体力は限界に近く、堀野敬副院長は「水も十分確保できない中で暑さが追い打ちをかけ、患者の負担も大きい。重篤者は他院にお願いするなど受け入れ体制に影響が出ている」と語った。
医療機関の被害は2018年の北海道地震や24年の能登半島地震などでも起き、岩手医科大の真瀬智彦教授(災害医学)は、食事や手術時など水と電気は医療機関に不可欠だとして「なくなれば医療の維持は困難。患者の病状悪化や命に関わる場合もあり、被災地外への転院や早期復旧などの対応が重要だ」と話す。
ただ、発生が懸念される南海トラフ巨大地震などで被災地が広域になると転院は難しくなると指摘。災害医療は阪神大震災を機に災害派遣医療チーム(DMAT)が生まれるなど、これまで改善されてきたとし「平時から医療機関や行政、インフラ企業が連携し、災害時の対応を決めておくべきだ」と話した。








