松子の「レンズの向こう、白衣のとなり」 #05
口にした瞬間に嵐が来る!? 検査室で語り継がれるジンクス

臨床検査技師の仕事は、日々検体やデータと向き合う地道な業務が中心。けれど、その“静かな日常”は、いつどこで“嵐”が起きるかわからない不安定さと隣り合わせです。
特に、気を抜いたときにふと口にしてしまう“フラグ発言”。口にした途端、まるで伏線を回収するかのように的中してしまう不思議なジンクスです。
今回は、検査技師歴20年以上の私がこれまでに幾度となく目にしてきた「絶対に言わないほうがいい禁句」を4つご紹介します。皆さんも、うっかり口にしないよう要注意ですよ…。
絶対に言わないほうがいい禁句 4選
1.「今日は暇だな」 >> 緊急対応の嵐
緩やかな時間が流れる、平和そうに見える日ほど油断大敵。
「今日は暇だな…」
そう口にした瞬間、検査室の電話がけたたましく鳴り響く——これは検査室あるあるの王道です。

心電図、血液ガス、迅速検査——立て続けに緊急対応の依頼が舞い込み、先ほどまでの余裕が一瞬で消え去ります。夜勤では特に顕著で、フラグ発言の直後に救急車が次々と到着。「さっきまでの静けさは?」と苦笑いすることも少なくありません。
静かすぎる時間は“嵐の前触れ”かもしれません。
2.「最近、輸血の依頼出ないなぁ」 >> 怒涛の輸血オーダー
「最近、輸血の依頼出ないなぁ」
その一言がまるでスタートの合図だったかのように、検査室に輸血オーダーが殺到。
「急にみんな出血しだしたの?」
「主治医が一斉にヘモグロビンのチェックしたの?」
輸血は検査から製剤準備まで時間と労力がかかり、他業務との同時進行になってしまうことも多いため、一気に忙しさのピークに。血液センターへのオーダーや緊急対応に追われ、気づけば検査室全体がバタバタになります。
「輸血依頼は、油断した瞬間に来るもの」と覚えておきましょう。
3.「今日は落ち着いている」 >> 発熱者が続出
午前中の検査業務が順調に進み、「今日は落ち着いているな」と安心した直後に起きるのが、外来・病棟からの発熱者ラッシュ。
特に感染症流行期は、PCRや抗原検査、血液培養などが雪だるま式に増え、現場は一瞬でパンク状態に。

「落ち着いている」という一言が、まるで呪文のように状況をひっくり返す。油断している若手を横目に、「ここから増えるかもな…」という気持ちをもつようになったら一人前の検査技師になった証かもしれません。
4.「明日の出勤メンバーは…」 >> 嫌な予感が的中
シフト表を見ながら「明日の出勤メンバーは…」とつぶやいたとき、嫌な予感が走ることがあります。
特に“仕事を呼ぶメンバー”とひそかに呼ばれる顔ぶれが揃っている日は要注意。
翌日、本当に緊急検査やトラブルが立て続けに起こり、「やっぱり…!」と苦笑交じりにため息をつくのは、もはや恒例。明日のことを口にするときは、ちょっと慎重にしましょう。
フラグは現場で受け継がれるジンクス
「暇だな」「落ち着いている」——そんな何気ない言葉が、なぜかトラブルや忙しさを呼び込んでしまう。
若手技師の皆さんに覚えておいてほしいのは、これは単なる迷信ではなく、現場で受け継がれるジンクスだということです。先輩たちも同じ経験をしてきましたし、きっとあなたもこれから体験していくでしょう。そんなときは「出たな、フラグ!」と笑い合えば大丈夫。忙しい現場にこそ、こうしたユーモアが必要です。
そしてあなた自身がその体験を仲間に語り始めたとき——もう“フラグを語り継ぐ側”の一員になっているのです。

松沢 京子
関東地方の慢性期病院で病棟業務を担う臨床検査技師。健診・治験・CRAなど約20年の現場経験で得たノウハウを伝える”エバンジェリスト”。大学での検体採取実習にも携わる。有資格は緊急検査士、YMAA(薬機法 医療法 適正広告遵守 個人認証)など。松子@エバンジェリスト検査技師でXやnoteでも情報発信中。
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