松子の「レンズの向こう、白衣のとなり」 #01
静かに生きる私たちの、これからの話

学会会場でも、病院の現場でも、「やっぱり検査技師だな」と感じる瞬間があります。派手さはなくとも、誠実さと冷静さがにじむ雰囲気、患者さんや医療スタッフと向き合うときの独特な立ち居振る舞い――こうした“技師っぽさ”は、実は私たちが誇るべき強みなのかもしれません。
初回となる今回は、日常の中で垣間見える“技師っぽさ”をシーンごとにご紹介します。
シーン別にみる検査技師の生態
1.学会場で見つける“技師っぽさ”
学会に参加すると、「あの人、きっと検査技師だ」と思う瞬間があります。落ち着いた色のスーツ、控えめな立ち居振る舞い、そしてなぜか高めの眼鏡率。派手ではないけれど誠実さがにじみ出る――これぞ“技師あるある”。
そんな特性が最も表れるのは、講演後の質疑応答の場面です。
座長「ご質問のある方、いらっしゃいますか?」
会場「……」
おなじみの沈黙。しかし発表が終わると、演者のもとに質問希望者の列ができる――。人前で手を挙げるより、個別にじっくり対話する方が安心できる。そんな性質に、共感する方も多いのではないでしょうか。
2.病院内で見つける“技師っぽさ”
近年は病棟業務や採血対応で、医師や看護師とやりとりする場面が増えています。ただし内心「ちょっと苦手だな」と感じる人も少なくないはず。
・医師に勢いよく話しかけられて「えっ、あ、はい」と反射的に返す
・ナースコールを頼まれ「はい!」と元気に返事したのに、取り次ぐ先に誰もいない
こうした“押し切られエピソード”は誰しも経験があるでしょう。気がつけば「すみません」と言うよりも、「気配を消してやり過ごす」スキルが磨かれていく――これもまた検査技師らしさかもしれません。
3.志望動機に見つける“技師っぽさ”
「理科の実験が好きだった」「人前に立つのが苦手だった」「縁の下の力持ちが性に合っている」――検査技師を目指した理由として、よく耳にする言葉です。黙々とデータに向き合う理想を描いていた人も多いでしょう。
ところが現場に出てみると、採血、患者説明、チーム医療……。人と関わる機会はむしろ増えていきます。時代の変化とともに、病棟業務やタスクシフト/シェア、救急や在宅医療など、多様なフィールドで活躍が求められるようになったからです。
その中で避けられないのが「人と関わる力」。
「患者さんを前にすると説明がうまくできない」
「会話に自信がない」
そんな不安を抱える方もいるでしょう。でも、それでいいのです。私たちはもともと“前に出たがるタイプ”ではないのですから。
静かに生きる私たちのこれから
声は小さく、目立たず、気配を消すのが得意。けれども誰よりも正確に、冷静に、責任感をもって働く。そして私たちには「根拠のあるデータ」があります。患者さんの状態を数値で捉え、医療を支える――これこそが検査技師の最大の武器です。
ほんの少し、“前に出る勇気”を足してみませんか。私たちの静かな強さとデータの裏付けが合わされば、きっともっと大きな力となって伝わっていくはずです。

松沢 京子
関東地方の慢性期病院で病棟業務を担う臨床検査技師。健診・治験・CRAなど約20年の現場経験で得たノウハウを伝える”エバンジェリスト”。大学での検体採取実習にも携わる。有資格は緊急検査士、YMAA(薬機法 医療法 適正広告遵守 個人認証)など。松子@エバンジェリスト検査技師でXやnoteでも情報発信中。
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